アメリカから来たそいつは
並んだ番組関係者の左側から、
握手、握手、握手、握手、むにゅ。
むにゅ?
なんで
僕んときだけ、いつも
ほっぺを両手でひっぱる?
リラックマか僕は。
彼の名は「Eric Martin」
少年のように見えるが、1960年生まれで
僕より6歳年上だ。
僕の番組には生放送で何度か出てもらって
日本のラジオを
楽しんで帰ってもらってたようだ。
それが98年ごろ、
もう10年経つのか・・・
ちょうどそのころ
彼のバンド「Mr.BIG」は行き詰っていた。
まず、
96年にはギターのPaul Gilbertが
「ソロ活動に専念したい」として脱退。
翌年には実質活動停止。
マネージメント上の問題もあったが
「エモーショナルに心を包むボーカル」と
「ギター&ベースの超絶テクニックの上に成り立つサウンド」は、
繊細なバランスだからこそ
危ういものでもあった。
あのころ
彼は表面には出さないが
確かに傷ついていた。
もともとこのバンドは
David Lee Rothのバンドで
ベースを担当していたBilly Sheehan(1953年生まれ)が、
あるとき、Ericに声をかけたのが
結成のきっかけだった。
しかし僕が会った頃には
そのBillyとの関係も悪化していたという。
それを知っていた僕は「いぢわる」なので
僕の大事にしていたBillyのリストバンドをわざと見せたところ
彼は抜き取って、
ぽーん!と天高く放り投げてしまった。
(漫才か)
自虐ネタにしてはいたが
彼は本当に寂しかったのだと思う。
そのころリリースしたアルバムが
「Somewhere In The Middle」
1曲めの「フライ・オン・ア・ウォール」では
「僕は壁の上のハエさ。
高いところから世の中を眺めている。
だって逃げ出したくて。
傷ついた心を癒したくて
しばらく壁にはりついてる僕がいる」
・・・と歌っている。
ただ、その一方で
CMが流れているあいだには
「バンドで忙しかったころに比べ、
今は妻との時間を大切にできるんだ」などと
本音を話してくれた。
全米ナンバー1のあと
必死でバンドを維持してきた日々から逃れ、
やっと彼は
素の自分と、夢を
見つめなおす機会を得たのかも知れない。
実は僕の心も、
当時似たような状況にあった。
共感のようなものもあった。
世界的ミュージシャンであるにも関わらず
彼は僕らの町でライブを開いてくれることになった。
当時、ブラックミュージック以外の洋楽は
あまり受けなくなっており
高感度な音楽ファンに
期待するしかなかったが、
・・・やはり満席にはならなかった。
でも彼は全力を尽くし、
自分が音楽をやれることを
心から楽しんでいた。
活動停止中の彼のバンドの曲も含めて
彼は生き生きと歌いきった。
客の引いたロビーで
Ericは握手するとみせかけ
また両手で
僕のほっぺをひっぱった。
「えいっく、あに ふるら」
(エリック、何、するんだ)
また会おうね。
そう言って別れた。
その後、2002年
彼のバンドは
正式に
解散をする。
しかし。
去年5月のロサンゼルス
「ハウス・オブ・ブルース」で行われた
Paul Gilbertのソロライブで、
ほぼバンドの再結成が
実現したというニュースが伝わった。
ただ、そこに
Ericの名前は無かった。
Eric、まだ夢は続いているのか?
僕はまだ、追いかけているのに。
そう思っていたところ。
なんとオリジナルメンバーで
「再結成」との情報が!
仕事から帰って広げた新聞で
夢か?と思った。
Ericはもう
僕のことも、僕のほっぺの感触も
忘れたことだろう。
でも、
彼の「Somewhere In The Middle」と
彼のバンドの「DEEP CUTS」を
今、ipodに並べて入れたところさ。
僕も、もう一度
夢の原点を見つめなおしてみようと思う。
僕もまだ
戦っているかと。
BGM:TO BE WITH YOU
並んだ番組関係者の左側から、
握手、握手、握手、握手、むにゅ。
むにゅ?
