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秋田出身仙台在住の鳥見人が主に東北の野鳥をアップしています。

フナムシを知る

2024年05月01日 | 宮城県_蒲生干潟

 今回は,フナムシのことを書く。

 南総里見八犬伝に出てくる毒婦の方ではなく,磯浜などにいる小さな生き物の方だ。

 なので,一般にいう,きれいな画像やかわいい画像は,一切,出てこない。
 
 フナムシが嫌いで,見たくもない,という人は,すぐさま,この記事を閉じて,次回にスキップしてほしい。
 人を不快にするのは,本意ではない。
 
 最初に何か貼っておかないと,見たくない人にも,フナムシの画像が見えてしまうので,始める前に,まず,フナムシの捕食者であるイソヒヨドリくんを貼っておく。
 
 
 このイソヒヨドリは,たぶん,フナムシを食べて越冬した個体だ。
 
 さて,フナムシだ。
 
 
 誰にでも,心に刻まれた原風景があると思うが,私の原風景は,子どもの頃,毎年夏を過ごした秋田県男鹿半島の磯浜。生まれ故郷。
 そこには,いつも,フナムシがいた。
 
 
 フナムシは,磯浜に行けば,どこにもいる身近な存在だが,案外,ホントの姿を知られていないのではないか。
 これから,夏が近づくと,目にすることが多くなってくるので,知っておくと,何かと楽しくなると思う。
 
 小学生は,夏休みの自由研究にも,使えるかもしれない。
 
 
 まず,フナムシは,虫(昆虫)ではなく,甲殻類。
 
 
 甲殻類というと,カニやエビを思い浮かべるが,近い仲間ではない。
 カニやエビのように食べられると思ったら大間違い。煮ても焼いても食えない。
 
 カニやエビは,たぶん,十脚目(エビ目)。
 フナムシは,等脚目(ワラジムシ目)に属する。
 エビやカニよりも,
ワラジムシやダンゴムシに近い種だ。
 
 
 足は7対で,計14本。
 この足で,さわさわと,素速く動く。
 子どもの頃,釣りの餌にするため,手で捕まえたことがあるが,速くて,捕まえるのが大変だった。
 
 
 こんなにたくさんの足があって,よく足が絡まないな,と感心する。
 
 目は大きな複眼が2つ。
 見方によっては,かわいく見えないこともない。
 
 
 頭部には,長い触角が2本。
 
 
 尾部には,2つに枝分かれした尾脚が2本。
 
 
 これを,尾脚,というらしい。
 よく見ると,二股の形がユニークで面白い。
 美脚ではなく,尾脚。「脚」が付くが,脚ではない。
 何に使われているのかは,よくわからない。
 
 全体的には,黒っぽい体色だが,黄色い斑があるなど,個体差が結構あるようだ。
 個体を収集・分類すると,それはそれで面白そう。
 タイプ分けしている人もいるような気がするが,どうだろう?
 
 
 海辺にある食べられるものは何でも食べる,いわゆる掃除屋。
 打ち上げられた藻類や生物の死骸などを食べることにより,磯浜をきれいに保つことに,大きく貢献している。
 
 
 何でも食べるので,油断すると,漁業者が干している魚を齧ったりすることもあるようだが,基本,人に害を与えることはない。
 
 数千,数万のフナムシが人を襲うパニック映画があったら,無茶苦茶怖いだろうな,と思うが,現実は,人影が差しただけで,サーッと逃げる方。
 
 
 鳥や魚のエサにもなって,食われているし。
 
 
 フナムシで,意外なのは,海辺生まれの海辺育ちなのに,泳げないこと。
 海に落ちようものなら,すぐに上がらないと死んでしまうらしい。
 そう聞くと,捕まえて,海にポチャンと落としてみたくなる。ホントなのかな。
 
 
 これまで書いてきたように,フナムシは,海辺の環境保全にすごく貢献しているし,人間に対して,何も悪いことをしていない。
 なのに,多くのヒトたちに嫌われているし,ありがたくも思われていない。
 
 そして,普通に,鳥や魚に食われ,間違って海に落ちると死んでしまう。弱い生き物だ。
 
 
 切ない生き物だなぁ。
 フナムシも。
 
(2024/04/17  フナムシ)
 


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