太った中年

日本男児たるもの

娯楽はチスミス

2010-11-03 | weblog

奥さん、家造りも小休止したので妻の実家に滞在してのアレコレを個別にエントリーしていこうと思う。

でもって第一弾は「娯楽はチスミス」。チスミスはタガログ語で「噂話」のこと。

チスモーサは噂話をするおしゃべりな女。男はチスモーソ、おしゃべりな男は軽蔑される。

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さて、2年半ぶりに妻の実家へ到着した翌日、まず楽しんだのが海水浴。なんたって家の目の前には遠浅でエメラルドグリーンの海が広がる。天気のいい日なら童心に戻りいつも近所の子供たちと一緒に海へ入った。

そして、海から集落を眺めると群生するパームツリーのてっぺんにところどころ竹で作ったテレビのアンテナが5~6本あることを発見した。世帯数からすれば10軒に1軒の割合い。テレビのない家の子はテレビのある家へ見に行く。まるで日本の昭和30年代、子供の頃の世界。懐かしさも手伝いそんなことを思っていた。

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この集落は夜明けと共に動き出し、日没後活動を停止する、つーような感じだ。それから若い年頃の女性はいない。仕事がなくて皆、都会へ出稼ぎに行き、親へ仕送りをする。また、姥捨て村なのか老人も数人しかいない。したがってこの集落で昼間目にするのは専ら主婦のおばさんたちだ。彼女たちは家事の合間を縫って集まり噂話をする。なにしろ質素で単調な暮らしだ。チスミスこそ彼女たちの娯楽なのである。

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「外国人は自分の思った以上に注目を浴びている」とはjet師範の名言で、特に日本人は金持ちだと思われているからより注意しなければならない。この「日本人金持ち」幻想はフィリピン人のチスミス好きにリンクして噂話のネタを提供する。例えば妻が買った土地に突如として住宅の建築が始まれば、「アレは日本人がオーナー」つー噂話が広がる。町のセンターにインターネットカフェができたときも同じだった。

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妻とできちゃった結婚をしたときもそうだった。このネタは「マニラへ行って妊娠すると金持ちになって帰って来る」つー噂話が広がったそうだ。で、生まれた娘が集落にきたとき注目を浴びたのは言うまでもない。

しかしながら娘以上に注目を浴びたのが近所の借金叔母さんの孫で、アメリカ人との間に出来た子だ。

ある日、妻に何気なく「若いアメリカ人の旦那さんってどんな人?」と聞くと、隣にいた母48が「プリンスは何を聞いたの?」と妻に聞く。妻がそれを母48に伝えると、何故か母48が答え、妻が通訳をした。そういえば「サリサリ(雑貨店)はチスミスの発信源である」と解説したのもjet師範だった。

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サリサリを経営する母48は両眉毛をピクリと上げ、ゆっくりと身を乗り出し、一呼吸置いて語り始めた。

通訳する妻との呼吸もピッタリだ。そのとき敬愛する母48の意外な一面を見た感じだった。

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「それがねぇプリンス、アメリカ人の旦那さんを誰も見たことがないのよ。」

「子供が来てから暫くして、一度だけ老いたアメリカ人が来たの。義妹は旦那さんのオジと言っていた。」

「あの義妹のことだからきっとお金のことだわ。それにオジっていうのも疑わしい。プリンスわかる?」

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ちょうど一年遅れでお互い外国人の初孫を持つことになった借金叔母さんとの関係も絶妙な語り口に拍車を掛ける。チスミス・ネタとしてはの最高の出来栄えだ。これが狭い集落で発信され極上の娯楽となる。

なるほど、母48はワンランク上のチスミス好きなフィリピーナだった。

 

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