「天狗の中国四方山話」

~中国に関する耳寄りな話~

No.517 ★ ニトリが中国で100店舗到達 現地の消費者に刺さる「日本発」の品

2024年07月26日 | 日記

朝日新聞デジタル

2024年7月26日

ニトリHDの中国現地法人、似鳥(中国)投資有限公司トップの杉浦栄総経理(社長)=2024年7月10日、上海市長寧区の店舗、斎藤徳彦撮影

 家具・インテリアチェーン大手のニトリホールディングス(HD)の中国本土での店舗数が今年6月、100店舗となった。初出店から10年で14エリアに展開を広げ、大台に到達した。手頃な価格で住まいを充実させる商品が、中国の消費者の心をつかみつつある。

 ニトリは2014年、中部の都市武漢へ中国で初めてとなる店舗を出した。日本の小売り大手の中でも後発だったが、上海や深圳、北京などへ徐々に出店地域を広げた。

 生活水準の向上で中国の消費者が質にこだわるようになる中、共通化した商品が人気を集めている。かつては中華鍋などが「重ければ良い」とされてきたキッチン用品も、軽量化した日本独自の商品が売れ筋となっている。香りにこだわる人も多く、フレグランス商品も人気という。

 中国での出店数は8年後には今の約9倍に急増させることを見込む。物流の効率を良くするため、「出店する各エリアで10店以上出店するドミナント(集中出店)化を図る」(現地法人の杉浦栄総経理<社長>)ことも目指している。

*左横の「ブックマーク」から他のブログへ移動


No.516 ★ 日本の外食、中国展開加速 需要回復で、100兆円市場を開拓

2024年07月26日 | 日記

NNA ASIA

2024年7月26日

日本の外食企業が中国本土での展開を加速している。中国でも人気の高い日本式の居酒屋やラーメン店で、フランチャイズ方式を通じて積極的に店舗網の拡大に乗り出そうとする企業もある。景気の不透明感を背景に足元では節約志向が強まっているものの、本土の外食需要は回復が続いており、各社は日本円ベースで100兆円を超える巨大な外食市場を狙って出店を急ぐ。【吉野あかね】

ワタミが展開する居酒屋「三代目鳥メロ」の中国本土1号店=広東省深セン市(同社提供)

ワタミ(東京都大田区)は5月、居酒屋「三代目鳥メロ」を広東省深セン市にオープンした。直営店での中国本土への再進出は4年ぶり。

本土1号店「三代目鳥メロ南湖時代店」では、中国のブランド地鶏の一つである「清遠鶏」をチルドの状態で丸ごと仕入れ、串焼きや串揚げをリーズナブルな価格で提供する。座席数は42席。

メニューは日本と同じ味を再現することにこだわり、今後は地元の人が好む味付けの商品も加える方針。ワタミの担当者によると、既に半数以上がリピーターとして来店しているといい、「日本の居酒屋スタイルをそのまま楽しんでいただくというこだわりに対して、強い手応えを感じている」と話す。

8月には上海市に本土2号店を出店する計画。今後は数を増やしやすいフランチャイズでの展開も視野に入れつつ、まずは本土で三代目鳥メロの認知を広げることに注力し、店舗数を増やしていく考えだ。

ワタミは2005年、深セン市に「居酒屋 和民」を出店し、ピークの14年には本土で42店を展開。新型コロナウイルス流行を受けた需要低迷に伴い、20年に本土から撤退したが、「14億人の人口規模は魅力的」(同担当者)として、再挑戦に向けて水面下で準備を進めてきた。

海外事業では価格帯や立地、現地のニーズに合わせた複数のブランドを展開しており、「チャンスがあれば他のブランドでも挑戦することを考えている」と本土事業の拡大に意欲を示す。

■複数ブランド展開も

トリドールホールディングス(東京都渋谷区)は、複数ブランドで本土市場の開拓に乗り出す。

今夏には上海市に焼き肉丼店「肉のヤマ牛」の本土1号店を出す計画。香港など中華圏では将来的にフランチャイズで500店以上の出店を目指す。

肉のヤマ牛は肉の鮮度にこだわり、注文を受けてから来店客の前で焼き上げることでできたての状態で提供するのが売りだ。香港で4月にポップアップ店を出店したのを皮切りに、グローバル展開に乗り出した。

