constructive monologue

エゴイストの言説遊戯

レディオ・(アン)フレンドリー

2007年11月27日 | hudbeni
当初の予定では昨日(11月26日)に「アーメット・アーティガン追悼コンサート」で再結成を果たすはずであったレッド・ツェッペリンであるが、ジミー・ペイジの骨折のため、12月10日に延期されたことはすでに報じられているとおりである。そうした突発的な事情とは別に、再結成に合わせる形で新たにベスト盤「マザーシップ―レッド・ツェッペリン・ベスト」と、収録曲が追加された「永遠の詩」が発売され、いくつかのラジオ番組でも特集が組まれたりしている。

しかし特集といっても特別番組でもない限り、長くて30分ほどの時間が割かれるに過ぎず、当然のことながらそれにあわせた選曲が求められる。とくにツェッペリンの代名詞ともいうべき「天国への階段」を外すわけにいかないとなると、8分強の長さと、途中でフェードアウトすることを拒否するような構成のため、それ以外の選曲に対する制約が大きくなってくる。

そうなるとどうしてもラジオフレンドリーな前期の曲で、「ハードロックバンド」という一般的なイメージに沿う「コミュニケイション・ブレイクダウン」、「移民の歌」、「ロックンロール」などが中心となり(「マザーシップ」ではディスク1収録曲)、最後に「天国への階段」を持ってくる一定の流れが決まってくる。おそらく「ツェッペリンの存在を知ってもらおう」という趣旨からすればこうした選曲は妥当なものだといえる。他方で、ツェッペリンのもつ多様性に光を当てようとすれば、5枚目の「聖なる館」以降の楽曲が中心となってくる。といっても、これら後期ツェッペリンを象徴する「ノー・クォーター」、「カシミール」、「アキレス最後の戦い」などは総じて「大作」で、ちょっとした特集程度では最悪の場合「天国への階段」プラス1曲で終わってしまう可能性もある(もちろん「天国への階段」に拘わらなければ別の話だが)。

既存のカテゴリーに収まり切らないレッド・ツェッペリンの音楽的奥深さがもたらすアポリアの一事例と解することもできる。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 籤引き補強 | トップ | モデルとしての英連邦 »

コメントを投稿

hudbeni」カテゴリの最新記事