残照日記

晩節を孤芳に生きる。

逆転の発想

2010-11-21 09:52:24 | 日記
<はやぶさ>川口教授に「財界賞」──経済誌「財界」を発行する「財界研究所」は、広く社会に貢献した人や活躍した経済人を表彰する10年度の「財界賞」の特別賞に、世界で初めて小惑星イトカワの微粒子を採取した探査機「はやぶさ」を地球に帰還させたチームを率いた川口淳一郎・宇宙航空研究開発機構教授と、大阪府の橋下徹知事を選んだと発表した>(11/18 毎日新聞)

∇鬱々たるニュースが続く中、爽やかな話題も幾つかはある。その中の一つが小惑星探査機「はやぶさ」の快挙だ。今年6月、地球に帰還した「はやぶさ」のカプセル内の微粒子の大半が、小惑星「イトカワ」のものであることが判明した。小惑星の物質を直接入手したのは世界初だそうで、太陽系の成り立ちに関する手掛かりが得られる、と期待されている。尚、フリー百科事典「ウィキペディア」によれば、<イトカワは、太陽系の小惑星──1998年、マサチューセッツ工科大学・リンカーン研究所の地球接近小惑星研究プロジェクトにより発見された。日本の小惑星探査機「はやぶさ」の探査対象となったことから、日本のロケット開発の父・糸川英夫の名前を付けるよう命名権を持つ上記プロジェクトにに依頼し、それが承認された>、という経緯を持つ。

∇老生には宇宙開発のことはさっぱり分らないので、それがどれほどの快挙なのか、実はよく分らない。それよりこのニュースで思い起こしたのが、“日本のロケット開発の父”糸川英夫博士のことである。糸川博士(1999年没)は航空工学・宇宙工学者でペンシルロケットの開発者として知られる。東大退官後組織工学研究所を設立し、バレエ・占星術・チェロ・ヴァイオリンなど様々なことに挑戦されたことでも有名である。著書『逆転の発想』はベストセラーになった。老生が耽読したものに、「荒野に挑む」(ミルトス刊)がある。「ネゲブのベングリオン大学」の砂漠と荒野への果敢な緑化挑戦活動を衝撃的に伝えた感動的な著書である。

∇読者に曰く<逆境を逆手にとって人の住める天国に変えてみせよ>と。<北海道と東北地方に住む民よ、雪害というのをやめて、雪恵と考えなさい。火山に近い民よ、火山灰を災害と言わず、地下からの贈り物と考えなさい。そして、南方の島の暑さと湿気に愚痴を言う人は、熱と湿気が賜物なのだと受けとめて、世界一、住みごごちの良い場所に作り変えなさい>。人間には創造力という賜物が残されている、創意こそ、人間が神から賜った最も大切な賜物だ。逆境を逆手にとるには「発想の転換」をせよ、と。──上記「財界賞」での川口氏の受賞理由は「エンジン停止などのトラブルに見舞われながらも懸命の工夫、チーム一丸の取り組みで日本中に感動と元気を与えた」こと、橋下知事は「地方からの改革の流れを作った」点を評価した、とのことである。思い切った「逆転の発想」と地道な努力の継続、現在我々に求められる“活性化”の原点だろう。

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