「天狗の中国四方山話」

~中国に関する耳寄りな話~

No.327 ★ 中国株の回復、まだ足元おぼつかず 投資家には上昇持続への期待が肩透かしに終わった過去の苦い経験も

2024年05月15日 | 日記

DIAMOND online  (The Wall Street Journal)

2024年5月13日

Photo:Future Publishing/gettyimages

 中国株の過去1カ月の上昇は目を見張る。ここで湧いてくる大きな疑問は、今回の相場回復は本物なのだろうか、ということだ。

 MSCI中国指数は3月末から10%上昇し、他の主要株価指数のパフォーマンスを上回った。同指数は中国本土に上場する企業に加え、香港や米国に上場する中国企業を含む。S&P500種指数は同じ期間に1.3%下落した。中国株は1月につけた安値からの上昇率が20%を超え、強気相場入りしている。

 中国株は昨年まで3年連続で下落していることを考えると、今回の上昇は特に目を引く。ただ、投資家は以前にも相場上昇の持続性を見誤り、痛い目に遭っている。MSCI中国指数は2022年10月からの3カ月間で、新型コロナウイルス禍からの経済再開への期待から57%上昇した。ところが、コロナ後の中国の景気回復力が弱いことが鮮明になると、指数は上昇分の大半を失った。

 

 確かに、今回は相場上昇を支えるしっかりとした要因がいくつかある。1-3月期の中国のマクロ経済データは予想を上回り、特に製造業の回復がけん引役となった。住宅市場は低迷が続くが、中国政府は最近、売れ残ったマンションが大量に放置されている問題に対処するための新たな計画を打ち出すことを示唆した。

 さらに、中国株は過去3年間で価値が半分以下に減り、現在は割安感が強まっている。ファクトセットによると、香港に上場する中国企業を対象とするハンセン中国企業指数の予想株価収益率(PER)は最近の上昇を受けてもまだ8.9倍にとどまっており、10年間平均の11.3倍を下回る。インターネット大手のアリババやテンセントは自社株買いを積極化しており、株価上昇を支えている。

 中国株は他の地域の混乱から恩恵を受けている面もある。米国では先月、金利が長期にわたって高止まりするとの見通しが強まり、半導体関連など、取引が活発な銘柄の一部に動揺をもたらした。中国から国外に流出した資金が国内に回帰する動きも見られる。機関投資家は中国への資産配分でアンダーウエートを維持しているものの、同国へのエクスポージャーは拡大している。モルガン・スタンレーによると、日本を除くアジアを対象としたファンドや、新興国市場対象のファンドは先月、中国に対するアンダーウエートの割合を0.8~1ポイント縮小した。

 ただ、中国では企業利益は低水準が続く。住宅市場の低迷は依然として内需の重しとなっているほか、卸売物価の下落は製造業者の利益を圧迫している。ゴールドマン・サックスによると、アナリストらはMSCI中国指数構成銘柄の今年の1株利益に関してコンセンサス予想を7%引き下げる一方、ネット企業など一部のセクターについては利益予想を上方修正した。

 中国株は割安感と資金シフトを背景にしばらくは上昇の勢いを維持できるかもしれない。上昇が持続するには、企業利益の拡大・回復が必要になりそうだ。

(The Wall Street Journal/Jacky Wong)

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