いざ、テスト走行へ。
気分は、S ムナーリ
サファリでは、早着が過ぎて、失格
S.ムナーリの繰るランチアが、サファリラリーで、オフィシャルが、チェックポイント開設する以前にその場所を走り去ってしまって、あまりに早すぎるからと止めたのを無視して走り去ったとして失格という、前代未聞、あまりのスーパー快走ぶりに、あのままだったらどうせリアイヤしたとか、いや、ぶっちぎりでの優勝だったとか、当時はいろいろ言われたものだ。
それほど、S.ムナーリと、ランチアの取り合わせは早く、カッコよかった。
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ランチア フルビアHF この2ドアクーペは、過去に、1.3と、1.6と、少しだけ触らせてもらったことがある。
1.3は、エンジンがピーキーで、1.6は、うんと大きなオーバーフェンダー仕様だったので、ハンドルと格闘する羽目に。
どちらも試運転には、すごく気を使った。
今回の車は、1.6で、ホイールも極端に張り出していないので、ごく普通に乗ることができる。
この独特のV4 マギーブイヨンは、キレの鋭い、よく回るエンジンだ。
今回の指令は、エンジンと、ブレーキと、ヘッドライトの3点の修理だ。
まずは、ジャダーが出るというブレーキの状態の確認と、Dr.Hが、畑中葉子の歌を歌いだすという、私にはわけのわからないエンジンの状態確認の試運転から始める。(この試運転が役得なんですよね。自分では買うことのできない貴重な車に、乗ることができます。過去には、本番のMMに出場予定だった、アルファロメオ2300MMという、Hコレクション所蔵だったビンテージカーも、オーナーの自宅から万博公園周りまで走らせたこともあります。)
いつもの、北大阪トラックターミナル、試運転コースで、いろんなパターンでの、加速減速コースティングと、エンジンのチェック。 畑中葉子というよりも、Dr.Hが好きな豊丸姉さんだった。(どんな状態だって?加速して、少し気を抜いたようにコースティングに移ると、誰かが後ろから前から、バッコンバッコン。
ブレーキは、リヤの片側ロックと、片方のパッドの当たりが悪いようなジャダーが出た。
状態は確認できたので、すぐに工場に戻っての、心当たりの個所の点検だ。
エンジンの息つきは、キャブのジェットもしくは、点火時期の不適合の感じなので、ジェット点検から入った。
スロージェットを外してびっくりくりくりくりっくり。
メイン系のジェットブロックを外してまたまたびっくりくりくりクリックり。
なんと、1600のエンジンに、スロージェット#60
エマルジョンチューブが、DCOEキャブに、F7
なんと特殊なセッティング。いや雪隠愚。
あまりに不思議なので、ちょっと、PC開いて、フルビア ウェーバー等で、検索。
あった、あった。 (本当はノーマルの、キャブセッティングが知りたかったのだが。)
ジェットセッティングで、素人が苦労している記事が。
サラーっと流してみていると、途中から、出てきましたよF7エマルジョン。
DCO50の標準とか????????????
わりと最近まで、DCO50の新品は持っていたが、そんな間違ったエマルジョンだったっけ???
このフルビアのサイトも、Dr.Hと同じ人種で、「後ろから前からどうぞ」と書いてある。
何が間違い?? キャブのメイン通路の入り口の位置と、エマルジョンの胴の上側の角の位置の組み合わせ。
今回装着されていたキャブは、45DCOE9の旧タイプで、DCOE系共通のメイン系統の通路位置で、キャブ本体上面から、22mmのところに、メイン通路の穴の下側が来る。図の赤い線の位置だ。
この位置以上に、油面が来ると、メイン通路からガソリンが噴き出す。
当然ながら、静止時の基準油面は、この位置より下で、ウェーバーのマニュアルでは、29㎜となる。すなわちメイン通路の下側からさらに7mm下に標準での油面があるエマルジョンチューブが装着されると、エマルジョンの胴の太い所と、キャブ本体の壁との隙間で、毛管現象で油面が少し上がる。(図の右側F16 F11のほうが青い部分が、基準油面よりも上に上がってる)
静止時に、毛管現象でも、絶対にメイン通路まで届かないように、エマルジョウンの胴の太い所の上端は、取り付け状態で、キャブ本体上面から24mmの位置になっている。(F11,F16、F9,F2,F15等、DCOE用エマルジョンの場合。)
メイン通路の穴の下端が22㎜だから、まだ2mm届かない位置に、エマルジョンの胴の角が来る。
