fantasia*diapsida

とりとめのないメモの山

red cliff partII:

2009-04-19 00:00:00 | film・bilder++
『レッドクリフ Part II -未来への最終決戦- 』原題"赤壁下:決戰天下"(2008/ 中国 香港 日本 韓国 台湾/ 呉宇森ジョン・ウー:監)

を観に行った話。
そりゃあ三国志ネタで合戦が巻き起こり、しかもそれが赤壁の戦いなんて超超鉄板であったら、
如何に日本版タイトルが気に入らんものであったとしても(横文字にすな!漢字があるだろ!あと何だそのへっちょろい副題は!)、
やはり逸早く公開初日に観に行きました。

いやぁ~観たかったよこういうの!
確かに良く我々が知った『三国志演義』や正史などとも異なってオリジナリティ溢れているが、
これはこれでいいんじゃないでしょうか。
だって映画ってそういうもんですよ。
『風と共に去りぬ』だって『ベン・ハー』だって『2001年宇宙の旅』だって『ブレードランナー』だって
『ロビンフッド』だって『The Lord of the Rings』(ロード・オブ・ザ・リングなんてダサい片仮名邦題は使わん!!)だって『宇宙戦争』だって、
数あるアーサー王ものだって、つーかたいていの歴史ものが、
やっぱりストーリー構成が変わったりキャラクターの個性が変わったりオリジナルキャラが出たりしながらちゃんと成功している。
そりゃ小説と映画の表現方法が全く異なる以上、
作品の持つ"オーラ"を重視するなら、原作とは全く違った文法を、更に組替えて描くのはむしろ正攻法でなかろうか。
…まぁ、妙な方向に変えすぎて原作レイプ呼ばわりされるのもあるけど…(『トロイ』とか『DBE』とかね!!)

そもそも"三国志"って、220-265年の三国時代があって、
265-296年に陳寿が魏志伝・蜀志伝・呉志伝から成る歴史書『三国志』を書いて、
1321-1323年あたりに創作としての『三国志平話』が書かれ、
1522年には小説『三国志通俗演技』、1548年には『三国志歴史伝』、
そして1679年には『三国演義』とあるわけで、そのそれぞれで驚くほど内容は異なる。
羅貫中でひとまず完成型と一般に思われがちだが、その後も、そして今なお創作は増え続ける一方で、
その中の一つが『レッドクリフ』と思えばよいでしょう。
「原作と違うぞ」っても、だってそもそも原作の原作の正史には赤壁の戦いってそんなに描写ないしなぁ。

とにかく、今作は思い切って枝葉をバッサリ切った、図太い大作系って色合いで、
「三国志読んだことないんですよね」という方にも非常に興味を持てる内容になっていたと思う。
今まで中国の歴史物って結構みんな原作に忠実で、
重くて暗くてやたら長いものが多いイメージがあったが、
 (言い方が短絡的すぎて不適切かもしれないが、良し悪しを述べているのではない。
  個人的にはむしろ、映画でも小説でも重くて暗くてやたら長い作品が好みな傾向があるし。
  つーか基本的に中国映画好きです。)、
ようやく家族や友人と一緒にワイワイ楽しめる大作がズバーンと出てきたんじゃなかろうか。
かなりアツい戦いだったし。
原作だとなんだかんだで「黄蓋が燃やしました→曹操は逃げました」ぐらいで終わってしまうんだけど、
こっちゃ孫権も前線に立ち、原作だと遠くにいたはずの劉備軍団までもが参戦する総力戦になっていて、
しかも水軍を突破した後に曹操の本陣でガチで決戦しちゃうあたりが燃えるじゃないか。
確かに当時の常識から言うと、特に北部出身者が多い曹操軍ならば
水上に陣を敷くーなんてことはまずなくて、船はあくまで移動手段。
陸にある本陣を叩き潰さなきゃ、本当に勝ったことにはならないんですよね。
より現実的にはなっているが、船燃やすだけじゃなくてちゃんと軍のぶつかり合いがあることで、
映像的にも内容的にも映画として面白くなったと思う。

ちなみに他にも
孔明くんこと諸葛亮先生の「南屏山に七星壇作って三日三晩祈っちゃうぜ」ってな熱いんだか何だかな名シーンとか
黄蓋どん(三国志の中でも私のお気に入りキャラの1人である)の「周瑜さま鞭打ってください」な苦肉の策とか、
龐統の「デッカイ鎖で繋げば酔わないっすよ」な連環の計とかは登場しないんだが、
ただし、其々それを想起させるシーン・台詞はより現実的に直され、新造されている。
(孔明くんの"実は元々風が吹くことを知っていた"描写は結構よく見るけどね)

ただ、
最後は関羽にキメて欲しかったな~。
好きなんすよ、曹操を逃がすところ。
でもそれにはちゃんとそれまでのエピソードが描けていないと意味不明だから…やっぱりこれでいいのかな。


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red cliff part I: 『レッドクリフ Part I』原題"赤壁"(2008/ 中国 香港 日本 韓国 台湾/ 呉宇森ジョン・ウー:監)




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