晴れときどき化学、ところにより雑想

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パウリの排他原理

2012年06月29日 22時50分32秒 | 化学のお話
パウリの排他原理は、スイスの物理学者であるパウリが1924年に提出した原理で、単にパウリの原理、あるいは禁制律とも呼ばれます。

この原理についての、(たぶん)一番わかりやすい表現は、

・1個の軌道(原子軌道/電子軌道)に入ることのできる電子の数は、最大2個である

というものだと思いますが、別の表現としては、

・4個の量子数(主量子数、方位量子数、磁気量子数、スピン量子数)で規定されたひとつの状態には、ただ1個の電子しか存在できない

あるいは、

・多電子波動関数において、2個の電子の座標を入れ替えると、波動関数は符号を変える

というものもあります。


これらがすべて同じことを表現しているようには(普通では)とても思えませんし、

特に3つめの表現は、まったくもって「なんのこっちゃ」というもので、正直なところ私もよくわかりません。

ただ誤解を恐れずにこの原理について言うと、

原子のまわりにある電子は、最大でも2個ずつのペアとして存在する、そしてその電子を規定する量子数がすべて同じとなる電子はない、ということになるかと思います。


また、電子の2個のペアのことを電子対と言いますが、

原子間の結合(共有結合)をつくっている電子対を共有電子対、共有結合に関与していない電子対を非共有電子対と呼びます。

※電子は軌道の中で1個だけで存在しているのは不安定なので、どんな形でもよいから、なるべく2個のペアを作ろうとする方向に動く(それにより化学反応が生じる場合がある)、ということは知っていてもよいかもしれません。


なお、このパウリの排他原理と、原子軌道をエネルギーの低い方から並べたもの(1s、2s、2p、3s、3p、3d、4s、・・・)をあわせて考えると、なぜ元素の周期表があのような形になっているかについて、明確な説明ができるようになりました。




1 コメント

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Unknown (師子乃)
2017-10-25 23:46:51
化学はとても興味のある分野でした。
また詳しく学んでみたいです!
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