おまたせしました。
熊本城マラソン2019参戦記、
長文です。
心して読んでください(笑)
平成31年2月17日、第8回熊本城マラソンに参加。
第1回目から第6回目までは連続出場。
昨年は抽選に漏れ、今年は2年ぶりで7回目の出走だ。
前回の出走は平成29年2月。
そう、平成28年4月の熊本地震後初の大会だった。
「頑張ろうくまもと」とマジックで手書きしたゼッケンを胸に
傷ついた熊本城をバックに走り出し、その熊本城に戻ってくる。
他の多くのランナーと同様に、熊本の復興を願い、胸に熱いものを込めての参加だった。
そして今年、0℃まで冷え込んだ朝。
スタート地点に並ぶと、
これまでと同じように正面から眩しい太陽が照り付け、
大西市長の熱いメッセージがスピーカーから響き渡り、
1万人を超えるランナーが号砲とともにゆっくりと動きだした。
これまで参加した熊本城マラソンと変わらない光景。
4時間のドラマが始まった。
フルマラソンは、たぶん27回目の出走。
緊張などするはずはないのに、
前夜は何度も目が覚める。
記録を狙っている訳でもないのに
熊本城マラソンならではの注目度の高さに緊張していたようだ。
5時に目が覚めて、うつらうつらしながら平日と同じ6時半に起床。
いつもと同じように白いご飯、納豆、牛乳の朝食。
レースウェアは自宅で着こんで7時25分にマイカーで自宅発。
7時45分に白川公園横のパークスリーに駐車。
会場に入ると、チームうえけんのはっしーさん、N山さんと一緒になり元気な姿で記念撮影。
近くにいたまつえみさんや林夫妻にも御挨拶。
手荷物を預け、レース着でアップジョグ、ストレッチ、
体を温めてから8時40分のスタートブロック入場制限ギリギリにBブロックに入る。
なんと職場のボスであり所属する陸上部のムッシュ会長と偶然会い、
号砲まで仕事以外の話しをしながらスタート前の緊張を楽しむ。
9時の号砲で30kmのエリート選手が駆け出し、
9時2分の号砲でフルマラソンのランナーが動きだした。
スタートラインを超えるまで2分37秒。
その後も道路いっぱいに広がった大勢のランナーが
通町筋→産業道路→白山通り→平成大通りと連なって走って行く。
沿道には大勢の応援者の笑顔、メッセージボード、小旗、そしてさし出される手、大きな声援。
2年前と同じ光景、2年前と同じ感動。
ワクワク感が止まらない。
平成大通りを東バイパスに突き当たる折返しくらいからランナーがばらけだす。
横3~4列くらいの縦長になっていく。
周りにつられてペースを上げ過ぎたランナーが、
ここまでの4回の直角カーブ、豊肥線の跨線橋、折返しで
一旦スピードダウンしてからのスピードアップで我に戻り、
また、5km地点も過ぎて、概ね各自のペースが安定する位置。
自分も、やっとペースが安定してきた。
【St~5km 27'49":535 527 522 532 532】
平成大通りから平成けやき通りに曲がると最初の難関、
3号線越え、白川越え、鹿児島本線くぐりのアップダウン3連ちゃん。
まだまだ余裕で走りぬけ、
アクアドーム方面に左折すると前半の最大の高低差「熊本西大橋」!!
