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アクリロニトリル

2012年03月29日 23時15分19秒 | 化合物のお話
アクリロニトリルは、プロペンニトリル、シアン化ビニルとも呼ばれる化合物で、CH2=CHCNという構造を有しています。

無色の引火性の液体であり、甘い臭気があって猛毒の化合物です。

光により徐々に黄色に着色し、強酸、強塩基、硝酸銀などの存在下で爆発的に重合する性質があります。

※保存方法としては、空気に触れるのを避けるため不活性ガスを封入した上で、重合禁止剤としてアンモニア、塩化銅(I)などを加えて冷暗所にて保管します。


アクリロニトリルは活性の高い二重結合を持っているので、ディールス・アルダー反応における親ジエン化合物として反応させることができます。

また、塩基触媒の存在下で、アルコール、アミン、アミド、アルデヒドなどの活性水素を持つ化合物を二重結合に付加させることも可能です。


アクリロニトリルの製法は、

1)塩化銅(I)触媒存在下でアセチレンにシアン化水素を付加させる。

2)エチレンオキシドとシアン化水素からエチレンシアノヒドリンを合成して脱水反応を行う。

3)金属触媒の存在下、プロピレンとアンモニアと空気から合成する(プロピレンのアンモ酸化(ソハイオ法)による)。

などがありますが、現在は上記の3)の方法で工業的に製造されています。


また用途としては、

・アクリル繊維、合成ゴム(ニトリルゴム)、合成樹脂の原料

・塗料や接着剤、医薬品、染料などの原料

・酸化防止剤、界面活性剤などの合成中間体

・貯蔵用穀類のくん蒸殺虫剤

などが挙げられます。




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