先日の『ベストヒットUSA』のゲストが、ナイル・ロジャースでした。“小林克也 is Great”って言ったばかりでしたが、ナイル・ロジャースも偉大だ。この時の二人の会話、やりとりは深かった。アーティストの言葉を引き出す克也氏も素晴らしいし、ナイル・ロジャースの人としての懐の深さを言葉の節々に感じた。克也氏もがんを患っていたんですね。(私の父親も2回癌になっていますが完全復活しています)なんだか個人的にはすごく感動した2人のトークでした。この前のLiveも大盛況だったみたいです。
そして、彼が「このベスト盤は人生のすべて」だというシックとナイル自身のProduce作品を集めた1枚がこの作品です。レーベルをこえて素晴らしい楽曲が収録されています。
今回、ナイル・ロジャースだけではなくバーナードのビルボード1位曲も含めて紹介をしたいと思います。それぞれの曲がメガヒット曲です。全部で7曲ありました。
まずナイルとバーナードの原点CHICで78年12月、初めてNo1を獲得します。それが「Le Freak」(おしゃれフリーク)です。79年の年間チャートでも3位。400万枚のメガセールを記録します。
CHICと名乗る前、ドラムのトニー・トンプソンも加えたトリオ“ビッグ・アップル・バンド”と名乗っていた頃、まだ彼らはその方向性が定まっていなかったといいます。ありきたりのロックバンドだったと。彼らの運命を切り開いたのがディスコとの出会いでした。ディスコサウンドを取り入れさらに高めて表現します。そしてグループ名もフランス語のCHIC(シック)→“洒落ている”にし、バンドとしてのコンセプトも明確になります。
この「Le Freak」の前、77年に「Dance Dance Dance」という曲がシーンにインパクトを残します。78年度のグラミーでも最優秀R&Bソングとしてノミネートされています。そしてこの「おしゃれフリーク」です。当時のディスコ・ムーブメントは知りませんが、CHICのGrooveは従来のディスコソングとは一線を画していると思います。
90年代に入り、P.diddyをはじめ多くのアーティストがCHICやナイルの曲をサンプリングしRemixという手法で新たな楽曲を生み出しています。もちろんこの「Le Freak」もサンプリングされています。ここで取り上げたい曲は、Teddy RileyによりRemix曲です。
Teddyのレーベルから出たNutta Buttaの「Freak Out」です。テディ自身もRappinしてます。ナイルもテディーもNY出身。テディーもナイルのサウンドを聞いて育ったに違いない。テディー・ライリーのGrooveとNileのGrooveが出会ったこの曲は興味深い。
翌79年6月、ナイルとバーナードはProducerチームとしても活動を始め、女性コーラスグループ、シスター・スレッジの愛のGrooveに満たされた「We Are Family」が全米2位のヒットとなります。(79年度のグラミーの最優秀R&Bソングでノミネート)
そして79年8月、CHICは2枚目のNo1ソングを生み出します。それが「Good Times」です。よりCHICらしいエレガントでソフィストケイトされた曲です。
この曲のタイトル「楽しいとき」にCHICのメッセージもあるといいます。バーナードたちがめざすのはエンターテイメントだと。人々に楽しんでもらいたいと。
そして前回も語りましたがこの「Good Times」が、ヒップヒップの原点だと言われています。この活かしたTrackにリリックをのせ、シュガーヒル・ギャングが「Rapper’s Delight」という曲が生み出されます。CHICはナイル・ロジャースがやはりリーダー的な存在ですが、ベースのバーナードが一躍注目された曲でもあります。