上海市では4月にラーメン店「ずんどう屋」の本土1号店を開業。ずんどう屋は濃厚な豚骨スープと自家製麺した2種類の麺を売りにする。年内には上海市で2号店の出店も計画しており、本土で200店以上のフランチャイズ店を出す構想だ。

■新サービス導入

中国本土市場で新たなサービスを取り入れる企業もある。

FOOD&LIFE COMPANIES(F&LC、大阪府吹田市)が展開する回転ずし「スシロー」は、天津市で今月27日にオープンする店舗に新サービス「デジロー」を導入する。デジローは、回転レーンにすしを流す代わりに、各テーブルに設置された150インチの大型モニターに約200種類の商品を映して流し、タッチして注文すると座席に商品が届く仕組み。日本では昨年9月に取り入れ、海外では中国が初の導入先となる。注文額に応じて遊べるゲームも取り入れる。

F&LCの子会社、北京寿司郎餐飲の松田一成董事総経理によると、中国ではファミリーやカップルなど複数人で利用する客の割合が高く、食事をしながらエンターテインメントとしても楽しめるデジローとの親和性は高いと見込む。飲食店でスマートフォンを使って注文や決済ができるモバイルオーダーに慣れている中国の消費者にとって、デジローのシステムは「受け入れてもらいやすい環境だ」ともみる。回転レーンにすしを流さないことで、食品ロスが減らせるといった利点もある。

まずは天津市の1店舗で導入し、来店客の反応を見ながら既存店などへの導入も検討する。松田氏は「おいしいすしを提供するだけでなく、エンタメ性や先進性という付加価値を付けて顧客の体験価値を向上させたい」と意気込む。

中国での店舗出店も拡大している。スシローは21年に広東省広州市で本土1号店を開業し、広東省や重慶市などに約40店舗を構える。8月以降、北京市でも出店を広げていく考え。

スシローが新店舗に導入した「デジロー」を操作する来店客=24日、天津市

■堅調に伸びへ

中国の外食市場は新型コロナウイルス禍を経て回復傾向にある。旅行人気の高まりを受けた外食需要の拡大などが押し上げ要因だ。

中国本土の飲食業界の売上高は23年に前年から2割増の5兆2,890億元(約114兆円)となり、過去最高額を記録した。24年1~6月も前年同期比7.9%増の2兆6,243億元と伸びを維持している。

今後も右肩上がりで推移する見通しで、中国市場調査会社の艾媒諮詢(IIメディアリサーチ)は、本土の飲食業界売上高が25年に5兆6,712億元になるとみている。

規模が拡大する一方で、外食業界の競争は近年激しくなっている。景気や政策の動向を背景とした接待・会食需要の落ち込みなどが痛手で、本土の飲食店数は20年以降減少が続く。23年末時点の総数は770万店となり、19年時点の900万店超から大幅に減ったとする報告もあり、中でも高級店が打撃を受けているとの指摘も出ている。

足元でも状況は変わらず、中国の飲食業界団体、中国烹レン協会(レン=食に壬)は今年1~6月の外食市場について「飲食店の競争は激しく、閉店率が高まり経営者への圧力が強まった」と振り返った。

日系企業でも撤退の動きが出ており、ハンバーガー店「モスバーガー」を展開するモスフードサービスは6月に中国本土で展開する6店全てを閉店し、本土事業から撤退した。同社は「個人消費の低迷などで不採算が続いており、新型コロナ流行後の売り上げ改善が見込めなかった」と説明した。

消費者は価格に敏感になっており、中国の大手外食チェーンはメニューを値下げしたり、低価格店の出店にかじを切ったりして価格戦略を見直す動きもある。消費者の金銭感覚が変化する中で、北京寿司郎餐飲の松田氏は「初期投資のコストを上げてでも、新しい付加価値を提供する意味は大きい」と狙いを語る。

