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HAARP地震説は悪徳政治家や業者を喜ばすだけ!(2)

2009年09月23日 | 天災:人災

『ニューリーダー』 1995.06月号から【サイエンス軽視が日本を亡ぼす
いまなぜ再び「阪神大震災」か? 藤原肇】
・・・・・からの転載です。

転載元の本文が非常に長いので、適当に文章を切り張りしてまとめてみました。

●阪神大震災はやはり人災である

日本のマスコミは何か事件が起きると、一斉にワンパターンで追いかけ、興味
本位に皮相な記事を並べ立てるが、問題の本質を深く根源的に掘り下げる努力を
しようとしない。また読者もそれを求めない。

「阪神大震災」についても同様。政府の危機管理の推拙さ、大都市防災システムの
無策ぶりを始め多くの問題が議論されたが、その背後にあるより根本的に重要な
問題が看過されていることに、私は大きな疑問をもつ。

私が本稿をまとめようとした、そもそもの理由は「阪神大震災」発生議論の中で、
地震など地殻変動に結びつく「構造地質学」的視点が欠けているためであり、その
インプットが将来に向けての建設的な批判になると思うからである。

「構造地質学」・・・・

私はこの学問に興味をもち、フランスのグルノーブル大学に留学し、5年問の
修行で学位を得た。しかし、この分野で仕事をするには日本はあまりにも異常な
国であり、科学が技術主義に踏みにじられた状態にあることを痛切に知らされた。

日本の産業界の体質は自然科学の評価が低く、構造地質学を活用することは
とても期待しえない。 しかし日本列島は地球上で地殻変動が最も激しい場所で、
生活にとって脅威になる現象がいろいろと存在する。

●自然の均衡を崩してストレスを高めた

地震が起きた直後にあった気象庁の発表では、「地震は淡路島北部の深さ
20キロで北東から南西方向の断層が横ずれして起きた。余震の震源域は
淡路島北部から神戸市の直下まで達しており、破壊が神戸の直下まで進んだ
内陸の直下型地震とわかった」そうで、震源が非常に浅かったために拡散せず、
放出エネルギーは非常に大きかった。

しかし、これは地震計によるデータ分析の数字であり、現地調査をした広島
大学の中田助教授の調査隊は、長さ9キロに及ぶ一メートル半の断層ずれを
発見している。

この断層は野島断層として知られており、淡路島の海岸線と平行して北北東の
走向を持つが、世界中で各種の断層を観察して来た私の目には、これはねじれ
(ウレンチ)断層に属すタイプの性格を示す活断層であることは疑いの余地がない。

また現在の段階で手に入る情報をもとに予想すると、深さ10キロ以内の超浅発性
地震の可能性が濃厚である。

そうなるとこの地震は人災の要素が強まり、30年普に私が危惧したように無茶な
土地開発のために、浅いレベルでの地殻均衡補正運動(アイソスタシー)が起き、
災害を必要以上に大き<したとも考えられる。


●技術偏重の袋小路に呻吟する日本 (省略)
 
●●●利権政治に毒された日本列島の危険度 ●●●


歴史を概観すると、古代人は本能的に高台を好み、ローマ時代の村落は丘の上に
散在しているし、日本でも縄文人は丘陵地帯に住居を作り、低地に降りたのは農耕
文化の弥生時代からである。

こうして、住むのは山の手の高台で仕事は低地という選択は、つい最近まで日本
人の生活の知恵になっていて、明治の終わリ頃まではそれが人生に反映していた。

だが、戦後長らく続いた技術信奉の工業化路線が、日本全体を産業至上主義に
塗り込めてしまい、丘を削り川の氾濫原や海岸を埋め立て、土地造成が開発の
美名の下に推進された。

その極めつけが『日本列島改造論』であり、土建屋上がりの政治家である田中
角栄は、『都市政策大網』という通産官僚の作文を横取りして、都市開発を政治
キャンペーンに使いまくったが、それが土地投機と結ぶ利権政治の幕開けに
なった。

田中金脈の象徴として名高い信濃川の河川敷は、田中ファミリーの室町産業の
疑獄として知られるが、これは水資源開発特別委員長、通産相などの職務を
通じて知った、内部情報と蔵相の地位を使った買い占めである。

