バイブルランドin福井

安田由久が驚くべき聖書の世界をご案内します

「日本人とユダヤ人」出版から50年後

2019-01-15 04:00:00 | 日本教から脱出するにはどうするのか
イザヤ・ベンダサン(日本人、山本七平の筆名)が書いた「日本人とユダヤ人」が発売されたのは1970年です。

あれから50年になりますが、山本七平さんはこの本ですでに「日本教」について言与しています。

そこでは日本人は自分が日本教徒であるという自覚を持っていないが、日本教という宗教が存在し、

それは血肉として日本人自身も自覚しないほどになっているので、

日本教徒の日本人を他の宗教に改宗させることが可能であると考えるのは「正気の沙汰ではない」という。

山本さんによれば日本教とは、

「神ではなく人間を中心とする和の思想」であると書いています。

世界の60%は、GODなる唯一神を信じずる信仰なのですが、日本は人間の和を中心とした人間信仰、

いや人間関係信仰であると論じました。

私は山本さんの指摘した日本教が最も開花したのが日本の高度経済成長であると思います。

その第一幕はバブル崩壊、つまり平成の始まりの時までで、

その後、バブル崩壊から阪神淡路大震災から今日までは、力強く日本教が復興した期間であると見ています。

つまり姿を変えたゴジラのような日本教の新たな姿が出てきました。

山本七平さんは、日本で自分が書いた「日本人とユダヤ人」を最も深く理解しているのは

旧約聖書学者の関根正雄と哲学者の森有礼だけだと言っていますが、

霞が関の官僚から火が付いた「日本人とユダヤ人」は、

日本人論が以後、開花していきますが、本当に山本さんが問題としたのは、

単なる日本人論ではなかったのです。

この本ができるきっかけは、キリスト教が日本に普及しないのはなぜかという問題意識のもとに

本物のユダヤ人と帝国ホテルで話し合っている中で3人でいろいろ資料を持ち寄って

話し合っているうちにまとまったものが「日本人とユダヤ人」であるとされています。

この本を出すには、山本さんが翻訳をしていた聖書学の出版資金が底を尽き、

その資金を捻出するために山本書店から発行したのですが、

先に書いたように霞が関の官僚たちが読み、そこから全国に拡大して、

増刷に次ぐ増刷で山本書店主として経営難の自分の出版社はもちろん

この本で息を吹き返して、ほとんど売れない聖書学の本は継続して出版されていきました。

中でもヨセフスのユダヤ戦記など海外では知られた聖書研究には欠かせないものがたくさんあります。

さて、私も日本はなぜクリスチャンが極めて少ないのか、高校時代からの疑問でありましたので、

山本さんの「日本人とユダヤ人」以降の著作はほとんど読み、自分なりにその答を得ました。

それは明日からの「ゴスペルエッセイ」で書いていきます。

山本さんの問題意識、「キリスト教が日本に普及しないのはなぜか」山本流なのか安田流なのか、

いずれにしても日本教から脱出しない限り、増々、日本のキリスト教会はじり貧して化していきます。
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