少し息を切らしながら上りきると橋の中央が10km地点だ。
【5km~10km 27’30”:524 537 530 515 535】
息を整えながら西大橋を下っていると、
30kmの部のトップランナーが折返してきた。
「川口がいない。」誰かが叫んでいる。
キロ3分くらいで飛ぶように駆けていくエリートランナー、
自分との相対速度もあって益々速く見える(笑)
「ナイスラン!!」
偉そうに格上ランナーに向かって声援をおくる。
アクアドーム横を過ぎると応援の数がグッと減るが、
すぐ先の農道で、西城秀樹のYMCAの曲が流れ、
走っているランナーにYMCAの振付を自然に踊らせるポイントがある。
今年もあった。
そして、ちょうどタイミングよく
「ワイ、Y、エム、M、スィー、C、エィ、A~♪」
の歌詞の場面だった。
両手を上に踊りながら走りぬける。
応援者もランナーも、みんな笑顔、みんな歌ってる。
楽しい。
そして白藤地区の住宅街に入っていくと、
やはり毎年恒例のアルトサックスの生演奏。
伸びやかな音が背中を押す。
ルネサスの工場を左に見ながら鹿児島本線の跨線橋を息を切らして渡れば
再び大応援団が所狭しと並ばれる川尻の古い街並み。
ひょっとこお面の一団の赤い衣装、瑞鷹酒蔵、ウナギ料理若松屋、
15kmまではアッという間だ。
【10km~15km 27'01":515 528 520 525 528】
川尻を離れると、天明、飽田の田園地帯に入る。
ここからハーフ地点までは応援の少ない区間。
強い横風が吹けば難儀する吹きっさらしのロードだが、
今日は快晴、風もそれほど気にならない。
陽射しが強く、日焼けを感じるくらいだ。
しかし、何もなさすぎて自分の身体の異常に気づく。
2週間前に肉離れした右ハムが張ってきている。
少しでもペースを上げたり、バランスを崩して力が加われば攣りそうな気配。
冷静にフォームを意識し、丁寧な走りを心がける。
スタート直後に置き去りにしてきたムッシュ会長がス~ッと抜いていかれた。
無駄のない、力みのないフォーム。さすがは元サブ3ランナー。
しばし追走するもペースがキロ5秒くらい違ったので早々に追走を諦める。
マラソンは人と走るものではない。
自分自身との対話だ。
ここまで15km、1万人以上のランナーと一緒に走っているけど、
スタートからずっと独り旅。
田んぼからは、地元の方が丹精込めて作られた毎年恒例の案山子が、無言で応援してくれた。
【15km~20km 27'31":528 528 523 529 518】
20kmを過ぎ、見覚えのある後姿が近づいてきた。
チームうえけんの元気印はっしーさん、
予定どおり前半突っ込んで後半粘る作戦を遂行中。
軽く声をかけてゆっくりと抜いていく。
22km地点のあきた病院の大エイドは人だかりができていてパス。
ここまで補給食ゼロ、このパスが後半響いてくることに気づいていない。
飽田中学校、飽田東小学校と飽田の集落を抜けていくと25㎞地点。
この後、強い向かい風が吹く熊本港線を約2.5km西に進むことになる。
アクアドームを右手に見ながら大きく左に曲がる。
【20km~25km 27’23”:526 526 526 525 526】
毎回難儀する熊本港に向かう一直線。
ちわワン姉さんが応援に来ると言っていたので、
沿道ばかり気にしながら足を進めるも・・・いない。
26km過ぎの金栗イベント「ペトレ家のおもてなし」でシナモンロールを手に取る。
スタート後、初めての給食。
パクリと口に入れると、、、
口内の全ての水分を持っていかれ、飲みこめない(笑)
ずっと噛み続け、乾いた体から唾液を絞り出し、
何とかゴックン。
しばし咳き込んで死ぬかと思った。
太鼓の演奏に背中を押され、2.5kmの逆風直線を走り終えたら折返し。
まさに地獄から天国への気分だ。
背中を風に押され足が軽い。
ゴキゲンで走っていると「弁天ジョガーさ~ん」と聞き覚えのある黄色い声援。
待ってました、ちわワン姉さん。
折返しから熊本西大橋に曲がるまでの3km超は、
追い風、味千ラーメンのエイドのタイピーエン、ちわワン姉さんと元気補給バッチリ!!
30km地点も無事に通過。
少し疲れてきた。
【25km~30km 28’15”:543 546 528 541 530】
「よ~頑張る。仕事もマラソンも。」
30.9kmのエイドでスポーツドリンクをがぶ飲みしていたら、
正面に立たれていたボランティアさんは西県議!!
