私が伊藤忠j時代に憧れたツールが、Snap‐onのツールセットだ。
当時は、一流のレーシングメカニックは、プロトもしくはSnap‐onを使っているとものの本で読んで知っていた。
70年代、当時の分厚い、工具商用のカタログ
(ヤフオクに出したが、入札も質問もなかった)
当時、メトリックは、たった4ページだった。
左上の、190ピースくらいの工具箱セットが、100万超えくらいだった。(中型の新車1台)
伊藤忠が、撤退の希望退職者募集の第1回目で、社内外注作業のメカとして、退社。と同時に、会社から与えられた工具は返さなければいけないといわれ、最低限の工具は、いくらかの値段で買い取って、補充工具は、プロト、Snap‐on、PBと決めて、徐々にそろえた。
使って具合がいいのは、Snap‐onで、当時の梨地のプロトのオープンエンドは、そのままオープンエンドとなり、ナットをなめる粗悪品で、クリック式トルクレンチも、直ぐにバネがヘタリ、調整に出さないといけないようなものだった。(クリック式トルクレンチだけは、仮締めようラチェットレンチとしていまだに使ってはいるが)
当時のSnap‐onは、国産の10倍くらいの値段はしたし、すべて永久保証といわれた。
内外機器扱いから、六工社扱いとなり、バンセーリングが始まり、伝説のバンセールス、そのあだ名もバットマンと出会い、Snap‐on工具をずいぶんと揃えたものだ。
アルファーロメオのサービスで一番使うのは、13㎜のソケットレンチ。
クラッシックカーも触るつもりだったので、最初から、ネジを絶対舐めないように、6ポイントを使っているが、13㎜だけは、何代目だろう。何度か交換している。(もちろん当時のこと知っているセールスは永久保証をしてくれていた)
六工社から、Snap‐onジャパンになり、工具の値段は下がったが、ねだんの低下は、購入者層の人の低下。
それまでの薄いレンチは、ガラの悪いメカニックが、インパクトレンチに使用したり、パイプ入れて使ったり、わざとバイスに挟んで蹴り飛ばして折ったりと、永久保証だから、新品に換えろとすごんだりで、メーカーは対策として、工具を厚肉にした。
結果として、薄肉が必要だからと、高い値段のSnap‐onを買って、丁寧に使っていた、プロのメカニックは、Snap‐on離れをすることになるのである。
分厚くなって品質の落ちたSnap‐onは、もはや買わなくなって20年近くなるが、それまでにそろえた工具が現役で頑張っている。
良いものは高くても、一生使えるものだ。
一部のものすごくよく使うサイズを除いて、一人のメカニックがその人生を全うしても、工具は残るということだ。
表題に、Snap‐on卒業と書いたが、私の年齢からして、それは同時に人生の卒業となるであろう。生まれ変わったら、ネプロスに憧れるだろう。
いやいや、ロメオなんて、もう触らないだろう。
そういえば、Snap‐onジャパンが、独自に売っていた、ベルギー製のガレージジャッキ、一生保証すると、言った(西宮に居た)Hマネージャー、まだ会社にいると聞いたけど、この欠陥品、困っています。あの時買値で、クレームしてくれたら助かったのに、欠陥品を安く下取して、追い金で国産に変えるといわれた事思い出します。 あのころから、品質も、売り手も買い手も低下したんですよね。
完成したヘッド。
バルブガイド交換 リーマ通し後、当り修正のシートカット。
光明丹で、取りあえずの当たりを確認してくれている。
当方では、当然ながら、このまま組み付けたりはしない。
ガイド内径測定 ステム径測定
ガイド突き出し高さ測定 バルブセット高さ測定
以上のように、内燃機屋さんにて加工してもらったところを、再測定し、当方の指定値どうりであることを確認してから、バルブ摺合せ作業に入る。なお、これらの数値は、伊藤忠時代のマニュアルをもとに、現代の高品質になったOILを使用することを前提に、私の経験から、決めた数値であり、排気量、使用部品、ノーマル使用か、ファインチューン、ハイパフォーマンスチューン等、その時の仕様により、指定値が異なる。
内燃機屋さんがつけていた光明丹をふき取り、バルブいれて、ステムのクリアランス中心でのシート当りを探りながら、細目コンパウンドを使ってのバルブすり合わせを行い、最終的にOIL磨りで、仕上げる。
(注、)光明丹での当り点検では、ガイド中心が出ていなくても、当りは出るが、そのレベルではOHの意味がない。ガイド中心と、バルブシートの当りの円の中心が一致するように修正しながら摺り合わせるのが、本当の摺り合わせである。
