今週の『週刊現代』に興味深い記事が掲載されていた。
『誕生月で「なりやすい病気」が分かる』
というタイトルの3ページほどの記事である。
『誕生月が生涯の病気のリスクに影響を与える』と題された米コロンビア大学の研究チームによる論文が今年6月アメリカ医療情報学会の機関紙で発表された。
この論文は1985年から2013年の間にニューヨークの2つの病院で診療した約170万人の患者のデータを基にしたものである。1668種類の病気と誕生月の相関関係を検証したところ、55種類の病気について相関があると確認された。
何故相関関係があるのか?
例えば、妊婦の健康状態は季節によって変わり、そのことは胎児も影響されると考えられる。また。新生児の体内にあるアレルゲンの量も季節に左右されるため、ある種の病気の発症率が変わってくるのだ。
東京大学医科学研究所の上昌広特任教授はこの論文をこう評している。
「人間の体質や成長に、生まれた季節が関係するということは大いに考えられることです。統計的に病気の発症率を調べる方法論としてはとても有効だと思います」
今回の調査はニューヨークだが、日本にもこの調査が当てはまる可能性は高いという。
気になる内容だが、1月生まれの人は高血圧になりやすく、2月生まれは肺がんになりやすい。逆になりにくいのは11月生まれ。
喘息の発症リスクが最も高いのは9月生まれ。9月生まれは他にも中耳炎や適応障害などのリスクが高い。意外なところでは、嘔吐しやすい体質のリスクが高いのも9月生まれ。
僕は9月生まれだが、中耳炎は子供の頃何度も罹っているし、確かに嘔吐しやすい体質である。
今回の調査で「誕生月と関係がある病気」について、最も高リスクだという結果が出た誕生月がある。それは10月である。相関が分かった55の病気のうち、15の病気で最高のリスクがあり、10月生まれの人はいちばん病気になりやすいという結果になった。
ざっと挙げるだけで、風邪、急性咽頭炎、急性細気管支炎、胃の機能障害、視覚不良、近視、遠視、性的感染症など。ただ、なりにくい病気が多いのも10月である。
10月の次に高リスクなのが11月生まれ。ADHD(注意欠陥多動性障害)や急性扁桃炎、非感染性腸炎、さらには下痢になりやすい。
一方で10月から12月生まれは心臓系疾患のリスクは総じて低いという結果が出ている。逆に心臓系疾患のリスクが最も高いのは3月生まれ。他に3月生まれの人は前立腺がんのリスクも1位である。4月も狭心症や急性の心臓病などの心臓系疾患のリスクが高い月だ。
3月から4月生まれに心臓疾患のリスクが高い理由は次のように考えられている。
太陽の光を浴びないと人間はビタミンD不足になる。体内にいる時に母体にビタミンDが欠けていると血中の鉄分濃度が低くなり胎児に栄養が行きわたらない。3月から4月生まれの人は日照時間が短い季節に母親のお腹の中にいたことで、心臓や心血管系の病気に罹りやすい体質になったのである。
総合的にいちばん病気になるリスクの低い誕生月、それは5月。最も健康的な人が多い誕生月と言える。7月生まれの人も特に注意すべき病気はなく、6月、8月も低め。
総じて見ると、秋から冬にかけての誕生月の人はなりやすい病気の数が多く、春は心臓系の重病になりやすい。そして初夏から真夏の時期に生まれた人の方が病気になるリスクは低めという結果になる。
もしかしたら、誕生月の占いというのも全くのデタラメではなく、きちんと統計を取ると案外当たっているのかもしれない。