そして、ナイル&バーナードのProducerコンビとして名を高めたのが、80年9月、ダイアナ・ロスの「Upside Down」です。全米1位を獲得します。80年度グラミーの最優秀R&Bソングにノミネートされています(この部門3年連続ノミネートじゃん)。ナイルたちにとっても初めて手がけるビックアーティストでした。彼らはアルバム『DIANA』を全編手がけ素晴らしい作品にしあげていますが、レコード会社とダイアナ自身からから手直しを要求されます。女王ダイアナ・ロスの作品なのに、CHICフューチャリング・ダイアナ・ロス的な仕上がりとなっているというのがダイアナサイドの言い分でした。最終的には、ナイルたちの意向は無視され手直しされます。この事にナイルたちはかなりのショックをうけ、クレジットも外してくれと要求したそうです。ですから『DIANA』は通常版と手直し前のオリジナルのCHIC盤が存在します。180度違うSOUNDではありませんが、個人的には、音が前面に出てるCHIC盤の方が断然いい。「I’m Coming Out」なんてCHICバージョンなら連続1位だったよ~って思います。幻のCHICバージョンが収録されたSpecial盤が出ています。皆さんも是非是非聞き比べてみてください。最終的に、Produceはナイル&バーナードのクレジットです。余談ですがこの頃、ダイアナ・ロスのLiveに飛び入りで登場したマイケル・ジャクソンがダイアナとこの「Upside Down」を歌っています。
そしてナイル・ロジャース&CHICをめちゃリスペクトしてるんだろうなーって思うのが、前述したP.diddy(ショーン・パフィー・コムズ)です。前述のシューガーヒル・ギャングがしていたスタイルを90年代にHip Hop SOUNDとしてナイルとCHICのかっこいい音をサンプリングして、メガヒットします。この「Upside Down」もMC Lyteの「Cold Rock A Party」としてスマッシュヒットします。(好みはわかれるとこですが)
次は、ナイル単独のProduceです。CHICの活動も休止し、バーナードとも離れナイルはプロデュース活動に精を出します。そして最初のメガヒット曲となったのが、83年5月のデヴィッド・ボウイの「Let’s Dance」です。
これまた80’Sを代表する1曲。デヴィッド・ボウイも70年代から活躍するアーティストですが、この曲のインパクトは強い。90年代に入って、またボウイとNileはアルバムを制作しています。
当初、ナイルはボウイが集めた一流ミュージシャンとレコーディングしていたそうなのですが、どうもしっくりこない。そしてナイルが呼び寄せたのがバーナードとトニーでした。そして見事な仕上がりになります。「Let’s Dance」のバックはCHICなのです。
『Let's Dance』は83年度のグラミーにおいてアルバム部門でノミネートされますが、多くのアーティストの前にMJの『スリラー』が立ち塞がります。でこれまたP.Diddyがデビューアルバム収録の「Been Around The World」でこの曲をサンプリングしています。
84年6月には、DURAN DURANの「The Reflex」をRemixし見事全米1位。今でいうテディー・ライリーにRemixを依頼してビートを効かせるといった感じ。ここではナイルのギターがかっこいいのですが。ナイルはテクノロジーも見事に使いこなす。見事にシングル向きの強力Trackとして生まれ変わります。下記紹介アルバムは、NileのDance Mix他、Duranのヒット曲のExtendedバージョンやRemixを収録しているアルバム。(いつの間にかすごい値がついてるな…)
ナイルとデュランのつながりも深く、「ワイルドボーイズ」(84・全米2位)、「ノトーリアス」(87・全米2位)のヒットやデュランの04年のリユニオンアルバム『アストロノート』にも参加している。
そして84年12月、マドンナの「Like A Virgin」です。アルバムの大半もナイルのProduceです。そしてバックはこれまたCHICなのです。ドラムのトニー・トンプソンを意識して聞いてみてください。新たな発見があるはず。
