竹林の愚人  WAREHOUSE

Doblogで綴っていたものを納めています。

華人社会がわかる本

2005-07-17 00:15:38 | BOOKS
山下清海 編 「華人社会がわかる本」 明石書店 2005.04.15. 

陳來幸 神戸華人社会の形成と特色 
神戸の華僑社会が形成され始めるのは横浜から遅れをとること9年。その歴史は、1868年1月に開港した神戸港とともに始まる。 
居留地の北限は旧西国街道、東限が生田川まで。正式な条約関係を持たないことを理由に、居留地での営業と居住は許されず、西側の制限的雑居地であった元町通から海岸通一帯に店を構えるようになった。神戸では居留地外に南京町が形成されていく。 
神戸の華僑社会は港神戸が持つ特異性を反映し、広東、福建、新江・江蘇など広範な出身地別構造を持つ。  
開港後の日本社会は、中国および東アジア各地の輸出入商と取引ができる才覚ある華商を必要とした。さらに、欧米系銀行や保険会社、商社が居留地を通じ日本市場へ進出を果たすためには、漢字を介する交易の仲立人として、英語を話す中国人買弁(ばいぺん)がなくてはならない存在であった。 
中華会館はじめ、三江公所、福建公所、広業公所、学校などの公産が生み出されたのは、神戸が海産物とマッチ輸出の魅力で華商を惹きつけた1890年代から20世紀初めの頃。神戸港および神戸華僑の最も華やかなりし繁栄期であった。 
神戸の華僑社会の構成は、歴史的に見て大きく3回の変動期があった。
第1は開港で華商が神戸港に惹きつけられ、華僑社会が形成された時期。
第2は、戦後、旧来の華僑とほぼ同数の規模で、「新華僑」台湾人が新たに華僑社会の一員となった時期。
第3は、改革開放後新移民が来日し、一部の者が「新華僑」として日本に定着するようになる、1980年代半ば以降、現在進行形の変動期である。
留学生からスタートし、ハイレベルの知識を身につけて定着した人びとが新華僑の特色を彩っている。また、「日本人の配偶者」資格の新華僑の多さにも注意を向けるべきであろう。 
神戸華僑の特徴を説明するのに、「共生」は重要なキーワードだ。
第1に日本製産品の販路を広げたパートナーとしての華僑貿易商の存在。
第2に1995年の阪神大震災での体験。華僑コミュニティがホスト社会とともに「共死」と「共生」を体験した。
第3は、大陸系と台湾系の共生である。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。