この位置から、エンジンがかかった場合、そしてスロットルが開いていって、インナーベンチュリに負圧が生じるエアーの流量になると、メイン通路を通して、チャンバー内の気圧も下がり、エマルジョンチューブの入っているところの油面が高潮状態になる。せりあがった油面は、メイン通路から、インナーベンチュリーの中心に引っ張られて、インナーベンチュリーの中心から霧吹きの状態でガソリンが噴出する構造だ。
今回装着されていたエマルジョンF7の場合は??肩の高さが,装着状態で、上から29㎜という低い位置だ。
この29㎜という位置は、静止時の標準油面高さと同じで、そこより上はエマルジョンが細くなっているので、ほとんど毛管現象がおきない。したがって、メイン穴の位置まで、7mmもの高さを、高潮状態になるまで、気圧がさがらないと、燃料が噴出しないのだ。そして、上部にブリード穴のない状態は、メインからの燃料噴出が、ある時点でいきなり噴出する。子供がストローでぶくぶく遊びしていて、いきなりテーブルにジュースをこぼすように。
F7の場合、エマルジョンサイドのブリード穴は、肩の部分の下側と、ほんの少し上にあるだけなので、メイン通路から燃料が出るほど、チャンバー気圧がさがった状態では、もはや最初からほとんどすべての穴が、メインエアーで計量されたエアーブリードとなり、補正がほとんど入らない。
何のためにエマルジョンチューブがあり、何のために、PLタワーなのだ。(意味わかりませんか??)
エマルジョンチューブの意味、命は、胴の膨らんだ部分の太さと、開けられたブリード穴の位置と数なのだ。胴の太い部分のすぐ上にずらりと並んであけられた穴が、エマルジョンチャンバー内への、基本的なエアーの流れで、その上の部分の穴は負圧補正用、そして、胴の部分に開けられた穴がブリード穴だ。この胴の太い所にある穴で穴で順番にブリードしなければ、ブリード補正ができないのだ。エマルジョンチャンバー内の負圧がまだ少ない時、インナーベンチュリーからの燃料噴出がまだ少ない時は、この下部のブリード穴は、エマルジョンチューブ内に、燃料がが入る穴となり、回転が上がり、メイン通路のほうに流れる混合器の量が増えるに従い、エマルジョンチューブ内の油面がさがり、胴の穴の上部から順番にエアーブリードが始まる。最終的にはすべての穴から、エマルジョンチャンバー外側に向かってエアーが噴出し、メインジェットと、エアージェットで計量された混合比にの燃料が供給される。
散らした穴からのエアー流入は、ジェットブロックの入る穴の中の圧力を徐々に調整し、必要に応じてのブリード穴からのエアー供給で、エンジンの要求する燃料噴出量にコントロールするためのものなのだ。
回転数ごとの要求に応じたエアーブリード補正の特性が欲しくて、ウェーバーでジェットセッティングするのに、この形のエマルジョンでは、DCOEキャブの正しいセッティングはできない。ゼロ四とか、特殊な回転域だけを使って、ブリード穴の位置での特製変化を使うようなセッティングをしないのなら、ガキのぶくぶくストローでも問題ないのだろうけど。
基本的に、エマルジョンの太い部分の上端位置は、キャブのメイン通路の位置の少し下になるものをセットするのが基本となる。いや、そう設計されているものなのだ。もちろん、基準油面も、同様である。
要するにキャブのタイプによって、エマルジョンの基本形状が違うのだ。
一部のイレギュラーで使う使い方をアマチュアが真似してはいけない。
異常に低い油面セッティング
なんと裏返して、8.5㎜の状態だ。
F7エマルジョンという、45DCOEキャブに使うエマルジョンとは違うものを無理に使っていたから、本来の基準油面では、かぶってしまうから、異常に低い油面にセットして、そうなるとスローの吸いが悪いから、16エンジンとしては異常に大きな#60というスロージェットで、ごまかしていた。結果、コースティングの時に、エンジンが吸い込みすぎてむせて、過呼吸というか、バッコンバッコン後ろから前からになっていた。
もちろんこれでも、アクセルをONかOFFしか使わない走りなら特に問題はないのだろうが、普通の人間が普通に使うには、ハーフ、コースティングでもきれいに回る仕様でなければ困るであろう。
本来のフロートレベルとの違い。
WEBERと言えばアルファロメオ
その昔の極東のWEBER MANUALや、近年売られていた、雑誌のキャブマニュアルよりも、アルファロメオのワークスマニュアルには、よほど詳しく載っています。
油面位置と、調整方法、車載での測定方法
フロート位置は、カバーを立てて測るんですよ。
裏返したらダメですよ。