日本の外食企業にとっては、訪日旅行ブームや日本のアニメやドラマの影響で日本食の認知度が高まっていることが追い風になる。日本の農林水産省によると、日本食を提供する飲食店は23年時点で中国本土に7万8,760店あり、海外では国・地域別で最多。19年の約6万5,000店から大きく増え、コロナ禍で飲食店舗数が減少した市場の流れに逆行した。14億人の人口を抱える中国本土市場の開拓余地は大きい。

*左横の「ブックマーク」から他のブログへ移動


No.515 ★ 「財布って何?」中国キャッシュレス社会の弊害、現金を知らない  子どものヤバすぎる言動

2024年07月26日 | 日記

DIAMOND online (山谷剛史:中国アジアITライター)

2024年7月25日

Photo:Bloomberg/gettyimages

中国ではキャッシュレス決済が急速に普及し、多くの国民がAlipayWeChatPayなどのアプリを駆使している。オフィシャルな統計によれば、キャッシュレス決済は3人に2人が利用しているという。だがその弊害として、幼いころから現金を知らずに育った子どもたちに「お金のリテラシー」が身に付かないという課題が指摘されている。そうした子どもたちによる、ちょっと心配になるような言動の具体例を、中国のIT事情に詳しい著者がリポートする。(中国アジアITライター 山谷剛史)

「お金はスマホの中だよ!財布って何?」子どもたちが疑問を覚えるワケ

「これはお金じゃない!お金はスマホの中だよ!」「財布って何?何が入っているの?」

 中国で現金(100元札)を見た子どもが、本当に親と話したやりとりだ。中国ではAlipay(アリペイ)やWeChatPay(ウィーチャットペイ)といったバーコード決済が早くから普及した結果、現地の子どもが「現金を知らない」ケースが増加。興味深い現象として、各方面でしばしば報じられるようになった。

 中国は「無現金社会」と言われて久しい。もちろん現金での支払いに対応している店はあるものの、現金で支払うのはインターネットリテラシーが高くない高齢者か、中国の決済サービスに登録していない外国人観光客くらいになった。働き盛りの日本人が中国の店で現金で支払おうものなら、一見すると中国人と見分けがつかないため、周囲から「この人はなんで現金で払うんだ」とばかりに不思議な顔をされるようになった。

市場にもキャッシュレス決済が導入されている Photo:Bloomberg/gettyimages

 先述したウィーチャットペイは、中国で広く普及しているメッセンジャーアプリのWeChat(ウィーチャット)の決済機能だ。今の中国では、仕事の関係者同士、学校の先生・生徒・保護者、そして同じマンションの住民同士など、公私を問わずさまざまな集団がウィーチャット内でつながり、グループ化されている。グループチャット内での送金も可能なので、なおさら現金を使う場面は減る。

 ウィーチャットの保護者グループでは、「今の子どもたちの多くは『物理的なお金』をあまり知らず、特に幼い子は生まれてから現金とほとんど接触していない」と懸念する会話が飛び交っている。子どもに現金のお小遣いをあげたことはあったが、反応は薄かったと親は口々に語る。

 中国の子どもが決済で使用するデバイスとしては、スマートフォンだけでなく、子ども向けのスマートウォッチも人気だ。GPSを活用して連れ去りを防止したり、保護者との連絡に気付きやすくなったりといった安全系機能も人気に一役買っているが、やはりキャッシュレス決済用のバーコードを表示する機能にニーズがある。

 子どもが買い物をする際、スマートウォッチにバーコードを表示させて店員に読み取ってもらうと、保護者のアカウントから購入代金が引き落とされる仕組みだ。ただし「物理的な紙幣や硬貨」をやりとりするわけではないため、子どもの金銭感覚が薄れる弊害もあるという。

7歳の小学生が「割引」「お釣り」を知らない!?

