小規模宅地の特例
被相続人または被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業用または居住用に使用していた土地で要件を満たす場合は限度面積までの部分について、評価額を50%~80%減額する事ができる。改正により評価の減額が行われる限度面積や適用面積の拡大が行われた。
居住用の宅地等(特定居住用宅地等)の限度面積が拡大
改正前 限度面積 240㎡(減額割合80%) ⇒ 改正後 限度面積 330㎡(限度割合80%)
居住用と事業用の宅地等を選択する場合の適用面積が拡大された。
改正前は、特定居住用宅地等240㎡ 特定事業用等宅地等 400㎡の内、合計400㎡まで適用可能という限定的な適用だったのが、改正後は特定居住用宅地等が330㎡に拡大され、合計適用面積も730㎡となり、それぞれの限度面積まで完全に適用できるように改正された。
基礎控除の縮小や相続税率の引き上げがある一方、未成年者控除・障害者控除については拡大された。
■未成年者控除
改正前:20歳になるまでの1年につき6万円
改正後:20歳になるまでの1年につき10万円
■障害者控除
改正前:85歳になるまでの1年につき6万円(※)
改正後:85歳になるまでの1年につき10万円(※)
(※)特別障害者(障害者1・2級)の場合には12万円(改正後20万円)
【事例】相続人が16歳の特別障害者の場合
改正後:
未成年者控除 (20歳-16歳)×10万円=40万円
障害者控除 (85歳-16歳)×20万円=1380万円
本人の相続税額から控除しきれないときは、同じ相続で財産を取得した扶養義務者の相続税額から控除できる。
相続税対策
1.生命保険の活用
被保険者を被相続人予定者として、受取人を相続人予定者としておけば、被相続人が死亡した場合の死亡保険金は相続人に支払われることになる。そのお金で相続税を納付すれば、相続財産をそのまま維持できることになる。
死亡保険金もみなし相続財産となるため課税対象だが、死亡保険金と死亡退職金は、500万円に法定相続人の数を掛けた金額が非課税になる。なお、保険金の受取人が相続人以外の場合は、贈与税が課せられるので、注意が必要だ。
2.相続人を増やす
相続人を増やす方法としては、養子がある。平成27年1月1日以降の相続税については、基礎控除額は3,000万円+600万円×法定相続人の数となります。つまり、基礎控除は1人600万円が認められる。また、養子縁組をすることで、生命保険の非課税分(500万円×法定相続人の数の金額)も増える。ただし、養子としてカウントされる人数に注意が必要だ。実子がいる場合には、1人分のみ、実子がいない場合には2人分までしかカウントされない。これは、相続対策を目的とした、意図的な養子縁組を防止するために定められている。
3.贈与を利用する
贈与税の基礎控除は110万円なので、110万円までの贈与には課税されない。したがって、110万円を10年間にわたって贈与を続けた場合、1,100万円の移転が可能だ。ただし、1,100万円を10回に分割した定期贈与とみなされ、課税対象となってしまうので、毎年贈与契約書を作るなど、定期贈与と認定されない工夫が必要だという。
また、基礎控除後の課税額が200万円までの税率は10%のため、多額の相続財産がある場合は20万円×10年=200万円の贈与税を支払って、310万円×10年=3,100万円を移転するなど、あえて贈与税を払うことで節税することも有効だという。
4.土地・建物を評価減させる
更地の状態の土地がある場合は、そこに建物を建てれば相続税評価額は大きく下がる。特に、アパートやマンションを建設し、人に貸すことは有効だ。
5.負債も相続の対象
相続財産はプラスの積極財産もマイナスの消極財産も対象となる。負債である消極財産は相続財産から控除されることになる。
6.不動産売却の注意点
最後に、やむを得ず不動産を売却する場合には、その利益に対して、譲渡所得税や住民税などが課税される。不動産の保有期間により税率が異なるので、どの不動産を売却するべきかの判断は慎重にすべきだ。
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