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トウモロコシが魚になる日

2005-07-23 22:01:24 | BOOKS
マーク・L・ウィンストン 「トウモロコシが魚になる日」清流出版 2005.07.07. 

収穫量の多いハイブリッド・コーンは、その種の系統を農家が自力で保持することはできず、トウモロコシ農家は、種子を企業に依存するようになった結果、アメリカでは、1903年の時点で栽培種として入手できるトウモロコシが786品種もあったのに、1983年になるとその93パーセントが姿を消して、たったの52品種しか残っていなかった。 
緑の革命ののろしがあがった1950年代から1960年代にかけて、主にフォード財団とロックフェラー財団から資金援助を受けながら、生産性向上につながる新種の小麦とコメの開発が始まった。それらの新品種が十分な成果をあげるためには、大量の水と比較的多量の肥料と農薬を投入しなければならなかった。 
ほとんどの貧しい農家には、緑の革命の牽引役となった作物を栽培できる余裕などなかったし、新種の作物を栽培していた農家も、何千年にもわたる淘汰の過程で在来の害虫と病気への抵抗力を培ってきた従来種の作物から手を引いたせいで、結果的に収穫高を減少させてしまった。 
害虫や病気、土壌の養分不足、水不足などはいずれも、GM作物によって解決できる管理可能な問題ばかりである。GM種子を利用すれば、費用のかさむ農薬や肥料を投与することなく、高価な水利施設に頼らなくても、うまいこと生産力を向上させられるはずだし、実際、バイオテクノロジーは、資力に乏しく、教育を受けていない農民でも、簡単に取り入れることができる。
GM作物は、新製品を供給し、経済成長や作物の増産、農薬の使用量の軽減、多種多様な農法の選択といった利益をもたらすうえに、貧困に苦しむ世界中の人々の食と健康の問題も改善してくれる。
もつとも、遺伝子組換え作物はリスクが皆無というわけではない。自然界の生態系を傷つけて、在来種の有害生物を淘汰してしまうおそれがあるし、食品に混入した場合には、アレルギー反応をはじめとする健康被害をも引き起こしかねない。
さらに遺伝子組換え作物が、開発途上国の貧しい市民や、全世界の人間からも不当に利益をむさぼるための手段として利別される場合もあるだろう。

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