これこそ音的にはCHICフューチャリング・マドンナ。しかしマドンナも音楽とビジュアルを結びつけたアーティストの代表格。ナイルの音もすばらしいけど、さらに超やり手のマドンナの戦略がこのメガヒットをうんだ。当時、第二次性徴期真っ只中の我々男子はセクスィーなマドンナに釘付けでした。マドンナと聞いただけで意味なく興奮する奴もいたし。このジャケットの豊かな胸にも釘付け。当時、アイドルとかにほとんど興味がなかったおいどんもマドンナには萌えた。『ライク・ア・バージン』からのシングルヒット曲「マテリアル・ガール」「Angel」「Dress You Up」はすべてExtendedで聞くと超楽しめる。
思うんですが、ナイルのこの頃の活躍は半端じゃなかった。84年度、85年度ナイル・ロジャース関連の作品、そしてProducerとしてナイル自身がグラミーの主要部門でノミネートさえもされていないのはほんと理解に苦しむ。ディスコというかDance Musicが軽視されていたこの頃の偏見を感じます。
ただ85年度、ジェフ・ベックの『FLASH』からの「Escape」がジェフベックとともに最優秀ロックインストゥルメンタルを受賞しています。
続いてはバーナードのNo1ヒット曲です。85年7月、これまたデュラン・デュランの「A View To Kill -美しき獲物たち-」です。007の主題歌です。
デュランのメンバーと、CHICのバーナードとトニー、そしてロバート・パーマーで結成されたThe Power Stationは伝説的なアルバムで、いまだに私的にはこのアルバムをこえるかっこいいアルバムを知りません。
今は亡きトニー・トンプソン(右下のメガネの人)のドラムが爆発しています。こんなかっこいいドラムサウンド知らない。でバーナードはこの感触をデュランに持ってきて、「美しき獲物たち」を作った感じ。当時のデュランの勢いもありましたがかっこいい。ビックアーティストを毎回招く007の主題歌ですが、ビルボードで1位を獲ったのはこの曲のみ。
翌年、これまたPowerstationのメンバーが集結し、さらにアダルトに仕上げた今は亡きロバート・パーマーの『Riptide』が発表されます。バーナードのカラーが出た作品だと思います。
ここから「Addicted To Love」が全米1位。この曲は86年度のグラミーで最優秀レコードにノミネートもされ、ロバート・パーマーは最優秀男性ロック歌手も受賞しています。この他にもJam&Lewis作の「Turn You On」も全米2位のビックヒット。
最後に、おまけとしてNotorious BIGの97年のNo1ヒット曲「Mo Money Mo Problems」です。
ダイアナの「I’m Coming Out」がサンプリングされています。もちP.diddyのアイデアです。ナイルのカッティングにノトーリアスのラッピンがのる。そしてダイアナの「アイム カミーン」が入る。80年代のTasteと90年代のHip Hop Grooveが絶妙に融合した1曲。90年代にこの曲に出会ったヒップホッパーはBiggyの方は知ってても、サンプリング元のダイアナの方は知らない人もいるかも。元も超かっこいい。ここでもトニー・トンプソンのドラムが爆発してる。ホーンセクションもあって。ちょっとPowerstationの感触も感じる。でもシングル盤は、手直しされてるんですよね~。CHICバージョンの方が断然いいのに。
今回はCHIC関連の1位の曲だけを紹介しましたが(けっこう疲れた…)、ナイルの手がけた作品で素晴らしいアルバムはたくさんあります。また紹介したいと思います。入門編としては前述のBestアルバムは最適ではないでしょうか。(DURAN DURANのReflexが入っていないのが残念)
そしてナイル・ロジャース、また再来日だそうです。5月29日に東京ブルーノートで公演予定だそう。さらに仙台訪問も検討されているとか。今回の被災で、表には出さないけど放射能汚染を気にして来日を敬遠するアーティストが多い中、ナイルはまた来てくれる。まだ癌の治療も継続中のはずなのに。まじその心意気に胸が打たれる。ナイル・ロジャース大好き!ありがとう!