何気に評価される(笑)
「県議もお疲れ様です。」との言葉は出ず、
「いえいえ」と言いながら足早にエイドを去る。
けっこう驚いた。
熊本港線から左折し、いよいよ本格的な後半の難所が始まる。
熊本西大橋の上り、
平成けやき通りに右折して鹿児島本線をくぐっての上り、
白川に架かる蓮台寺橋の上り、
3号線をまたぐ橋への上り、
なかなか手ごわいコースを設定されたものだと毎回思う。
この4つの難所がボディブローのように身体にダメージを与える。
息を切らして上り続けると、下りでも平地でも息を整えるのが簡単にいかなくなる。
平成大通りを目前にした35km地点。
脳が勝手に作った35kmの壁、この後、どこまで粘れるか。
【30km~35km 28'31":531 604 535 535 534】
「体力・気力・努力」と背中に書いた金栗Tシャツのランナーが何人もいた。
フルマラソンを走りながら考えた。
自分にとってこの3つは、
35kmまでは体力で走り、
40kmまでは気力で粘り、
ラスト2.195kmを努力するのではないか。
体力・気力は何となくイメージできる。
しかし、努力とは・・・。
大会当日の努力とは何だろう、何ができるんだろう。
走っていると暇すぎて、とんでもない哲学に迷い込むことがある。
今回は金栗Tシャツに会うたびに禅問答が続いた(笑)
努力して走る、努力して、努力・・・。
どうでもよくなる。
40kmまでは気力で走らなければならないのに、
平成大通り、36kmくらい?豊肥本線の跨線橋の上りで気力を使い果たす。
あとは努力。。。
37km過ぎの琴平神社前には、いつも嫁さんが応援に来ている。
今日は来ているのか、、、夫婦愛、愛の力はもらえるのか、、、来てない。
「弁天ジョガーく~ん。」
嫁さんのお姉さんが独りで応援中、大声で応援してくれた。
さぁ、努力に切り替えだ!!
産業道路から白川沿いのロードに入ると路面が硬い。
ソフトな着地ができておらず、足の裏に一歩一歩痛みが響く。
次第に痺れが出て、ひざ下は足の感覚がなくなっていく。
努力とは何だ。
ただただ腕を振って足を前に出す。
ペースが落ちている事が自分でよくわかる。
あと5kmもないのに、その5kmが辛い。
泰平橋を渡ってANAクラウンホテルの横を通り市電を横切ると40km地点。
市電の石畳が足に響く。
【35km~40km 29’02”:554 534 535 543 557】
残り2km、まだ2kmもある。
『たったの2km』を、『まだ2km』と頭に浮かぶ弱気。
努力、努力、努力の2文字を頭に腕を振る。
福田病院前では元気なチアダンスに元気をもらい、
新町界隈では元気ボランティアでいっぱいのラストエイドでコップ3杯、
しっかりと給水して最後の難所に向かう。
YMCAからの強烈な上りは頑張って足を出すが走れない。
しかし、ここで弁天ジョガー応援団の真打ち嫁さん登場。
ラストの元気をもらって、二の丸への最後の強烈な上り、
そして、ラストの二の丸の直線、気持ちスパート。
ゴール直前で「4時間」とのアナウンスが聞こえる。
ちょっと凹んでゴール!!
【40km~Goal 14'50":609 703 138】
グロス 4h00m29s
ネット 3h57m52s
2週間前の駅伝参加で肉離れし、直前の練習がまともにできず参加した今大会。
周囲のランナーの流れと、沿道の声援に感化され、
ちょっと背伸びしたペースで走りラスト4kmヘロヘロとなったが、
青空のもと、沿道の大きな声援やさし出される手に喜びを感じ、
楽しく、充実した4時間のランとなった。
沿道の多くの応援の方々、
ランナーファースト精神のスタッフ・ボランティアの方々のおもてなし。
熊本城マラソンの素晴らしさは、前回参加した時と全く変わらない。
唯一変わったのは、ゴール地点から見えた熊本城天守閣。
2年前とは確実に変わり、元の姿に近づいていた。
42kmを走った後に見上げる天守閣、
天守閣が努力しているように見える。
胸にこみ上げるものがあった。
今日、一緒にゴールを目指したランナーの皆さん、
沿道で、TVの前で、声をあげていただいた皆さん、
大会を運営いただいたスタッフ、関係者の皆さん、
そして見守ってくれる熊本城、
全てに感謝、ありがとう熊本。