晴れときどき化学、ところにより雑想

もしかしたら何かの役に立つかもしれない化学のお話(と、よしなしごと)

イノベーション

2012年03月12日 23時46分11秒 | よしなしごと
「日経ものづくり」という雑誌(2012年3月号)を読んでいたら、

元ホンダの小林三郎さんという方の記事を見つけました(同誌のp.106~p.112に記載)。

面白かったので、かいつまんでご紹介します。

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・企業の業務は、オペレーション(執行)とイノベーション(創造)に分かれる。

・オペレーションは、データの分析と論理的思考によって計画通りに進めることが求められ、100%の成功を目指すものである(ただし実際の成功率としては95~98%ほどになる)。業務の95%程度を占める。

※例えばクルマのモデルチェンジや生産工程の刷新、新興国市場の開拓などが典型例であり、今日と明日の利益につながる。


・一方でイノベーションは、全く新しい商品や技術をゼロから開発することで、業務全体の5%程度になる。

※誰もやったことがないのでデータがなく、分析や論理は役に立たない。また、9割以上は失敗するが、成功した1割弱の中から将来の成長の種が生まれる。


・上に示したことからわかるように、オペレーションとイノベーションは別物なので、その評価の尺度は全く異なる。

・現在の企業では、イノベーション分野の技術開発は「効率が悪い」ということで、真っ先に切られてしまうことが多い。


・未知の分野への挑戦であるイノベーションの成功の鍵は「繰り返し徹底的に考えること」。

・まずコンセプトがあって、技術はその次になる。

・複数の人間の徹底的な議論によりコンセプトを固めることで(開発の方向性が決まり)、天才でなくてもイノベーションを達成可能となる。

・そのためには、組織としての仕組みや企業文化が重要となる。

※イノベーションへの投資をゼロにしてはいけない。一度途絶えたイノベーションを復活させることはとても難しい。

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今まで、開発の仕事を漠然と捉えていましたが、なるほどなぁ、と思いました。

※これによりどんな仕事がオペレーションで、どんな仕事がイノベーションなのか、ということがとても判りやすくなりました。


また、目先の利益だけでなく長期的な利益も見据えて判断するというのはよく言われることですが、

オペレーションとイノベーションは全くの別物なので、それらを同じ基準で判断してはいけない、というのは知らない人が多いような気がします。

イノベーションに対して理解のある組織や企業が増えるといいな、と思いました。


なお、個人的には「繰り返し徹底的に考えること」がまだまだ足りないなぁ、と思った次第です。

安易な考えに流されそうになったときの指針にしたいと思いました。