 具体的には、バーコード決済では自動的にクーポンが適用される場合があるほか、常にチャージ額から購入代金だけが引き落とされるため、小学生になった7歳児が「割引」「お釣り」が何なのかを知らないという話が出てきている。

 このことに気づいて危機感を覚え、子どものスマートウォッチの支払い機能をオフにする保護者も見られるようになった。

 とはいえ、中国の都市部ではネットスーパーやデリバリーサービスが充実していることから、家庭における日常的な買い物のほとんどがオンラインで完結する。社会勉強のために親が子どもを買い物に連れて行った場合、スーパーマーケットにいろいろな商品があるという気づきを与えられるものの、結局のところ親はスマホ決済で支払いを済ませる。

中国の日常風景。親がスマホに夢中になり、子どもが視界に入っていないケースもある(画像は一部加工しています 画像提供:山谷剛史)

 そのため、スマートウォッチの支払い機能をオフにしたところで、子どもの「お金のリテラシー」はあまり養われない。現金対応レジや自動販売機の仕組みを知らない子どもたちや、「欲しいものは何でも自宅に届けられる」と思っている子どもたちも増えているという。

 実際に、「とにかく買いたいものがある限り、(わが子は)どんなに高くても安いと言うんです。高いなんて聞いたことありません」とある親は語る。100元(約2000円)のロボットのおもちゃは安いし、300元でも安い。手元にある現金の減少を体感するわけではなく、ワンクリックや端末の操作で欲求が満たされるため、子どもの欲望はどんどん膨らみやすくなる。

 教育機関が「お金の教育」をおろそかにしているわけではなく、中国では小学校1年生の算数で「元・角・分」の換算を学ぶ(1元=10角=100分)。しかし日々の生活では現金を使わないので、子どもにとっては「単なる算数の問題」の範疇(はんちゅう)から出ず、日常での支払いとはかけ離れた話として捉えられてしまうようだ。

 なので、「換算や計算よりも、10元や100元で何が買えるのかを子どもたちに真に理解させたほうがいい」という意見もある。

2日間で約20万円をスマホゲームに投入!?

 そして、お金の感覚がわからないまま大きくなった子どもは、ちょっと心配になるような言動を繰り返し始める。家庭内の会話で「お父さんは月にいくら稼いでいるの?10万元(約200万円)?」「これを手伝って。お小遣いでお母さんに1万元(約20万円)あげるよ」といった言葉が子どもから出てきたと報告する親もいる。

もはや身近な存在ではなくなりつつある人民元(画像提供:山谷剛史)

 これがエスカレートすると、キャッシュレス決済のアカウントを“悪用”して遊びに使うようになる。中国では最近、9歳の少年がゲームにハマり、2日間で1万元近く(約20万円)をチャージしたというニュースがあった。ゲームを遊びたかったというのもあるが、そもそも1万元がどれくらいの労働や商品の対価なのかわからなかった――というわけだ。

 中国メディアは記事で問題を提起し、解決案を提示している。例えば、お金に関する絵本を読んであげる。子どもの銀行口座を開き、お金の大切さを自覚させる。現金を持たせて個人商店におつかいに行かせる。本物の紙幣や硬貨を用意し、「1元コインが5枚で5元」「10元札5枚と50元札1枚で100元」といった計算に慣れさせるというものだ。

 ただし、一連の記事を参考にしようとしても、やはり親世代が肝心の現金を持っておらず、「親族が集まったときに叔父叔母からかき集めて、ようやく教育用ワンセットがそろった」という笑い話も報告されている。

 こうした潮流の弊害は、幼児や小学生だけでなく大学生にも広がっている。現役大学生が幼い頃はまだ現金が使われていたものの、その後の急速なキャッシュレス決済の普及に伴って金銭感覚を失い、オンラインローンの泥沼にはまるケースがたびたび起きているというのだ。中にはローンを返済できず、身の安全が脅かされている大学生もいる。

 日本ではクレジットカードやバーコード決済の利用が増えつつあるものの、まだまだ現金も使われている。「交通系ICカードに慣れてしまい、切符の買い方が分からない子どもがいる」という話は聞くが、中国に比べればかわいいものである。

