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成年後見制度

2017-01-15 | 老人福祉
成年後見制度は法定後見制度と任意後見制度からなり、法定後見制度はさらに後見、保佐、補助の3つに分けることができる。任意後見制度は本人の判断能力が衰える前から利用できるが、法定後見は判断能力が衰えた後でないと利用できない。
 
法定後見制度は本人の精神上の障害の程度によって区別され、申立全体の約8割が後見で、保佐、補助は圧倒的に少ない。
 
【後見】 ほとんど判断出来ない人を対象とする。
家庭裁判所は本人のために成年後見人を選任し、成年後見人は本人の財産に関するすべての法律行為を本人に代わって行う。また、成年後見人または本人は、本人が自ら行った法律行為に関しては日常行為に関するものを除いて取り消すことができる。
 
【保佐】 判断能力が著しく不十分な人を対象とする。
家庭裁判所は本人のために保佐人を選任し、さらに、保佐人に対して当事者が申し立てた特定の法律行為について代理権を与えることができる。また、保佐人または本人は本人が自ら行った重要な法律行為に関しては取り消すことができる。
 
【補助】 判断能力が不十分な人を対象とする。
家庭裁判所は本人のために補助人を選任し、補助人には当事者が申し立てた特定の法律行為について代理権または同意権(取消権)を与えることができる。
 
成年後見人の仕事は、大きく分けて財産管理と身上監護。身上監護とは介護行為ではない。本人の居住用不動産を処分するには家庭裁判所の許可が必要となる。ここでいう「処分」は売買だけでなく、賃貸や抵当権の設定等の行為も含まれる。現金、通帳、有価証券、不動産権利証、実印、銀行印、印鑑登録カード等をそれまで管理していた人から受け取り、直接、銀行や保険会社等に成年後見人の就任を届け出る。被後見人の財産を調査し、1ヶ月以内に財産目録を作成し、裁判所に提出する。1年間に支出する金額を予定し、収入とのバランスを明らかにする。
 
家庭裁判所は、必要があればいつでも成年後見人に対し、報告を求めることができる、実務上は年に1回程度の報告で済むことが多い。 ただし、本人の居住場所が在宅から施設に変わったり、
入居先の施設を移る等して、本人の生活環境に変化があった場合や、 重要な財産を処分した場合は、その都度、家庭裁判所へ報告する必要がある。 なお、家庭裁判所からの指示に従わずに、定期的
な報告を怠ると、家庭裁判所が成年後見人を解任することがある。
 
専門職後見人とは、司法書士や弁護士、社会福祉士等の専門家が後見人になることをいう。もし、本人の近い親族が高齢や病気などで、後見人になれる適当な人材がみつからない場合は、専門職後見人という選択を積極的に検討してみるのがよい。なお、子供や兄弟姉妹が後見人になった場合、報酬を請求しないことも多いが、司法書士等の専門職が後見人になると、報酬を支払う必要がある。一月当たり2~3万円が平均。司法書士が成年後見人に就任した場合、報酬は裁判所が本人の資産額や後見人の業務量に応じて決定する。近年は司法書士が後見人に就任する事例が増加している。
 
成年後見制度が始まった当初は、本人の親族が成年後見人に就任することがほとんどだったが、 平成24年には親族以外の第三者が成年後見人に選任される件数が全体の約52%となり、 制度開始以来、初めて第三者後見人の割合が親族後見人を超えた。成年後見人に就任するのに特別な資格や研修は必要ない。基本的には誰でも後見人になることができるが、未成年者、破産者、被後見人に対し訴訟をし、またはした者、およびその配偶者並びに直系血族は後見人になることはできない。
 
 圧倒的に多いのが、本人の預貯金等の管理のため、保険金の受取や訴訟手続等のために成年後見制度を利用するケース。 病気で後見制度の利用をするのではなく、後見制度の利用無しでは出来ない法律行為を行う必要が生じた場合がほとんどだ。例えば、親の土地にアパートを建てる途中で親が病気になった場合、後見制度を利用しないと融資がうけられない。
 後見人に認められている身上看護の法律では、病院や施設との契約を結ぶ権限はあるが、どのような医療や介護を受けるかまでを決める「医的侵襲権への同意権」はない。家族が望む治療形態と後見人の考えが食い違ってトラブルが起こる可能性がある。家族が今の病院から転院して別の治療を受けさせたい、と考えても第3者の後見人が転院手続きを拒否したら転院が出来なくなる。
 本人名義の預貯金から介護・医療等に必要な費用の出金の為に、後見制度の利用が必要になる場合もあるが、後見制度を利用すると却って制限が加わる。後見人が本人名義の預貯金から出金する為には各金融機関で「後見の設定」を行い、後見人の権限下の口座にしなくてはならないが、後見設定の扱いは金融機関ごとに異なる。まず各金融機関共通で本人名義のキャッシュカードは廃止され、後見人の権限で代理人カードが作成出来るところと、キャッシュカードは一切作れず、窓口、しかも最初に通帳を作成した支店だけで、毎回後見人が公的な身分証明書を提示しての取り扱いになるところがある。
 
一見、良いとこずくめの制度のように見えるが、資産管理に対しての家裁のチェックが甘すぎて、後見人がその気になれば、本人の資産を家裁にばれずに着服する事も可能だという点が気になる。金融機関と家裁との連絡が密になるシステムの構築が必須だろう。

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