昔が良かった。

古き良き時代というけれど。クルマ好きにとって、60年代、70年代は希望があった。

アルファロメオ純血、4気筒、最終仕様エンジン ②

2018-10-14 15:47:16 | ALFAROMEO

今回、ヤフオクで手に入れたエンジンは、外観からは非常に程度の良い、155T/Sエンジンではあるが、使用された中古エンジンであり、其のままでの保管は、冷却水が内部に残っているので、本当の意味での長期保管は出来ない。

アルミのエンジンブロックを、状態の良いまま、保管するのは、完全にバラシて、シリンダージャケットの冷却水を抜いて、乾かして、同時に、ジャケット底部に溜まった、ヘドロを取り除かねば底から腐ってくるのが、オールアルミのブロックのウエットライナーエンジンだ。

この手のエンジンの命は、ライナー挿入部のOリング部分と、ヘッド取り付けのスタッドボルト下部の状態次第だ。

 

   
エンジン分解開始

  
155T/Sのヘッドは、75T/Sのヘッドに比べて、見た目スッキリで、なかなかカッコいい。
フロントケースとヘッドの止めボルトの位置が、105時代の位置に戻ったので、105系のヘッドガスケットが使えるので便利だ。
その昔、どこかのショップの息子が、105と75は同じガスケットが使えると言っていたが、フロントカバーとのボルト位置が変わったのを知らないで。。。
知らないことを知らないというのを恥ずかしがるのは、もっともっと恥ずかしいものですね。

 


エンジン回りの補機だけでも、これだけの保管スペースがいる。 捨てる気はないが、売る気もない。

 

   
ヘッドを下すと、なかなか程度の良いエンジンのようだ。

 

  
OILパンを外して、ひっくり返して、クランク抜いて。 
なかなか良好な、状態のクランクだ。

 

   
ピストン外して、シリンダーブロックから、ライナーを抜くと。
いかに綺麗なエンジンでも、ウォータージャケット底部には、これだけのヘドロがたまっている。アルミブロックなのに、けれだけ茶色い錆があるのは、水に浸かっている部分のヘッドボルトや、ウォーターポンプのインペラや、ヒーターホーストウを取り付ける部分の鉄のボスパイプからのものだ。もちろん、水漏れ止めのシーリングコンパウンドも、このヘドロの一因だ。
これが、完全にクーラントに浸かって、ラジエターキャップで外気から遮断された状態ならまだしも、エンジン単体保管なら、底部に溜まった湿ったヘドロが、よりアルミと鉄が触れ合っている部分からの腐食を促進する。 バラシテ補完しなければならない最大の理由だ。

 

ここで、最終の155T/Sエンジンと、旧来の80度バルブアングルの2リッターエンジンとの違いを簡単にお勉強。

  
右が155T/S   左の105のエンジンも、最後のほうは、リヤのOIL戻しの穴が塞がれて、鉄板のリヤカバーも省かれている。
リヤシールの取り付けが、ボルト止めのケースになり。クランクケースが短くなっている。
したがって、OILパンの取り付け部の形状が異なり、そのままボルトオンでの共用はできない。

 
ブロックのフロント側の位置を同一にすると、リヤ側で、右の写真のごとく、短くなっている。

 
   155T/S     105SPV
内部のメタル保持のビームも、太くなっているのが155T/S
巾に余裕を持たせて、内部に、ピストンクーラーを仕込んでいる。

  
クランクケースの高さは同じだが、狭角ヘッドの155のヘッドボルトは長い。(75T/Sの狭角エンジンも、同様にヘッドボルトは長い。)

以上のことから、155のエンジンを縦置きの車に流用するのは、かなりの改造が必要となってくる。
ヘッドの形はいいので、シリンダーブロックは75T/Sのものを用いて、ヘッドだけを、155T/Sにするのが、一番簡単で、見た目がいいのではないだろうか?
ヘッドのウォターーバイプはどうするのかって? まあそのくらいは、自作しなければ仕方ないでしょうね。

 

狭角ヘッドは、吸気効率、火炎伝播速度の向上といった、性能向上をもたらしたが、何よりも、直列4気筒エンジンとしての基本である、シリンダーと、ヘッドの中心線が、やっと、本来の位置に設定されたことが、最大の進化だ。

アルファロメオの技術者も、1750から、2000に排気量をアップするときに、ヘッドの燃焼室位置の件で、手を抜いて、半球ヘッドから、多球ヘッドにして、バルブ位置の中心と燃焼室の中心のずれをごまかしたことに対する、技術者としての無念を晴らしたヘッドでもある。
ここまでの改良ヘッドを作るのなら、4バルブにしてもよかったものを、2バルブのままで、その昔のGTAmヘッドを髣髴させる形状を選んだのは、ロメオのエンジン技術者のこだわりを形にしたようで、長くロメオにかかわってきたものにとって、うれしい最後のマイナ-チェンジだった。

 


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1 コメント

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ご無沙汰しております。 (奥ちゃん)
2019-03-06 19:29:10
私の例のアルフェッタ、今は結局155の8Vを加工して載せています。
巷で良く聞いた「ポン付け」なんてことは無く、ブログ記事の様にブロック長も違うし、結構大変なようでした。

しかし、個人的にはアルフェッタの時代にはレーシングカーは狭角のツインプラグを積んでいても変じゃないので、敢えて155TSを「ファインチューン」で載せました。
仰ってる事その通りで、このエンジンをバラシて検証してるときにはアルファロメオのエンジニアの意地を感じました。
記事に共感させて頂いたので書かずにはいられませんでした(^^;)

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