2014/10/23 12:36 日経速報ニュース 433文字
【ワシントン=共同】開発中のがん治療薬が、特定のタンパク質の働きを邪魔して肺がん細胞を消滅させる効果があるのをマウス実験で確かめたと、米シカゴ大の中村祐輔教授らのチームが22日、米医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシンに発表した。
このタンパク質は乳がんなどさまざまながん細胞の増殖を促していることが知られている。中村教授は「マウス実験でもこれほど効果があるのは珍しい」としており、来年秋にも人に投与した際の安全性を確かめるための臨床試験をシカゴ大で開始する予定だ。
この治療薬は、川崎市のバイオベンチャー「オンコセラピー・サイエンス」が開発した「OTS964」。同社は中村教授の研究を受けた分子標的治療薬を開発している。
チームは、悪性度が高い人の肺がん細胞をマウスに移植。ある程度の大きさまで増殖させた後で薬を投与すると、がん細胞が縮小して約4週間後にはほとんど消滅した。薬には副作用もあるが、投与方法を工夫することで軽減できるとチームはみている。