内燃機屋さんが、ミラのカッター使うようになり、ガイドセットにもずいぶん慣れたようで最近では、芯がよく出るようになったが、必ず点検し、不都合あれば、自分でシートカットしなおすようにしている。
もちろん本当のチューニングエンジンの場合は、自前の3面シートカッターで、独自のバルブシートに仕上げている。
バルブ周りの加工は、メーカーのように、ガイドリーマーと、シートカットのチップが一体となった、専用加工機で仕上げることができれば、バルブの芯のずれなどない仕上げができるのだが。。。
カムも曲がり点検
カムシャフトジャーナルも、プラスチゲージで必ずクリアランス測定
バルブ組みつけの前に、カムシャフトのジャーナルクリアランスの測定も必ず行う。
カムジャーナルより溢れ出て溜まったOILがタペットの潤滑をするのであるが、ジャーナルクリアランスが大きくなったり、不ぞろいであったりすると、油圧、圧送量に影響し、クランク焼きつきの一因にもなるので、手を抜かずに必ず測定する。ロメオの場合、ノーマルで十分なポンプ容量があるので、正しく、クリアランスをとっていれば、とくに容量増のオイルポンプは必要ではない。
また、ヘッドG/K抜けで、ヘッドの歪み修正といって、面研磨したようなものは、ヘッドの上面歪と、カムジャーナルのラインボーリングの芯の曲がりの点検は必須項目である。
歪んだヘッドの面研磨は、OHCの場合は、何も考えないで簡単にやってはいけないのである。(ヘッドO/Hした後にエンジン焼きついたとかいうのは、ここらのことがわかってないメカが作業した結果である)
由緒正しき、伊藤忠の大阪工場にあったスプリングテスターそのものである
バルブスプリングの倒れ、フリー長さ、規定寸法での荷重測定、そして、バルブリテーナーの寸法修正をして、バルブ系を組み付ける。
後はタペットシム無調整だけである。 シムは、とくにバルブを新品に変えた場合は、必ず新品を使うのが、鉄則である。
組み上げ完了したヘッド
阪神高速道路の料金が、今年に入り、距離別料金に変わった。
料金変更前の説明では、短距離の人には値下げになることを宣伝していたが、今年に入って2か月半、通勤で毎日のように阪神高速の堺から守口までのるが、非常に空いている。
近距離が安くなったといって、途中のランプから入る車が多くなったとか、途中で降りる車が多くなったとかは、感じないし、むしろ、多くの車が最大料金の距離を走っている感じがする。
私は夜間の割引がなくなったので、夜間は阪神高速に乗ることはやめた。今回の料金改定は、誰が何と言おうと、単なる値上げである。
そもそも、阪神高速を作った目的は、なんだったのだろうか?
当時、日本は、経済的にも、工業的にも、発展著しい時期で、東海道新幹線開業、名神高速開通、東京オリンピック、大阪万博と、次々と何らかの話題があった。
首都高の作られた時の説明はどういうものか知らないが、阪神高速の枝線の用地買収の時の話は知っている。
他の工業都市同様、大阪も工場の煙突から排出される煙と、大幅に普及し始めた車の排ガスによるスモッグと、市内の幹線道路の交通停滞に悩まされていた。
そこで、スモッグ解消と市内の交通停滞をなくすために、バイパスをつくり、車両集中を防ぐのが目的であった。
環状線から、枝線である堺線、守口線、池田線等への建設拡大にあたっては、市内に用のない車(特に大型車)を市内中心部を通り抜けさせないように、衛星都市間を結び、また市内中心部と郊外とのスムースな流れをも確保するためにも、国道と直結した、自動車専用道を作るというものであった。いわゆる、公共事業である、国道バイパス機能としての建設である。(国道1号線と直結する守口線、43号線と直結する西大阪線、国道26号線と直結の堺線等、これらは、国道を走っていると、自然に阪神高速に入ってしまう作りとなっている。)
建設目的が大阪市内の交通停滞の解消であるから、国道と直結し、市内幹線道路とのスムースな連携は、当然であった。
阪神高速は、いち株式会社の経営する観光道路とは、造った時の目的が異なる。
あくまでも、公共のためにという名目で作られた道路であって、ジジイの天下り先確保のための株式会社であってはならないのである。
阪神高速道路公団による、用地買収、立ち退きにさらされた場所の人たちは、大阪の交通事情、公害対策のためという説明の元、阪神高速道路建設用地として、他の人たちのための犠牲となって住み慣れた土地を手放したのだった。
