まあどうにかなるさ

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通勤電車コースター

2017-08-19 19:53:23 | 創作

夜、終電車を列の先頭で待っていた。
ホームには見慣れない列車が到着する。

あれ? こんな列車あったかな?

中に入ると、2列ずつの座席が前を向いている。長距離列車のようなレイアウトだ。
少し不思議に思うが、座席に座る。乗り込んできた客もみな首をかしげるような表情をしている。乗客はそれほど多くなく、立っている客はいなかった。

車掌の社内放送が流れる。
「この列車は急行です。このあと全ての駅を通過します」

え? どういうこと?

やがて安全バーが降りてきて、体が固定された。
ジェットコースターじゃあるまいし、何で安全バー?
バーはロックされており、手で上げようとしてもびくともしない。

「それでは発車します」

ドアが閉まり、列車はゆっくりと進み始める。窓の外に運転手と車掌が並んで立っているのが見えた。
誰が運転していのだろう?

しばらく進むと、列車はカタカタと音を立てて急こう配をゆっくりと上り始める。
まるでチェーンで引かれて勾配を登るジェットコースターのように…
列車はどこまでも上って行く。

な、なんなんだ、これは…

いつもの通勤列車とは明らかに違う。
街の夜景が遥かかなたの下界に広がっている。
信じられないほどの高さまで列車は上って行く。

ま、まさかこの高さから…

列車内はざわめき始めるが、安全バーが体を固定しているため、身動きはとれない。

列車は斜め姿勢から水平になったと思った次の瞬間、ものすごいスピードで下降して行く。
加速はさらに増していく。
加速力で胃袋を吐き出しそうなる。
たくさんの乗客が恐怖で大声を張り上げる。

列車はものすごいスピードでループを一周し、その先にはジャンプ台がある。
そこで線路は終わっている。

列車は猛スピードでジャンプ台から暗闇に放り出され、二度と戻ることはなかった。



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