先日、以前に整備させてもらった、遠方のアルフェッタのお客様からメールがあり、高速道路でエンコしたとのこと。
最初の話では、電磁ポンプトラブルらしいことであったが、地元のディーラーさんで修理してもらっていると、デスビのローターの抵抗が焼ききれているとのこと。
MDIの影響で、抵抗が焼けたのであれば、抵抗無しの旧タイプのローターの替えてみたららと、助言したのだが、手に入ったボッシュのローターは、どうもサイズ違いで装着できないらしい。
このクルマ、以前にDr、Hから依頼されたペラシャフトの振動と、エンジン関係の調整でメンテしたクルマなのだが、事の起こりのペラシャフトの振動原因を作った工場で、最初のエンジンOHを受けており、その時に123デスビをつけたらしい。
当方で、不具合が有ったキャブのフロート修理と、ジェットセッティングをしたのだが、もうひとつすっきりしないエンジンに、バルタイ調整からタペット調整(これがまた狂っていた)しても、まだ私の判断レベルでは本来のアルファロメオの調子が出ていないので、デスビを車のトランクに積んであった、別の黒いものに付け替えて、何とか納車できるようになった車だ。(だから、調子の出ない123には戻したくない)
ちょうど前回の整備の折に、トランクにつんであったサードパーティのデスビは新品だったので、1年ほどの時間で、ローターの抵抗が焼ききれてしまったことになる。(MDIパワー恐るべし、なのか、八日、九日、十日)
とりあえず、私も現物の状態を見てみないと、なかなかメールだけでは対応しきれないので、123デスビの戻すか、もっと以前の純正のボッシュのデスに戻して、当方に車を持ち込んでもらわないと、、、、、。というわけで、下のボッシュがあるかもしれないとのことで、探してもらうことにした。
元のボッシュは、バキューム進角付きの物で、エンジンOHしたときに、カムをユーロカム10548に替え、デスビをバキューム無しの123に付け替えたらしい。しかし、この年式は、フルトラなので、123に替える必要など無いはず。少しでも部品を売りたいのか、エンジンを組んだところがボッシュの品を知らない無知だったのか、まあ両方だろう。
連絡をいただいてから、当方のストックのジャンクデスビを引っ張り出して、何とか使えるものは組めないだろうかと検討。
ちょうど、ジュリエッタ2000の同じ品番のバキューム突きフルトラデスビが有るのを思い出した。これは、シャフトの樹脂スペーサーが割れて飛んで、上下にガタが出て、アースしてしまったものだ。O/Hして、スペーサーを取り付ければ、再使用できるはずなので、今回、バラシテ見ることにした。
デスビの進角ガバナーは、まったく旧型の遠心進角と同じものだ。
伊藤忠オート時代は、この遠心進角を調整して、48年排ガス対策をしていたので、私のようなロメオ一筋に来たものにとっては、一番取り扱いしやすい品物だ。この遠心進角を調整することを知らないようなメカニックや、ショップがむやみやたらにデスビASSYのフルトラに交換したがるものだ。
ジュリエッタ2000にも搭載されていた、このバキュームアドバンス付きのデストリビューターは、バキュームを外すこともでき、キャブレターを進角用バキュームポートが無いものに替えた場合も、適合できるものであることは、本来のロメオメカニックなら誰でも知っていることなのだが、簡単に123に変えたショップはそんなことさえも知らないようだ。
だいたい、なぜ、フルトラデスビに替えるのか??
それは、メンテナンスフリー化と、デスビのカムの磨耗による点火次期のばらつき、シャフトのガタによる点火次期のばらつきの対策のために、フルトラに替えるのではないのだろうか?
123のように、加速リタードがおきて、俊敏なレスポンスが得られないデスビなど、何の意味もない。
その費用で、元のボッシュのデスビのガタの修正と、メンテナンスフリー化のPPKキットを組み込めるのでは?
そして、本来の進角のままなので、急加速に、グズッテ、後ろから前から、畑中葉子になることもない。
ただ、あの具合の良かった、ボッシュ純正、フルトラキット(どこぞのショップの主がはじめてみたとブログに書いてあったが、本当に当時を知るメカニックには、高価ではあるが、調子の良い品で、ヒートシンクも旧タイプの時代から有る最もよく知られたもののひとつである)もしくは、永井ウルトラのPPKキットと、プリアンプが、もう手に入らない。
私も,2個ずつくらいしか手持ちがないし、ルーメニションのオプチカルタイプも1個のみ。 対応デスビも、一部の品番だけだ。これでは、お客様には対応できないので、別のものを探すと、実に安い品物があった。
何種類かあるが、どうやら、ロメオには3種類が適合するようだ。
早速、すぐに手に入るタイプをオークションで手に入れたが、本来のロメオ用ではないからか、マグネチックのワッカが、ポイントカムに対して余裕があり、コンマ何ミリかのガタがある。これが正常なのか、車種違いによるものかがまだ判らないが、シリコンなどでガタをとめて使っても問題はないだろう。メーカーの説明動画では、ハンマーで叩き込んでいるので、こんなにスコスコのことはないはずなのだが。本来の車種のデスビでこれは確かめる必要があるだろう。
しかし、これが使えるのなら、今までのデスビASSYの3分の一ほどの出費で、本来の進角特性が得られて、調子が取り戻せることになる。
一部のメカニックは、123の不調に嫌気を挿して、123離れをしている。
今後どのフルトラが、お勧めとなるのか?