太った中年

日本男児たるもの

踊るフランケン

2010-04-21 | weblog

以下、フリー・ジャーナリスト岩上氏による岡田外相会見のツイート

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岡田大臣は、米軍が日本の安全のために、大事だと力説。私は、国外がありえないなら、沖縄か、本土かは別として、国内になる、ということかと確認を求めると、はっきりと国内に移設する、と言い切った。

岡田外相は、「在日米軍を国外に、というのは考えられない」と言い切り、「米軍は日本の現在の平和に貢献している」と。自民党とまったく同じロジック。ならば、普天間の元々の合意案でよかっただろうに。

もう少し詳しく岡田大臣の発言をお伝えしておく。今日はまず、機嫌がよくはなかった(いつも機嫌がいいとはいえないが)。順を追っていこう。前回、私は、民主党の川内博史議員が、自身の詳細な調査に基づき、海兵隊の総数18000人というそもそもの前提が根拠のないものではないかと聞いた。

すると、岡田外相は、4月13日の会見で「18000人というのはあくまで、大枠の話。中身はその時々で変わりうる」と答え、自分から「川内さんと武正副大臣は会う予定がある」と語った。実際に、この会見の翌日、川内議員は武正副大臣に会い、18000人という数は根拠がない、と伝えた。

その経緯を、私が直接、川内議員から聞いたのは4月15日。このインタビューはUstream中継をしたので御覧の方もいるはず。この中で、川内議員は、在日米軍の実情について調査を行った際、米国に照会をした情報を、岡田外相をトップとする政務三役が開示しないと決定したと明らかにした。

なぜ、米軍の情報を開示しないようにしたのか。この点も、今日の記者会見で聞いたが、岡田外相は「まったく事実ではない」と全否定。勘違いでなければ、川内議員か、岡田外相のどちらかが嘘を言っていることになる。この質問をした時点で、雲行きはかなり怪しくなっていた。

さらに、岡田外相の機嫌を悪くしたのは、「ビーフテンマ」と言われる、米国との「取り引き」の噂についての質問。普天間問題について米国は、譲歩する見返りとして牛肉の輸入再開問題をからめてくるのではないか、という「情報」の真偽である。これに対し、岡田外相は「蓋然性のある質問を」と。

つまり、まったくリアリティーのない質問は、するな、ということ。普天間問題が、牛肉問題のような、他の分野の問題と関連付けられることはない、と岡田外相は断言。ではと、「蓋然性のある質問をします」と私。「日本中で米軍反対運動が起きており、どんな移転先を見つけてもつぶれてしまう…」

岡田外相に対する、私の質問。「ということは、日本中が米軍の駐留に反対しているということ。反対運動もまた民意。であれば、沖縄か、本土かを問わず、国内に移設など無理で、国外しかない、という結論になる。元々、そうなることを見越したうえで、移設先を探してきたのか」と。

この質問に対する岡田外相の回答が、この連続ツィートの始まりの回答。つまり、「普天間の移設先が、国外になることはない」という断言であり、「米軍は日本の安全のために不可欠」という岡田外相の「持論」の力説。これは、スルーできる発言ではない、と思った。

私は、村田良平元駐米大使の「遺作」の話を出した。その中で、「日本は米軍の駐留経費の実に80%を負担しているが、ドイツは20%。負担を減らす交渉をすべき」と書いていること。また、米軍が国外に引いていき、その空白が安保上問題なら、自主防衛をする、そういう選択肢はないのか」と。

また、鳩山首相は、政権交代後、「今は現実的ではない」と、「撤回」した形になっているが、かつて「駐留なき安保」を唱えていた。こうした首相の持論と、在日米軍の存在を恒久化する岡田外相の主張は矛盾するのではないか、とも。これに対して、岡田外相は、はっきりと持論を展開した。

「自主防衛となると、防衛費はGDPの1%では足りず、2%、3%、それ以上、必要になる。そんな用意は日本国民にできていない」と岡田外相はいう。だから、在日米軍に頼るのだと。「米軍への依存」という私の言葉に敏感に反応し、「相互依存だ。米国は日本の基地を必要としている」とも。

