「UHFってなあに?」
会話の中で、UHFが出てきたときに訊かれた。
妻はUHFを知らない。
テレビがアナログ放送の時代、関東地方ではVHFのみでUHFの放送はなかった。
VHF (Very High Frequency)とは超短波のことであり、30 - 300MHzの周波数の電波をいう。テレビのチャンネルは1から12が割り当てられた。
UHF(Ultra High Frequency)とはVHFよりさらに周波数が短い電波(470 - 770MHz)で、極超短波と呼ばれる。チャンネルは13から62。UHFを受信するためにはアナログラジオのチューニングのような操作が必要だった。アンテナもVHFとは異なっており、VHF用のアンテナとUHF用の2本のアンテナで受信した電波を混合器で一つにして、ケーブルで部屋まで送り、分配器によって再び電波を分ける面倒な配線も必要だった。
UHFは主に地方局で使用されていた。
僕が育った関西地区でも、サンテレビという神戸を拠点とする独立局がUHFを使用していた。UHFを使用するテレビ局のない関東で生まれ育った人が知らないのも無理はない。
アナログ放送は2012年3月31日をもって全廃された。
そして、470 - 710MHzの周波数が地上デジタル放送に。710 - 770MHzの周波数は携帯電話などテレビ以外の用途に転用されている。
現在のデジタル放送はUHFなのである。
VHFもUHFも言葉としては死語になりつつある。アナログ時代の言葉がまたひとつ消え去ろうとしている。