 中国で増えている「現金を知らない子どもたち」が、将来どんな大人になるのか気になるところだ。

*左横の「ブックマーク」から他のブログへ移動

 


No.514 ★ 経済危機に対処できない中国 職に就けない若者が「宝くじ」に殺到 して品薄に

2024年07月26日 | 日記

MONEY VOICE (斎藤満)

2024725

中国では先週「3中全会」が開催され、21日にはその決定全文が公表されました。市場の最初の反応が中国株下げとなったように、中国政府は腐敗の取り締まり強化で体制の安泰を図る一方で、経済危機への対応は不十分なまま、AIや航空宇宙などの戦略産業を育てるちぐはぐさ。内憂外患、長期的にも短期的にも苦しい状況の中国経済を考えると、しばらくの間中国経済は冬の時代から抜け出せそうにありません。

経済の悪化、人民の生活困窮が社会不安となり、外交上の弱点にもなりかねないだけに、中国を相手に経済活動をする日本企業は、そのリスク管理を十分に行う必要が高まっています。(『 マンさんの経済あらかると 』斎藤満)

※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2024年7月24日号の一部抜粋です。

経済より体制強化?

18日に閉会した中国の3中全会では、まず体制強化を図る人事処遇がなされました。つまり、習近平主席の外交戦略と歩調が合わなかった秦剛前外相の党中央委員辞任を承認、ついで李尚福前国防相と、李玉超前司令官の党籍はく奪を決めました。両者ともに重大な規律、法律違反があったとしています。

一般国民からの評価が今ひとつの習近平政権は、汚職にかかわった幹部の厳正処分が政権評価にプラスと考え、体制強化のために汚職幹部を一掃し、合わせて習近平氏に全面服従する意図のない幹部の排斥を進めています。習近平主席の周りはイエスマンで固められ、批判はもちろん、建設的な意見具申もなされなくなっているといいます。

しかも、主席は永久政権を考えているために、後継候補を育てていません。習近平主席が「裸の王様」になり、しかも次を担うべきリーダーを育てない分、習近平政権が揺らいだ場合に、国家の体制が一気に不安定になります。

中国経済の内憂外患

体制の強化も良いのですが、今日の中国経済は深刻な「内憂外患」にあります。国内は不動産の供給過剰が資産デフレ、債務危機をもたらし、これに対して当局は価格規制をするなど、対症療法的な策にとどまっています。公共工事で景気を刺激するにも、地方政府の債務問題が深刻です。21日に公表された決定全文をみても、中国経済を危機に陥れた要因にメスを入れていません。

そして急速な少子高齢化が進み、親世代の社会保障が不十分なため、若い世代の負担になり、これがまた結婚の縮小、少子化をもたらす結果となっています。その若者世代は「大学を出たけれど」の就職難にあり、家でカウチポテトになっているか、宝くじで起死回生を狙うしかなくなっています。若者の失業率は20%を超えてから発表されなくなりました。

今回の決定全文を見ても、目標の中に若者の雇用機会拡大、高齢者の生活水準の引き上げが盛り込まれていますが、具体策は明示されていません。

しかも海外からは安価なEVの輸出に反発が強まり、欧米は中国製のEVや太陽光パネルなどに高い追加関税を課すことになりました。また米国バイデン政権は、中国への半導体輸出や技術支援を規制し、日本など同盟国にも同調を求めています。中国がロシア支援をすればますます欧米からの規制が強まります。

中国経済はまさに深刻な「内憂外患」にあります。国内の需給不均衡は日本のバブル崩壊時以上に深刻ともいわれ、共産党政権ながら若者の雇用機会を提供できず、高齢者の介護体制、医療体制も不十分です。この社会不安が一層の少子高齢化につながる面があります。

経済対策は的外れ

こうした状況に対して今回の3中全会では必ずしも有効な手立てがなされませんでした。国内産業の現代化、強化、サプライチェーンの強化をうたいますが、民間部門が育って力をつけると、民主化の動きをしたり、政府の統制に反したりすることになって最後には規制を強化するやり方では、育つものも育ちません。

