「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

不測のできごと

2008年09月14日 | 塵界茫々
 前から寝つきが悪く、睡眠導入剤の世話になることが多かった夫ですが、手術後は効きが速いので、投薬された錠剤を半分にして時折飲んでいたようでした。

 11日の早朝、4時近く、私はもう起きて着替えをすましていました。廊下で起きている気配がしたので、覘いてみると、パジャマの肩から胸の辺りまで血だらけで、顔は目と鼻、口からも血が垂れています。驚いて、「どうしたの。」と尋ねるのですが、「わからない。」と言う返事です。今,鏡を見て気がついたということで、記憶が完全に途切れているようでした。手にしている顔を拭いたタオルも血だらけです。

 意識ははっきりしているし、物も見えるようでした。両手足を動かすように言ってみましたが、運動機能にも異常はないようで、ただ、足がふらつくといっていました。
 夜が明けるのを待って、ホームドクターに電話をし、状態を説明すると、「睡眠薬が原因ですね。出血はまだ続いていますか。」と尋ねられました。
 出血はほとんど止まっていました。そのまま冷やすのを続けるようにと指示されました。年寄りのこうした事故には慣れているのか、余り心配しないでいいといった対応でした。

 鼻と目の堺もないほど紫色に腫れ上がって、無惨な面相です。
 どこで何にぶっつけたかはわかりませんが、ベッドの傍の床に血が落ちているので、トイレに起き上がり、ふらついて方向を誤って転倒したときに、何かにぶつかって、顔をしたたかに打ったもののようです。
 鼻を噛んでも血が混じるし、唾にも血がまじっているので、念のため午後、病院に行くことにしました。サングラスを外すと、顔なじみの受付や、看護婦さんたちが一様に驚いていました。
 触診で、大丈夫でしょう。ということでしたが、目のほうは気になるので、次の日は、検査にゆきました。目が赤くなっているけれど、眼球に異常は見られないということでした。内出血があるのでと、点眼の薬を貰いました。3日目になると、それまではさほどではなかった片方の頬が、おたふくかぜのときのように腫れてきました。

 口の中の感覚がないといって食欲も落ちていましたが、今は少し食欲も回復してきました。目の辺りの腫れも少しずつ減っています。

 年をとると、何が起るかわからないと、しみじみ思い知ったことです。連休明けには、念のため脳外科にも診察を受けに行ってもらうつもりです。
 私の足許もおぼつかないというのに、これで補助なしには歩けなくなると大変なことになりますので。

 夏の名残に絡まり揺れる風船蔓です。



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6 コメント

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おだいじに ()
2008-09-14 09:08:26
 boa!さん さぞかし驚かれたことでしょう。ご快復をこころからお祈りします。 

 お心のままに揺れる風船蔓、こまやかな観察、静かな気力溢れる作品です。背景の色が引き締めて、透明な色が涼しく品がいい。ゆたかな歳月を思います。

 お見舞い申しあげます。 boa!さんも おだいじに
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ありがとうございます。 (boa !)
2008-09-14 15:59:42
お見舞いありがとうございます。
瞬間、ああ、駄目かな。と早とちりしました。たまたま来訪した妹も仰天するほどでしたが、お蔭様で大分回復に向かい、どうやら人間の顔らしくなってきました。
ご心配をお掛けしました。

秋風に身を揺すりながら風船蔓はまだ咲き続けています。描きやすそうで描きにくい草花です。
秋海棠は今盛りの姿です。
今宵の十五夜は曇り空で望めそうにありません。関東はお月見ができるのでしょうか。
雨に向いて月を恋い、月はくまなきをのみ見るものかは。と痩せ我慢を呟いていましょうか。
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Unknown (metabo)
2008-09-14 18:43:33
大変でしたね。お二人共、さぞや驚かれ不安だった事でしょうね。でも大事に至らなくて何よりでした。
老親4人をかかえる身としては他人事とは思われず、心より御快復をお祈りします。
文面からboa!さんの気丈さが伝わってきますがくれぐれも無理をなさらないでくださいね。


我が家も陶芸小屋の周囲に登らせた風船蔓がいっぱい実を膨らませています。
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引き算の暮らし (boa !)
2008-09-14 21:54:54
用心深くても、事故は起る時には起るものですね。
できなくなってくることばかりが増えるのは寂しいものです。でもそれが老いを生きるということでしょうから。metaboさんもこれからが大変ですね。

お心遣いありがとうございます。私は気丈なのではなく、戦中派で空爆の死を間近で見てきましたし、その上、両方の家の年寄り7人を送ってきましたので、命の際に、奇妙な慣れのようなものを持ってしまいました。それで慌てないだけです。

陶芸の小屋の周りで揺れている風船かずら、想像するだけで風情があります。
好きな草花なのです。
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妻を娶らば (香hill)
2008-09-14 22:43:47
大変でしたね。
異変発生時には先ず落ち着く事と教わってはいるが、
気が弱い当方ではそうはいかんでしょうね。
慌ててしまって対処の優先順次も分からなくなる。

その点、手足の動作確認を指図される”御台所”のスゴサに恐れ入りました。ご主人様も再認識されたでしょう、奥様の有難さを。
顔面打撲は直後の変形に吃驚しますが、時の経過で
収まりますよね。足首や膝を痛めた時の方が治療が長引きます。

食欲復活はなにより。
主宰も”お台所”でご馳走作りに精を出してください。
冷奴から湯豆腐に移行する季節を迎えました。

明日は敬老の日。当方も自分で自分を敬う予定。

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敬老の日 (boa !)
2008-09-15 05:17:11
香HILLさん、優しいお言葉ありがとうございます。
老二人、互いを気遣いながら併せて一人前の暮らしですが、何が起るかわかりませんね。

形の変貌よりも、記憶が全くないのが怖いです。一番怖れていることの前兆かと、肝が冷える思いでした。

”お台所”で、ままごと遊び様の、刻みと、流しこめるものを作っていましたが、今は”お好み”のものを、「体にいいから」のセリフはお預け。まず食べてもらえるものを拵えています。
付き合って、久しぶりの断酒です。湯豆腐には日本酒が合いますね。柚子胡椒をちょっぴり加えた梅味噌でというのも、時にはいいですよ。
今夜は満月が見られるといいのですが。

香HILLさんも、元気でコースを回れる日が続くようお体を大切になさってください。
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