「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

かけちがい

2005年01月25日 | 塵界茫々
 外出しようとして、あるじに挨拶したところ、「上着のボタンが一つずれているよ」と注意されました。
 さりげなく「おや、まあ」と繕いましたが、愕然の老化現象です。心ひそかにボタンを掛け違えるようになったら第一段階と決めていたできごとです。
 万事そそつかしい私ですが今までになかった状況にあわてました。最近はこれというわけもなく、やたら気がせくという現象があります。この、”わけもなく”が曲者で、どうやら生き急ぐ年齢になったのでしょう。これから次々に進行するのかと思うと気が重くなります。
 ITの教室で教わったことも、そのときは理解できたと思い込んでいても、帰宅して一人で繰り返すと早速躓いてしばらくの試行錯誤となります。当然のことながら、若い人とは足並みが揃いません。それを悲しいと思わない開き直りの図太さに、これぞ老化と暗澹とします。
 そこで身を慎んで注意深く自分の位置を見つめればいいのでしょうが。
 今までの、「迷ったら突き進む」の粗雑な生き方から、分相応が,歳相応が美しいという哲学にはいまだに到達できないでいます。

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4 コメント

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順調です。 (りこ)
2005-01-25 22:29:48
昔南田洋子主演のテレビドラマで「その時が来た」というのがありましたが、私などは何時も失敗していますのでその時がいつも…。毎日です。姉が年を取って物忘れがひどくなったとボヤイタ時に義弟が順調順調と慰め?ました。順調に年を重ねていると考えれば落ち込まずにすみますよね。
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「その時」の人 (bon!)
2005-01-26 08:01:24
自信のあった体力の衰えは、それなりに納得するのですが、記憶力の低下や精神力は、分析力や知識の蓄積で補って、退化の速度を遅くできるとうぬぼれていた手痛いしっぺ返しです。
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代名詞の活用 (香HILL)
2005-10-06 20:48:22
今年の1月のプログを今頃読んでいます。

皆さん方の文章は間然するところがなしと感心しきり。ところで、ここ最近、ご近所のご隠居さんとの井戸端会議ではお互い固有名詞が出てこず、あの人とか・あそことか・あれとか・代名詞が多くなってきています。

英語のitとthatの活用です。

友人のケース、夕食時、前に座って食べていた母が突然”アンさん、私の息子に

似てますね”と・・・、吃驚仰天とはこの事。何事も順番、お互い、ボケの迎えが来るまで、お喋り一筋路線を突っ走りましょうよ。喋りでは肩こりは治りませんけど、心のシコリはホグスことができます。
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代名詞のかけちがい (boa !)
2005-10-07 11:15:47
 どちらもおしゃべりで、傘寿を越した主とよく話しますが、このところthatの連発で結構会話が繋がっていて、ふと通じなくなり、it がかけちがっていて、なんだ、そのことだったの。と言う次第。

 「かけちがい」 なるブログを書いていたこともすっかり忘れていました。

 自分で書いていて、懐かしい気分です。これも明らかな老化現象。

 養老氏によると、記憶装置にはキャパがあって、新たな記憶が入るには出てゆく記憶があるそうで、そのとき残されるのは、幼少時の記憶がしぶとく残るのだそうで、今年初めの記憶は格好の追い出される消去の記憶なのでしょうね。

 諦めずに「心のしこり」をほぐします。
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