妄想

私は、一人暮らしをしながら仕事に勤しんでいた。仕事は少し忙しい時もあるけれど、やりがいがあって充実した日々を送っていた。
休みの日は習い事をしたり、付き合っている彼とデートをしたり、仲の良い友人と遊んだりして、日々を楽しんでいた。


彼と付き合ってもうすぐ3年が経つ、ある日のデートのこと。
彼にプロポーズをされた。
戸惑いながらも、OKした。
これからもよろしく、2人で楽しい家庭にしようね。


結婚式は、沢山の人が来てくれた。
素敵なドレスを着ての晴れ舞台、周りの家族や友人には感謝の気持ちでいっぱいだ。


やがて、子供にも恵まれた。
子供たちはすくすくと健康に育ってくれた。
子供たちの成長が嬉しくて、私も頑張ろうと思えた。多感な時期もあったけれど、皆優しい子に育った。


育児が終わり、仕事も定年を迎え、老後の人生が始まった。
夫とは今でも仲良くしている。2人で出かけることも多い。
趣味のサークルに通い、昔の友人ともたまに会い、楽しい日々を過ごしている。


そんな私の人生も、終わりを迎えた。
ベッドの傍で家族に看取られて、私は旅立った。
私の葬儀には、沢山の親戚や友人が駆けつけてくれた。最期まで大好きな人たちに囲まれて、私は幸せ者だ。
幸せな人生を送れたのは、周りの皆のお陰。
ありがとう。






叶わない、夢のような人生。
私が歩んでいる人生には、かすりもしない。
こんな人生が送れたら、きっと幸せだろう。

こんな人生を送れる人ばかりではないとは思うが、私も人並みの幸せや充実感を手に入れたかった。

仕事も、プライベートも、何も満足な状態になれない。何一つ叶わない。
だけど、それでも未来へ向かって進むしかない。
これが現実。