石森則和のSEA SIDE RADIO

ラジオマンの
石森則和がお届けするブログです!

中継スタッフの秘密。

2006-03-21 | Weblog
中継スタッフの技術のたきちゃん♀は
仕事中は惚れ惚れするほど
プロの顔になる。
スピードと正確さを争う取材の現場で全幅の信頼を置いている。

しかし。
それ以外はである。


例えばUSJの取材のときに
「ええっ、大阪なら海を越えなければいけませんよね
中継車でいけるんですか」

・・・いけるよ。大阪ってどこにあると思っているの?


「四国」



嗚呼。
海に押し出されたのは高知か徳島か・・・

また、あるときは
高橋民夫デスクから
「よし!次の行動については
追って沙汰!でな」

といわれたのを


「おってSATURDAY!NOW!」だと思っていらっしゃった。

ベイシティーローラーズかよ。

さらに
ドライバーの張替さん:「きょうは道が込んでいるなあ」
石森「ええ、五当日だからですかねえ」
という会話を聞いて
「ゴトウビ」って何ですか?と聞く。

そうだ、そうだぞ。わからないときには
人に聞くのが一番だ。
我々に間違った知識を言うのはかまわんが
ほかの会社やスタッフの人にそんなことを言ったら・・・



おもしろいぢゃないか。
我々(張替さんと僕チン)は用例を演じはじめた。

「あなた、きょうは何の日か覚えているでしょうね」
「えっ・・・」
(結婚記念日じゃないよな、妻の誕生日は先月だし)
「ゴトウ日ぢゃないの、キーッ!」

とか

「おかあさん、きょうはなんでお赤飯なの?」
「ゴトウ日だからよ」
とか

「きょうはゴトウ日だから
クリスマスツリーに短冊を飾りましょう」

とかやってたが

たきちゃんは混乱するばかり。
(そりゃそうだ)

今のところ
「後藤田さんの誕生日」ということになっているようだ。

あるとき取材を終えて
中継車に戻ると
たきちゃんが街路樹を指差し
「あの木はなんで
荒縄をぐるぐる巻かれているんですか?」と聞く。

あれはね、冬の間にあそこに害虫が入り込むので
春になったらはずして処分するんだよ。(本当)

・・・と説明しようとしたが

はりかえさんがポツリと・・・



「夜になって、


・・・暴れないように」


たきちゃんは
のどの奥で「ひぐっ」て音を鳴らし

なんともいえない顔で
じっと街路樹を見つめているのだった。




(あとでちゃんと教えてます)


風の電車

2006-03-17 | Weblog
遠州灘の砂丘にもたれるように横たわる
僕のふるさとに吹く風は
オンショアかオフショアのどちらかで
朝夕の凪だけ、風が止まります。

夏などはシャツが背中に張り付くようですが
夕凪の時刻に風を連れてくるのが
いつも僕のドラゴンズの帽子を飛ばしそうになる
オレンジと緑の車体の電車でした。

あの頃、僕の家は東海道本線の踏み切りの近くで
遮断機が下りてくるとやってくる電車を見て
「いつか、この電車で北へ向かうんだ」と思っていました。

なぜ北なのか理由はよくわからないけど
南には遠浅の海、西に海水の混じる浜名湖。
北東の方向の何かに導かれている気がして遠くを見ると
うすぼんやりとした富士山が眠そうでした。
夢がかなうなら富士山の向こうと
思い込んでいました。

東京の大学を卒業後
群馬の放送局にアナウンサーとして勤めるわけですが
上野から北へ上る電車も、なぜか東海道線と全く同じ
オレンジと緑のデザインで不思議な気がしました。

やがて
新たな夢に導かれ、東京に帰り、
横浜に住むようになったのですが
今も仕事の生き返りは
あのオレンジと緑の東海道線で、さっきも
この電車で帰ってきました。

様々な人に出会いながら、随分いろんな経験を重ねてきて
少しは大人になったつもりですが(もうオッサンですが)
思えば僕のそばには
いつも少年時代と変わらずに、
この電車が走っていました。


でもね。


あすでお別れです。
この電車、「湘南電車」と呼ばれる113系というんだそうですが
17日付けでJR東日本管内から姿を消します。

今だってもう
東京-熱海間で4編成が走っているだけなのに
さっき僕のいるホームに滑り込んできたときには
なんだかさよならを言いに僕の前に現れたようでした。

こんなセンチメンタルなことを書いてますが
まさか車内で涙ぐんだりはしてません。

でも、
電車から降りるとき
そのオレンジと緑の境目に手を触れ
心でバイバイをしました。


僕にとって君の緑は
夏休みの森の色で

オレンジは
よく遊んだ、みかん畑。

そして君が
あの海と空の青を横ぎるとき
僕のスケッチブックの中の風景は
完成したんだ。


僕は北へ向かって
幸せになったよ。


おしらせね。

2006-03-12 | Weblog
今度の火曜日、14日の
蟹瀬誠一のネクスト(文化放送)

いつもの生活防衛軍(水曜日)とは別に
朝イチ!ライブラリーのコーナーに
出させていただきます。

これ、出演者のイチオシの本を紹介するもので
聴いている方も共感していただければ
サイトから「ビーケーワン」を通じて
即購入できるというもの。

よかったら聴いてくださいね。


それから今年から担当しているグリーンチャンネル
「RIDE ON 22:SUDADAS」(水曜22時など)
競馬が好きなかたは要チェック!

