百貨店仕様という言葉を聞いたことがおありだろうか。
学生時代だから30年以上前、とあるデパートで短期のアルバイトをしたことがあり、その時に聞いた話。
百貨店は定価販売が原則である。他の量販店やスーパーへ行けば同じ製品でも安く買うことができるが、デパートは定価。当然、客はそれでは損だと考える。
ところが、デパートで売られているモノには同じ商品でも『百貨店仕様』という安売り店よりスペックを上げた商品が存在するのだ。
僕が説明されたのは洗濯用の洗剤、当時は粉の洗剤だったが、ギフト用などに売られている商品は量販店やスーパーより値段が高いが、汚れはよく落ちる。品質が全く違うのである。デパートで売っている洗剤は高い品質だが、量販店やスーパーで売られている商品は安く売るために品質を落し、原価を下げているのだという。
一番汚れが落ちるのがデパートで売られている『百貨店仕様』の商品、その次がスーパーなどで安く売られている商品、汚れ落ちが一番悪いのが新聞の拡張員などが無料で配る洗剤、増量剤を入れてコストを下げているそうである。
商品を詰めてデパートに納品されたダンボールにはちゃんと『百貨店仕様』と書かれてあった。
その時は他にどんな商品に『百貨店仕様』があるのかは聞かなかったが、定価で売られている商品にはそれなりの理由があるのだなと思った。
今でも『百貨店仕様』があるのかどうかは分からない。あるいは無くなったかもしれない。ネットで検索しても出てこない。
だが、デパートで買ったものは値段が高いが長持ちするという印象はある。