私の友人にも、何人か立ち退きさせられたものがいたので、その時のことはよく知っている。
立ち退きに応じた人たちは、公共事業で、相手が公団だから、土地を手放し、バイパス建設に協力したのである。
営利目的の株式会社としての阪神高速なら、ほとんどの人は、立ち退きには応じなかったはずである。
ましてや、定年後のジジイの天下り先なんて、もってのほかである。
営利目的の企業でありたいなら、個人的に立ち上げた、いち株式会社から、始めれ ばよい。国営、公営からの分離民営化のような天下りそのものであってはならない。
現阪神高速株式会社は、その成り立ちを考えても、関西の活性化のためにも、値下げ、休日割引、夜間割引、回数券のような割引を実施すべきである。
少しでも、利用者の便利なように、。公団として造られた阪神高速の義務でもある。
アルファロメオの名作エンジンと言えば、あの伝統のオールアルミ4Cエンジン
最初は、1300CCの750エンジン(スモールエンジン)として生まれ、のちに1600への排気量アップに備えた101エンジン(ビッグエンジン)に発展する。
101エンジンは、事実上105エンジンと同じで、さらに116、75、スパイダー115へと。
1950年代後半から1990年代前半まで作られたオールアルミ4Cツインカムエンジンは、戦後のアルファロメオの最高傑作の名機である。
このオールアルミエンジンは、レース用として、発展型のヘッドが何種類か存在する。
なかでもいちばん有名なのが、GTAヘッド。世のツインプラグエンジンの代表作である。
そして、そのツインプラグエンジンを乗せたGTAのオーナーが欲しがるのが、狭角ヘッドである。
1300GTA/J アウトデルタに搭載されたこのヘッドは、さらに排気量の大きな1750GTAMにも搭載され、ETCのツーリングレースを2階級制覇するのである。
これら以外にも、4バルブヘッドも存在するのだが、今は手元に写真がない。(Iさんが、GTAに載って遊びに来た時に写真を撮らせてもらうつもりである。)
制作中の4台の1800CCエンジン。3種類のヘッドの比較
1800エンジン用に用意した各種ヘッド。
左から、狭角ヘッド、GTAヘッド、アルフェッタ1.8チューンドヘッド、1750後期ノーマルヘッド
バルブサイズは、シングルプラグが IN 41 Ex 37
GTAはIN 45 Ex 41
狭角ヘッドは、1800用にサイズアップして、IN 42 Ex 37の予定。
同じく左から、狭角ヘッド、GTAヘッド、チューンドヘッド、ノーマルヘッド
ノーマル以外は、ポート加工済みだが、GTAヘッドは、本来ジャンク品で、ポートもバカ拡大して穴が開いていたので、アルミカラーを制作して、ポート内でアルゴン溶接し、サイズダウン加工している。
80°ヘッドは、シングルプラグとツインプラグという以外、特にポートの違いはない。
狭角ヘッドは、上方から斜めに入るポートで、スワールポートになっているところが、80°ヘッドのダイレクトポートとの違いである。
次に比較するのは、GTA狭角ヘッドと、同じ狭角ヘッドながら、似て非なる75T/Sヘッドである。
インテークポートの位置の違いに注目。
バルブ傾斜角が、同じなのに、TSはかなり低い位置から、水平にポートがついている。ダイレクトインレットポートである。このあたりの設計は、量産型の80°ヘッドと同じで、バルブリフトが十二分にあるならば、パワーはそれなりに出るが、、、、
TSは、ごく普通に、水平方向にEXポートが出ているが、GTA狭角ヘッドは、ヘッド内でよりEXポートが回り込んで、EXマニホールドが、ななめ下方向に付くようになっている。
燃焼室は、TS用は、INのバルブシートがまるで多球型ヘッドのように沈み込んだ位置にセットされている。このバルブシート位置と、ダイレクトポートとの組み合わせは、疑問が残るセッティングである。やはり、TSヘッドは、排ガス対策の燃焼効率の追求のためのもので、パワーは2の次の設計である。ならば、ダイレクトポートより、スワールポートにしたほうが、より良い燃焼結果が出ると思うのだが。
せっかくヘッドを新規に作り直して、ブロックピッチとヘッドピッチを合わせ、まともになった唯一の2000エンジンなのに、残念なヘッドである。
ヘッドピッチだけ、2000エンジンの腰下に合わせ、ポート等は、GTA狭角ヘッドのままのモノを作ってくれたら、どれほど良いエンジンになったか。