また、あまりマスコミに登場しない別の田中金脈に、関西国際空港の建設に
まつわる利権があり、ダミーを使った土地投機が密かに利用され、和泉丘陵や
淡路島の砂利の買収が進み、丘が削り取られて空港埋め立てに使われた。

関西新空港の候補地としては泉南沖、神戸(ポートアイランド)沖、淡路島、
明石沖などがあったが、田中幹事長は埋め立てによる海上説を唱え、最初は
埋め立て実績のある神戸案が優勢に見えた。

だが、六甲山を切り崩して沖合いを大規模に埋め立て、土地造成をする神戸市の
事業は歴史が古く、トンネルを使った砂利運搬システムを使い、大量の土砂で
沖合いを埋め立てていた。

だから、田中流の土地投機の食い込む余地がなく、砂利利権の面で田中には
ウマ味が少なかったので、首相の田中は泉州沖を積極的に椎進した。


新空港は3兆円から関連含みで10兆円に及ぶ、巨大な投資規模をもつ開発
プロジェクトであり、大阪商工会議所を中心にした財界のイニシアティブで、
関西の復権を目ざして推進された。

水深20メートルの海を埋めて1100ヘクタールの土地を造成し、完成には4億
立方メートル以上の砂利の需要があり、砂利はいくらでも必要だということで、
大阪湾周辺の土地は投機的な土地買い占めが進んだ。

しかも、滑走路一本の第一期工事の砂利だけでも、2億立方メートルを必要と
するという数字に基づき、風化の進んだ花岡岩砂(真砂)と山砂利に恵まれた
淡路島北部は、札束攻勢で士地買収が浸透した。

ことに津名丘陵に殺到した砂利採取業者たちは、数十メートルの規模で大規模に
丘を削リ取り、泉州沖に運んで埋め立て砂利を用立てた。

淡路島北部は地質学的にも非常に不安定な場所で、野島断層を始め六甲断層群が
北東に走り、それが六甲山の東面の崖を作っている。そんな場所を手荒なぺースで
削り取り、土建屋の発想に基づいて岩石を破砕して、大量の砂利を運び去ったの
だから、断層地帯の地殻は局部的に安定を喪失した。

しかも、神戸沖では大規模な埋め立てが続いて、六甲アイランドやポートアイランドが
次々と生まれ、均衡異常が起きても不思議ではなかった。

新空港予定地となった泉州沖五キロは水深20メートル前後で、海底の表面には
2万年前から現在までの間に沈積した、沖積層と呼ばれる泥が20メートルも
覆っており、その下には400メートル近い粘土層と薄い砂礫層の互層が発達
するが、これは過去100万年に堆積した半凝固の洪積層である。

この砂と粘土は水を含むと豆腐に似た性質になり、ともに基盤としては非常に
脆弱な地層であるが、最初の固い岩盤である第3紀層はその下にあった。

こんな場所を短期間に大量の土砂で埋め立てれば、猛烈な地盤沈下を生むのは
当然であるが、そうした研究は不十分な形でしか行なわれず、強引に空港建設を
決めて見切り発車した。

ここにも技術過信の弊害が現れており、科学を軽視して技術力で既成事実を作る、
戦後の日本を支配した猪突猛進主義が横行して、国策への懐疑や批判を政治力で
圧殺した。

その結果は悲惨である。年間50センチ近くのぺースで沈む空港を支えて構造物の
歪みを補正しなければならなくなり、空港ビルの地下には1000本近いジャッキを
据えつけた。

これは小刻みに毎日連続する災害であり、埋め立て地の安定には数百年が必要
だが、自然が数万年かけて行なうプロセスを、わずか数年でやった無謀さの報い
でもあった。


しかし、それ以上の致命的な過ちを犯していたのは、この地域が地質学的に非常に
不安定であり、長期的には最悪の選択をしていたのである。

●自然の生理を無視する人間の驕慢 (省略)

●「科学」でみるコンクリートの生涯 (省略)

●「科学技術」に一括された〝科学〟の悲劇

科学は自然や社会の生理現象について観測し、全体を支配している基本法則を
取り出して、その相関についての知識を求める営みである。それを湯川秀樹博士
「現実の背後に横たわる広大な真実の発見」と表現した。

だが、経済優先ですべてが動いてきた日本では、科学は科学技術として一括されて
しまい、行政主導の国策推進に邪魔だと軽視され、実際的には技術に吸収されて
いる状況にある。

●科学技術庁長官の愚劣な人事 (省略)




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