そして、彼が「このベスト盤は人生のすべて」だというシックとナイル自身のProduce作品を集めた1枚がこの作品です。レーベルをこえて素晴らしい楽曲が収録されています。
エヴリバディ・ダンス! | |
ナイル・ロジャース,シック | |
ワーナーミュージック・ジャパン |
今回、ナイル・ロジャースだけではなくバーナードのビルボード1位曲も含めて紹介をしたいと思います。それぞれの曲がメガヒット曲です。全部で7曲ありました。
エレガント・シック | |
クリエーター情報なし | |
ワーナーミュージック・ジャパン |
まずナイルとバーナードの原点CHICで78年12月、初めてNo1を獲得します。それが「Le Freak」(おしゃれフリーク)です。79年の年間チャートでも3位。400万枚のメガセールを記録します。
CHICと名乗る前、ドラムのトニー・トンプソンも加えたトリオ“ビッグ・アップル・バンド”と名乗っていた頃、まだ彼らはその方向性が定まっていなかったといいます。ありきたりのロックバンドだったと。彼らの運命を切り開いたのがディスコとの出会いでした。ディスコサウンドを取り入れさらに高めて表現します。そしてグループ名もフランス語のCHIC(シック)→“洒落ている”にし、バンドとしてのコンセプトも明確になります。
この「Le Freak」の前、77年に「Dance Dance Dance」という曲がシーンにインパクトを残します。78年度のグラミーでも最優秀R&Bソングとしてノミネートされています。そしてこの「おしゃれフリーク」です。当時のディスコ・ムーブメントは知りませんが、CHICのGrooveは従来のディスコソングとは一線を画していると思います。
90年代に入り、P.diddyをはじめ多くのアーティストがCHICやナイルの曲をサンプリングしRemixという手法で新たな楽曲を生み出しています。もちろんこの「Le Freak」もサンプリングされています。ここで取り上げたい曲は、Teddy RileyによりRemix曲です。
Freak Out | |
クリエーター情報なし | |
Interscope Records |
Teddyのレーベルから出たNutta Buttaの「Freak Out」です。テディ自身もRappinしてます。ナイルもテディーもNY出身。テディーもナイルのサウンドを聞いて育ったに違いない。テディー・ライリーのGrooveとNileのGrooveが出会ったこの曲は興味深い。
翌79年6月、ナイルとバーナードはProducerチームとしても活動を始め、女性コーラスグループ、シスター・スレッジの愛のGrooveに満たされた「We Are Family」が全米2位のヒットとなります。(79年度のグラミーの最優秀R&Bソングでノミネート)
そして79年8月、CHICは2枚目のNo1ソングを生み出します。それが「Good Times」です。よりCHICらしいエレガントでソフィストケイトされた曲です。
Risque | |
クリエーター情報なし | |
Atlantic / Wea |
この曲のタイトル「楽しいとき」にCHICのメッセージもあるといいます。バーナードたちがめざすのはエンターテイメントだと。人々に楽しんでもらいたいと。
そして前回も語りましたがこの「Good Times」が、ヒップヒップの原点だと言われています。この活かしたTrackにリリックをのせ、シュガーヒル・ギャングが「Rapper’s Delight」という曲が生み出されます。CHICはナイル・ロジャースがやはりリーダー的な存在ですが、ベースのバーナードが一躍注目された曲でもあります。
Diana (Dlx) (Dig) | |
クリエーター情報なし | |
Motown |