米軍が日本の基地を必要とするのは、必ずしも日本を守るためでも、極東有事のためでもない。目下、遂行中のアフガン、イラクでの戦争のためである。それが日米安保ではなく、日米同盟の本質であり、岡田外相の言う「相互依存」の実態でもある。しかし、ここで、会見時間は終了。

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「米軍は日本の現在の平和に貢献している」、遂に馬脚をあらわしたフランケン岡田。岩上氏は自民党とまったく同じロジックと言っている。さらに踏み込めば、米軍という虎の威を借る官僚支配のロジックだ。フランケン岡田はそれを代弁したに過ぎない。しかもそのロジックは破綻している。

では、なぜ破綻しているロジックにフランケン岡田は固執し不機嫌な記者会見をしたのだろうか。

それについて、田中ウータンの分析が興味を引く。日中防衛協調と沖縄米軍基地より以下を抜粋。

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ガス抜き踊りをやらされる岡田外相

鳩山政権でもう一つ興味深いのは、岡田外相の動きである。岡田は、普天間移設問題について、何とかして米国と沖縄県民の双方が納得する解決法を編み出そうと、本気で駆け回っている観がある。鳩山や小沢は、最後は在日米軍を全撤退させたいと考えているようだが、岡田はその方針を共有していない。これは何を意味するのか。私の推察は「小沢や鳩山は、外務省のガス抜きのために、岡田を外務省を代弁する役回りに置き、あえて解決不能な状況下で、必死に駆け回らせているのではないか」というものだ。鳩山は岡田に「外務省幹部とよく相談して、普天間移設の解決策を編み出せ」と命じ、その一方で沖縄県民や社民党を基地反対の方に煽り、最終的に「外務省は岡田のもとで、できるだけのことをしたが、在日米軍撤退を止められなかった」という話にするつもりではないか。

鳩山政権は、外務省と敵対すると、以前の記事に書いた田中角栄のように、外務省の手練手管に潰される。対米従属の外交スキャンダルが不倫絡みの情報漏洩事件にすり替えられた「西山事件」(沖縄密約事件)に象徴されるように、外務省は話をすり替えつつマスコミを操作し、自分たちに都合の良い結論に持っていくプロパガンダに長けている。だから小沢や鳩山は、いちずな岡田を外相に送り込み、外務省のために本気で必死に働かせ、外務省が鳩山政権を敵視できない状況を作った上で、在日米軍引き留めという外務省の長期戦略を潰しにかかっている。

米国は今春、青森県の三沢基地から40機のF16戦闘機をすべて米国に引き揚げ、代わりに嘉手納基地のF15戦闘機群(50機)の半分を三沢に移転する話を日本側に持ちかけたが、米軍に出て行ってほしくない日本政府は、この案に反対した。この案を復活させ、嘉手納の空いた場所に普天間のヘリ部隊を入れれば、普天間を空けられる。だから岡田は「嘉手納移転」にこだわったが、これについては米国が小沢鳩山に「助け船」を出した。以前は米国から言い出した話を、今回は米国が拒否した。ゲーツ米国防長官は「嘉手納に空軍戦闘機と海兵隊ヘリを一緒に常駐するのはダメだ」と強く言い、外務省案を潰した。実際には、空軍戦闘機と海兵隊ヘリが一つの基地を共有してコストを削減する手法は、ここ数年の米軍再編で推奨されてきた柔軟運営策だが、ゲーツは「ダメ」の一点張りだった。

岡田は、普天間移設問題では外務省のために解決策を探して奔走したが、その一方で「西山事件」(沖縄密約。沖縄返還時の秘密の「思いやり予算」)や「核兵器の日本持ち込み黙認」といった、昔の外務省がやっていた対米従属の秘策について真相究明を進めると宣言している。沖縄密約については、当時の外務次官らが昔の自分の否定証言を覆し、密約の存在を認めている。これらの暴露は、外務省が権力維持のため在日米軍に象徴される対米従属を何とか維持しようと策を弄し続けてきたことを露呈するもので、日本を対米従属から引き剥がす民主党政権の隠れた戦略に沿ったものだろう。

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