現在G1をいつも以上に楽しめる「G1春祭り」を実施中!
グリーンチャンネルのサイトで要チェックです。

4月からのレギュラー番組については
近日発表します。

予知能力。

2006-03-10 | Weblog
遠い過去に放送された自分のラジオ番組を
改めて聞き返すことはありません。

あきらかに失敗したものは聞き返して反省し、次に生かすけれど
むしろ自分でうまくいったと思っているものほど
久しぶりに聞くのは怖いものです。
若い頃のは特に
「今ならこんな風には話さず、
もっと面白くできるのに・・・
ああ、こんなところでこんな展開はだめだなあ」とか
七転八倒したりする。

これはミュージシャンでも同じようで
浜田省吾さんは同様のことを話されていて
ご自身の曲を何度もセルフカバーして
リリースされています。

でもねえ・・・というお話。今回は。


先日、デモテープ作成のために
必要に迫られ、7~8年前の番組を聴いていました。

僕の番組は台本らしいものはなく
簡単な進行表(キューシートといいます)だけ見ながら
アドリブで話すことが多いのです。

・・あれ?過去の自分のギャグに笑ってしまっている自分がいる。
こんな柔軟な発想してたんだあ。
よしよし。

そんなかんじで
聴いているうちに
不思議なことに気が付きました。

8年も前なのにもかかわらず、
次に何を喋るのかが頭に浮かび、
それがまた確かにその通りに喋っているではありませんか!

こ、これは予知能力か!?

なんということでしょう。(←あれ?聞いたことがある)

言っておくけど
次に過去の自分が何を話すかがわかるのは
「覚えているから」ではないんよ。

毎日2時間以上フリートークしていて
何を話したかなんて
8年もたてば覚えちゃいません。

そうではなくて
こう話がつながったら、
自分なら、たぶん次はこう話す・・・
というのが、わかっちゃうということなのです。

自分の「しゃべりのパターン」ってのがあるんだな。
お、おむすびは、おいしいんだな。(裸の大将より引用)


・・・ん?
これは
8年たっても
頭の中が進歩してないってことじゃないよね?


誰か「違う」って言ってくれ!






あと
「愛してる」と言ってくれ。





ふたり。

2006-03-01 | Weblog
なかなか更新できなくてごめんして。

文化放送報道部日記」(←クリック)には
週1以上のペースで書かせていただいているので
よろしかったら。

さて。
「文化放送の蟹瀬誠一のネクスト」の中の
「ニュース街の声」(朝6時45分ごろ)、
水曜日と木曜日の朝に放送する分の取材を
担当させていただいています。

これ、ニュースに関連したテーマで、50人に街頭インタビューし、
集計して構成し原稿を書き上げる仕事です。
このテーマってのはスタッフがPDと決めて
石森に指令が下るわけですが、
たまに「聞きづらいテーマ」ってのがあります。

今回は「熟年夫婦に聞け!離婚したいと思うときは?」ですわ。

電話でテーマをふってきたスタッフの「いわけん」さんに
「聞きづれえ!」って言ったら
「けけけ」と笑っていました。
・・・きょうから足を向けて寝ます。

「太った女性に聞く、ダイエット何やってんの?」の際には
「ね?聞きづらかったでしょ?」と
「しらっ」という「いわけん」さん、
おそるべし。

かくして新橋でインタビューは始まったわけですがね。
(言っとくけど一人でやってんのよ)
ところが、これが意外にも答えてくれるんですよ。
例えば
おばあさん。
「だいたいワンマンなのよ、亭主関白
こっちの都合も考えないであーだこーだ(以下略)」とか

おじさん
「ゴルフに行き過ぎると怒りやがる」
(そりゃあそうだよ)とか。

みーんな、いいたいこといっぱいあるみたい。
詳しくは、あす(2日)のネクスト聞いて。

まあ、そんなわけで
いい調子で進んでいったわけですが・・・


ふと見ると
信号待ちをしている優しそうな奥さんがいました。
さっそく質問してみると
微笑みながら
「主人は去年亡くなりました」


しまった。



・・でも、
彼女は続けます、微笑みはそのままで。

「でもね、生前は、たあくさんケンカしたわ。
教育のこと、介護のこと・・・
長い長い間、いっしょにいるんだもん
あったりまえよね」

・・・すみません、

「いいえ、いいの。
だってね、今思い出すのは
不思議とケンカしたときのことが多いの」

なんだか、ケンカのこと聞かれたら
主人が生きてるみたいな気がしてきたわ、と
とてもとても楽しそうに。

「あったまくるけどさ、やっぱり話し合うことよね。
たぶん主人も言いたかったこと、いっぱいあったとおもうの」

うん、ありがとうございました。
手を振ってくれて。

すべての世界で
すべての時の流れの中で
その組み合わせは
ドウシヨウモナクひとつしかなくて

たとえ2人ともこの世からいなくいなって
誰もその2人のことを覚えている人すらいなくなっても
ここで2人が一緒に生きたという事実は
絶対に消えやしないんです。