そして、ナイル&バーナードのProducerコンビとして名を高めたのが、80年9月、ダイアナ・ロスの「Upside Down」です。全米1位を獲得します。80年度グラミーの最優秀R&Bソングにノミネートされています(この部門3年連続ノミネートじゃん)。ナイルたちにとっても初めて手がけるビックアーティストでした。彼らはアルバム『DIANA』を全編手がけ素晴らしい作品にしあげていますが、レコード会社とダイアナ自身からから手直しを要求されます。女王ダイアナ・ロスの作品なのに、CHICフューチャリング・ダイアナ・ロス的な仕上がりとなっているというのがダイアナサイドの言い分でした。最終的には、ナイルたちの意向は無視され手直しされます。この事にナイルたちはかなりのショックをうけ、クレジットも外してくれと要求したそうです。ですから『DIANA』は通常版と手直し前のオリジナルのCHIC盤が存在します。180度違うSOUNDではありませんが、個人的には、音が前面に出てるCHIC盤の方が断然いい。「I’m Coming Out」なんてCHICバージョンなら連続1位だったよ~って思います。幻のCHICバージョンが収録されたSpecial盤が出ています。皆さんも是非是非聞き比べてみてください。最終的に、Produceはナイル&バーナードのクレジットです。余談ですがこの頃、ダイアナ・ロスのLiveに飛び入りで登場したマイケル・ジャクソンがダイアナとこの「Upside Down」を歌っています。
そしてナイル・ロジャース&CHICをめちゃリスペクトしてるんだろうなーって思うのが、前述したP.diddy(ショーン・パフィー・コムズ)です。前述のシューガーヒル・ギャングがしていたスタイルを90年代にHip Hop SOUNDとしてナイルとCHICのかっこいい音をサンプリングして、メガヒットします。この「Upside Down」もMC Lyteの「Cold Rock A Party」としてスマッシュヒットします。(好みはわかれるとこですが)
次は、ナイル単独のProduceです。CHICの活動も休止し、バーナードとも離れナイルはプロデュース活動に精を出します。そして最初のメガヒット曲となったのが、83年5月のデヴィッド・ボウイの「Let’s Dance」です。
Let's Dance [ENHANCED CD] | |
クリエーター情報なし | |
Virgin Records Us |
これまた80’Sを代表する1曲。デヴィッド・ボウイも70年代から活躍するアーティストですが、この曲のインパクトは強い。90年代に入って、またボウイとNileはアルバムを制作しています。
当初、ナイルはボウイが集めた一流ミュージシャンとレコーディングしていたそうなのですが、どうもしっくりこない。そしてナイルが呼び寄せたのがバーナードとトニーでした。そして見事な仕上がりになります。「Let’s Dance」のバックはCHICなのです。
『Let's Dance』は83年度のグラミーにおいてアルバム部門でノミネートされますが、多くのアーティストの前にMJの『スリラー』が立ち塞がります。でこれまたP.Diddyがデビューアルバム収録の「Been Around The World」でこの曲をサンプリングしています。
84年6月には、DURAN DURANの「The Reflex」をRemixし見事全米1位。今でいうテディー・ライリーにRemixを依頼してビートを効かせるといった感じ。ここではナイルのギターがかっこいいのですが。ナイルはテクノロジーも見事に使いこなす。見事にシングル向きの強力Trackとして生まれ変わります。下記紹介アルバムは、NileのDance Mix他、Duranのヒット曲のExtendedバージョンやRemixを収録しているアルバム。(いつの間にかすごい値がついてるな…)
Strange Behavior (Remix Album) | |
クリエーター情報なし | |
Msi/Emd |
ナイルとデュランのつながりも深く、「ワイルドボーイズ」(84・全米2位)、「ノトーリアス」(87・全米2位)のヒットやデュランの04年のリユニオンアルバム『アストロノート』にも参加している。
そして84年12月、マドンナの「Like A Virgin」です。アルバムの大半もナイルのProduceです。そしてバックはこれまたCHICなのです。ドラムのトニー・トンプソンを意識して聞いてみてください。新たな発見があるはず。
Like a Virgin | |
クリエーター情報なし | |
Warner Bros / Wea |
これこそ音的にはCHICフューチャリング・マドンナ。しかしマドンナも音楽とビジュアルを結びつけたアーティストの代表格。ナイルの音もすばらしいけど、さらに超やり手のマドンナの戦略がこのメガヒットをうんだ。当時、第二次性徴期真っ只中の我々男子はセクスィーなマドンナに釘付けでした。マドンナと聞いただけで意味なく興奮する奴もいたし。このジャケットの豊かな胸にも釘付け。当時、アイドルとかにほとんど興味がなかったおいどんもマドンナには萌えた。『ライク・ア・バージン』からのシングルヒット曲「マテリアル・ガール」「Angel」「Dress You Up」はすべてExtendedで聞くと超楽しめる。
