横浜開港150周年記念 「横浜・東京-明治の輸出陶磁器」展に行ってきました。
製陶に適した土がないという横浜ですが、明治の頃は貿易港として海外へと
多くの陶磁器を輸出していたため、絵付けの工房や窯元などが集まってきて
輸出用工芸陶磁器の一大産地を形成していたそうです。
その中でも特に有名なのが、高浮彫で知られる宮川香山の「真葛焼」。
今回はそんな横浜産陶磁全盛期の作品に、東京で造られた作品も加えて
約150点ほどの陶磁器が展示されています。
なお、展示の大部分は有名な香山研究者であり、「色絵蟹高浮彫水鉢」
(今回は出品されていません)他を有する田邊哲人氏の所蔵品。
氏の真葛焼コレクションを一堂に見られるまたとない機会でもあります。
さして広いとはいえない会場は2部構成となっており、前半には東京産の陶磁器、
後半には真葛焼を含めた横浜産の陶磁器が展示されています。
いわゆる西洋陶器の持つ豪華絢爛さとはちょっと趣きが違って、ジャポニスムと
中国趣味が微妙に混ざったデザインが多いのですが、細工や絵付けの精緻さには
驚くべきものがありました。
細かい点や線の盛り上げと大胆な高浮彫、そして釉薬の微妙な色あいの美しさに
日本の高い技術力の原点を見たような気がします。
今回初めて名前を知った作家の一人が、井上良斎。
初代・二代目とも優品を遺していますが、特に二代目良斎の「釉下彩紫陽花香炉」は
色あいと造型の見事なバランスに目を奪われました。

「高浮彫群猿茶家」では、酒などを注ぐ茶家の上にかわいいらしい猿が群れています。

二代良斎の作品ではこれが一番好きかな。
初代宮川香山の作品は実に28品。そのうち高浮彫が19品(香炉も入れると20品)。
渡蟹水盤や枯蓮二白鷺花瓶はありませんが、代わりに「牡丹ニ眠猫覚醒蓋付水」や
「南天二鶉花瓶」が一度に見られるという、実にぜいたくなラインナップです。
高浮彫をやめた後の作品では、シンプルな造型と美しい釉薬の色が合わさっており、
初期の真葛焼とはまた違った魅力を発見することができると思います。
香山の作品では枯れた蓮の葉や鳥の羽など、自然の形を緻密に写し取った作風が
印象的なのですが、一方ではリアルな中にユーモラスな要素を取り込んだ作品も
いろいろ造っていたことを、本展で知ることができました。

この「梯子ニ遊蛙花瓶」などもその一例。ハシゴの先にカエルがちょこんと
乗っかっているのですが、ここではちょっと見えないですね。
6月22日まで展示中なので、興味のある方はぜひ実物をご覧ください。
他にも優品が目白押しで、日本の工芸の奥深さを知ることができると思います。
製陶に適した土がないという横浜ですが、明治の頃は貿易港として海外へと
多くの陶磁器を輸出していたため、絵付けの工房や窯元などが集まってきて
輸出用工芸陶磁器の一大産地を形成していたそうです。
その中でも特に有名なのが、高浮彫で知られる宮川香山の「真葛焼」。
今回はそんな横浜産陶磁全盛期の作品に、東京で造られた作品も加えて
約150点ほどの陶磁器が展示されています。
なお、展示の大部分は有名な香山研究者であり、「色絵蟹高浮彫水鉢」
(今回は出品されていません)他を有する田邊哲人氏の所蔵品。
氏の真葛焼コレクションを一堂に見られるまたとない機会でもあります。
さして広いとはいえない会場は2部構成となっており、前半には東京産の陶磁器、
後半には真葛焼を含めた横浜産の陶磁器が展示されています。
いわゆる西洋陶器の持つ豪華絢爛さとはちょっと趣きが違って、ジャポニスムと
中国趣味が微妙に混ざったデザインが多いのですが、細工や絵付けの精緻さには
驚くべきものがありました。
細かい点や線の盛り上げと大胆な高浮彫、そして釉薬の微妙な色あいの美しさに
日本の高い技術力の原点を見たような気がします。
今回初めて名前を知った作家の一人が、井上良斎。
初代・二代目とも優品を遺していますが、特に二代目良斎の「釉下彩紫陽花香炉」は
色あいと造型の見事なバランスに目を奪われました。

「高浮彫群猿茶家」では、酒などを注ぐ茶家の上にかわいいらしい猿が群れています。

二代良斎の作品ではこれが一番好きかな。
初代宮川香山の作品は実に28品。そのうち高浮彫が19品(香炉も入れると20品)。
渡蟹水盤や枯蓮二白鷺花瓶はありませんが、代わりに「牡丹ニ眠猫覚醒蓋付水」や
「南天二鶉花瓶」が一度に見られるという、実にぜいたくなラインナップです。
高浮彫をやめた後の作品では、シンプルな造型と美しい釉薬の色が合わさっており、
初期の真葛焼とはまた違った魅力を発見することができると思います。
香山の作品では枯れた蓮の葉や鳥の羽など、自然の形を緻密に写し取った作風が
印象的なのですが、一方ではリアルな中にユーモラスな要素を取り込んだ作品も
いろいろ造っていたことを、本展で知ることができました。

この「梯子ニ遊蛙花瓶」などもその一例。ハシゴの先にカエルがちょこんと
乗っかっているのですが、ここではちょっと見えないですね。
6月22日まで展示中なので、興味のある方はぜひ実物をご覧ください。
他にも優品が目白押しで、日本の工芸の奥深さを知ることができると思います。