また国有企業を育てるにしても、軍事転用につながるもの、ロシア支援にかかわるものには、米国などから強い規制が課せられます。軍備拡張、ロシア支援が欧米の脅威となっていて、これにつながる国内産業の強化には海外から圧力がかかります。

今回、地方政府の収入源を広げる政策を入れたことは、不動産不況で土地利用権の売却収入が減っている地方政府にはプラスですが、国全体の税収が増えるような経済運営をしないと、地方の収入が中央政府の収入減少につながるだけです。土地制度の改革も不動産の需給が悪い中では容易ではありません。

中央政府は先に1兆元の特別国債を発行しましたが、それ自体、金融緩和とセットで行わないと、民間資金を「クラウディングアウト(排除)」する面があります。しかし、米国がドル金利高、ドル高にあるため、中国は人民元のさらなる下落なしに金融緩和ができません。国債発行も有効に使えない状況にあります。そこで今般企業向け貸出金利を0.1%下げましたが、資産デフレのもとでは効果が限られることは、かつての日本が証明しています。

このため、7兆元規模ともいわれる中国の過剰不動産を政府が買い上げることもできません。また政府は外資の導入に積極的と言いながら、外資に中国の不動産などの不良債権買い取りを渋っています。米国は不良債権ビジネスでオファーをしているのですが、これができないと、中国の不良債権処理も進まず、金融機能の回復も進みません。もっとも、不良債権処理で金融機関、特に国有銀行の資本が痛むと、国の財政負担も大きくなります。

職に就けない若者が「宝くじ」に殺到していますが、最近宝くじが品薄になり、買えなくなっているといいます。この裏には、政府が宝くじの販売を規制し、抑制しているためと言います。金融機関職員が高給をとると、西欧型腐敗のもととして給与を強制的に引き下げます。所得の減少が一層中国のデフレを助長しています。

周辺国に波紋

中国経済の長期不振でエネルギー需要が減り、産油国が輸出需要の減少にあっています。足元での原油価格下落には、中国の需要減少懸念が材料視されています。中国での販売不振から、日本の百貨店が次々と中国から引き揚げています。日本車の中国販売も苦戦しています。

米国の中国向け半導体規制が強化され、米国だけでなく日本や欧州企業にも協力を求められ、日本の半導体メーカーの株価が急落しました。世界がインフレと戦う中で、唯一デフレに陥る中国の異常さが目立ちますが、その波紋は「インフレの冷却効果」とは言っていられない大きな需要減退要素になっています。中国製EVが欧米を避けてアジアに出れば、そこでの日本車市場が圧迫されます。

藤満(さいとうみつる)

1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

*左横の「ブックマーク」から他のブログへ移動

 


No.513 ★ 「中国で最高のCEO50人」、米誌が選出

2024年07月26日 | 日記

NNA ASIA

2024年7月25日

米経済誌「フォーブス」中国版は22日、2024年版の「中国で最も優れた最高経営責任者(CEO)トップ50」を発表した。選ばれたCEOの平均年齢は54.8歳で、1980年以降に生まれたCEOは過去最多の6人だった。

上場中国企業のCEOを対象に、企業の直近2年間の業績や時価総額などを基に選出した。24年版は50人に序列を付けていない。

24年版では若手経営者の選出が目立った。フィギュア・玩具販売の泡泡瑪特国際集団(ポップマート)の創業者である王寧CEOは、中国版のCEOトップ50では史上最も若い37歳での選出となった。ポップマートがヒット商品を次々に生み出し、テーマパークを建設するなど事業を広げていることが評価された。

電子商取引(EC)サイト「ヘイ多多」(ヘイ=手へんに并、ピンドゥオドゥオ)を運営する上海尋夢信息技術の共同CEOである陳磊氏(44)、趙佳臻氏(40)も選ばれた。

50人中24人が初めて選出され、15人は連続選出。「新エネルギー車(NEV)」大手の比亜迪(BYD)の王伝福董事長(58)は4年連続で選ばれた。

*左横の「ブックマーク」から他のブログへ移動