なんで
僕んときだけ、いつも
ほっぺを両手でひっぱる?
リラックマか僕は。
彼の名は「Eric Martin」
少年のように見えるが、1960年生まれで
僕より6歳年上だ。
僕の番組には生放送で何度か出てもらって
日本のラジオを
楽しんで帰ってもらってたようだ。
それが98年ごろ、
もう10年経つのか・・・
ちょうどそのころ
彼のバンド「Mr.BIG」は行き詰っていた。
まず、
96年にはギターのPaul Gilbertが
「ソロ活動に専念したい」として脱退。
翌年には実質活動停止。
マネージメント上の問題もあったが
「エモーショナルに心を包むボーカル」と
「ギター&ベースの超絶テクニックの上に成り立つサウンド」は、
繊細なバランスだからこそ
危ういものでもあった。
あのころ
彼は表面には出さないが
確かに傷ついていた。
もともとこのバンドは
David Lee Rothのバンドで
ベースを担当していたBilly Sheehan(1953年生まれ)が、
あるとき、Ericに声をかけたのが
結成のきっかけだった。
しかし僕が会った頃には
そのBillyとの関係も悪化していたという。
それを知っていた僕は「いぢわる」なので
僕の大事にしていたBillyのリストバンドをわざと見せたところ
彼は抜き取って、
ぽーん!と天高く放り投げてしまった。
(漫才か)
自虐ネタにしてはいたが
彼は本当に寂しかったのだと思う。
そのころリリースしたアルバムが
「Somewhere In The Middle」
1曲めの「フライ・オン・ア・ウォール」では
「僕は壁の上のハエさ。
高いところから世の中を眺めている。
だって逃げ出したくて。
傷ついた心を癒したくて
しばらく壁にはりついてる僕がいる」
・・・と歌っている。
ただ、その一方で
CMが流れているあいだには
「バンドで忙しかったころに比べ、
今は妻との時間を大切にできるんだ」などと
本音を話してくれた。
全米ナンバー1のあと
必死でバンドを維持してきた日々から逃れ、
やっと彼は
素の自分と、夢を
見つめなおす機会を得たのかも知れない。
実は僕の心も、
当時似たような状況にあった。
共感のようなものもあった。
世界的ミュージシャンであるにも関わらず
彼は僕らの町でライブを開いてくれることになった。
当時、ブラックミュージック以外の洋楽は
あまり受けなくなっており
高感度な音楽ファンに
期待するしかなかったが、
・・・やはり満席にはならなかった。
でも彼は全力を尽くし、
自分が音楽をやれることを
心から楽しんでいた。
活動停止中の彼のバンドの曲も含めて
彼は生き生きと歌いきった。
客の引いたロビーで
Ericは握手するとみせかけ
また両手で
僕のほっぺをひっぱった。
「えいっく、あに ふるら」
(エリック、何、するんだ)
また会おうね。
そう言って別れた。
その後、2002年
彼のバンドは
正式に
解散をする。
しかし。
去年5月のロサンゼルス
「ハウス・オブ・ブルース」で行われた
Paul Gilbertのソロライブで、
ほぼバンドの再結成が
実現したというニュースが伝わった。
ただ、そこに
Ericの名前は無かった。
Eric、まだ夢は続いているのか?
僕はまだ、追いかけているのに。
そう思っていたところ。
なんとオリジナルメンバーで
「再結成」との情報が!
仕事から帰って広げた新聞で
夢か?と思った。
Ericはもう
僕のことも、僕のほっぺの感触も
忘れたことだろう。
でも、
彼の「Somewhere In The Middle」と
彼のバンドの「DEEP CUTS」を
今、ipodに並べて入れたところさ。
僕も、もう一度
夢の原点を見つめなおしてみようと思う。
僕もまだ
戦っているかと。
BGM:TO BE WITH YOU