思うんですが、ナイルのこの頃の活躍は半端じゃなかった。84年度、85年度ナイル・ロジャース関連の作品、そしてProducerとしてナイル自身がグラミーの主要部門でノミネートさえもされていないのはほんと理解に苦しむ。ディスコというかDance Musicが軽視されていたこの頃の偏見を感じます。
フラッシュ(紙ジャケット仕様) | |
ジェフ・ベック | |
Sony Music Direct |
ただ85年度、ジェフ・ベックの『FLASH』からの「Escape」がジェフベックとともに最優秀ロックインストゥルメンタルを受賞しています。
続いてはバーナードのNo1ヒット曲です。85年7月、これまたデュラン・デュランの「A View To Kill -美しき獲物たち-」です。007の主題歌です。
007/美しき獲物たち オリジナル・サウンドトラック | |
ジョン・バリー,デュラン・デュラン | |
EMIミュージック・ジャパン |
デュランのメンバーと、CHICのバーナードとトニー、そしてロバート・パーマーで結成されたThe Power Stationは伝説的なアルバムで、いまだに私的にはこのアルバムをこえるかっこいいアルバムを知りません。
Best Of: Ten Best Series | |
クリエーター情報なし | |
EMI Special Products |
今は亡きトニー・トンプソン(右下のメガネの人)のドラムが爆発しています。こんなかっこいいドラムサウンド知らない。でバーナードはこの感触をデュランに持ってきて、「美しき獲物たち」を作った感じ。当時のデュランの勢いもありましたがかっこいい。ビックアーティストを毎回招く007の主題歌ですが、ビルボードで1位を獲ったのはこの曲のみ。
翌年、これまたPowerstationのメンバーが集結し、さらにアダルトに仕上げた今は亡きロバート・パーマーの『Riptide』が発表されます。バーナードのカラーが出た作品だと思います。
Riptide | |
クリエーター情報なし | |
Mca Special Products |
ここから「Addicted To Love」が全米1位。この曲は86年度のグラミーで最優秀レコードにノミネートもされ、ロバート・パーマーは最優秀男性ロック歌手も受賞しています。この他にもJam&Lewis作の「Turn You On」も全米2位のビックヒット。
最後に、おまけとしてNotorious BIGの97年のNo1ヒット曲「Mo Money Mo Problems」です。
Life After Death | |
クリエーター情報なし | |
Bad Boy |
ダイアナの「I’m Coming Out」がサンプリングされています。もちP.diddyのアイデアです。ナイルのカッティングにノトーリアスのラッピンがのる。そしてダイアナの「アイム カミーン」が入る。80年代のTasteと90年代のHip Hop Grooveが絶妙に融合した1曲。90年代にこの曲に出会ったヒップホッパーはBiggyの方は知ってても、サンプリング元のダイアナの方は知らない人もいるかも。元も超かっこいい。ここでもトニー・トンプソンのドラムが爆発してる。ホーンセクションもあって。ちょっとPowerstationの感触も感じる。でもシングル盤は、手直しされてるんですよね~。CHICバージョンの方が断然いいのに。
今回はCHIC関連の1位の曲だけを紹介しましたが(けっこう疲れた…)、ナイルの手がけた作品で素晴らしいアルバムはたくさんあります。また紹介したいと思います。入門編としては前述のBestアルバムは最適ではないでしょうか。(DURAN DURANのReflexが入っていないのが残念)
そしてナイル・ロジャース、また再来日だそうです。5月29日に東京ブルーノートで公演予定だそう。さらに仙台訪問も検討されているとか。今回の被災で、表には出さないけど放射能汚染を気にして来日を敬遠するアーティストが多い中、ナイルはまた来てくれる。まだ癌の治療も継続中のはずなのに。まじその心意気に胸が打たれる。ナイル・ロジャース大好き!ありがとう!