オータムリーフの部屋

残された人生で一番若い今日を生きる。

前川氏 座右の銘は面従腹背

2017-06-02 | 政治
昨日の報道ステ-ションで富川キャスタ-が前川氏にインタビューしていた。
その受け答えを聞くだけで、前川さんの誠実な人柄が伝わってくる。
現政権の「知らぬ存ぜぬ、記憶にない」発言が耳にタコができるほど聞かされている昨今、その率直さ、静かに理路整然と事実を語る様に「官僚にもこんな素晴らしい奇跡の人がいるんだ」という印象を強くした。
 
今年1月に天下り問題の責任を取る形で文科次官を辞任している前川氏は、文科省が文書の存在を調査した結果、「存在は確認できなかった」と回答したことが、今回、証言しようと決心した直接のきっかけだったと語った。省内の関係者は誰もが件の文書の存在を知っていながら、官邸の意を汲んで虚偽の報告をしていることが明らかだからだ。あるものをないことにはできない、行政が歪められているのを黙視することができなかったと言う。しかし、自分は権力に立ち向かうヒーローではないという。行政官僚というものは表では政治を立てつつ、自分たちに与えられた権限の範囲内で、できる限り国民のためになる政策を実行する「面従腹背」の精神が必要だという。
 
国民から選ばれた政治家の権限を強化して、国民のためになる政策をより実行しやすくすることが、政治主導の主眼だったはずなのだが、現実は政治を私物化して、お友達を登用し、便宜を図る。森友学園や今回の加計学園に見られるような形の政治の関与が「政治主導」の結果なのなら、まだ官僚主導の方がよかったのではないか。彼らは頭がよく、行政に精通していることは確かなのだから・・・・
 
リテラ編集部が具体的な取材を基に前川氏の信じられない誠実さを報道している。
 
今回の加計学園の報道に関して、政権の人格攻撃は下劣で恥知らずなものだった。菅義偉官房長官は「貧困調査のために行った」とする前川氏の説明について、「さすがに強い違和感を覚えた。多くの方もそうだったのでは」「教育行政の最高の責任者がそうした店に出入りして小遣いを渡すようなことは、到底考えられない」などとせせら笑いながら、ワイドショーのコメンテーターよろしくコメントした。
NHKや産経新聞も、前川氏が会見で、出会い系バー通いについて弁明した際に大量の汗をかいていたことを強調した。実際は、この会見場は暑くて、前川氏は最初から汗をかいていたし、記者たちも汗だくだったのだという。
「週刊文春」(文藝春秋)によると、出会い系バーで前川氏と出会った女性は買春行為を全面否定し、「口説かれたことも手を繋いだこともない」と証言した。この女性は、問題の出会い系バーで前川氏に声をかけられ、その後、前川氏と頻繁に会うようになったという。「あの店で会った子の中で、私が前川さんと一番仲がいい」と語り、友人などもまじえて、3年間で30回以上会ったと証言している。
「夜10時くらいから食事を始めて、いつも12時くらいになると前川さんは『もう帰りたい』って一人でそそくさと帰っちゃうんです」
また、この女性は、前川氏が自分や友人の悩みについて親身に相談に乗ってくれたエピソードを具体的に明かしたうえ、「前川さんに救われた」とまで語っている。
そして、今回、「文春」で証言した理由についても、こんな説明をしていた。
「記者会見のあった25日に、お母さんからLINEが来て『まえだっち(前川氏に彼女がつけたあだ名)が安倍首相の不正を正してる』。それで、お父さんとテレビ見て『これは前川さん、かわいそうすぎるな』と思ってお話しすることにしました。私は前川さんのおかげで今があると思っていますから」
 
「貧困の調査」という前川氏の説明が"苦しい言い訳"でもなんでもなく、本当の話なのではないかという声は、会見の直後から、前川氏をよく知る人たちの間で静かに広がっていた。
前川氏は本当に熱心に「貧困問題」に取り組んでいたからだ。在職中は高校無償化や大学の給付型奨学金の実現に奔走し、退官後も二つの夜間中学校の先生、子どもの貧困・中退対策として土曜日に学習支援を行う団体の先生として、三つのボランティア活動をしている。
前川氏は今年1月の退職時に文科省の全職員に「文部科学省のみなさんへ」と題してメールを送っているのだが、そのなかで「特に、弱い立場、つらい境遇にある人たちに手を差し伸べることは、行政官の第一の使命だと思います」としたうえで、「文部科学省での最後の日々において、給付型奨学金制度の実現の見通しがついたこと、発達障害や外国人の児童生徒のための教職員定数改善に道筋がついたこと、教育機会確保法が成立し不登校児童生徒の学校外での学習の支援や義務教育未修了者・中学校形式卒業者などのための就学機会の整備が本格的に始まることは、私にとって大きな喜びです」と綴っている。
さらに、低所得の子どもの学習支援をするNPO「キッズドア」代表の渡辺由美子氏も、同団体の活動に前川氏が参加していたことを明かしている。渡辺氏は直接面識がないというが、前川氏を知る担当スタッフによると「説明会や研修でも非常に熱心な態度で、ボランティア活動でも生徒たちに一生懸命に教えてくださっているそうだ」「2017年度全ての学習会に参加すると○をつけてくださっていて、本当に頼りになるいい人です」といい、渡辺氏も「年間20回の活動に必ず参加すると意思表明し、実際に現場に足を運ぶことは、生半可な思いではできない」と、前川氏が決して付け焼き刃で活動しているわけではないことを語っている。
 
さらに渡辺氏は、前川氏がこの活動にかかわるようになった経緯をこう明かしていた。
 
「素性を明かさずに、一般の学生や社会人と同じようにHPからボランティア説明会に申し込み、その後ボランティア活動にも参加してくださっていた」
「現場のスタッフから「この方はもしかしたら、前文部科学省事務次官ではないか」という報告は受けていたが、私が多忙で時間が合わず、また特になんのご連絡もなくご参加されるということは、特別扱いを好まない方なのだろう、という推測の元、私自身は実はまだ一度も直接現場でお目にかかったことがない」
 
また、5月28日放送の『週刊報道LIFE』(BS-TBS)では、前川氏が読売報道が出るずっと前に、自分から貧困調査のために出会い系バー通いをしていることを関係者に告白していたことも明らかになった。
前川氏は義務教育を十分に受けられなかった高齢者のための学習支援のボランティアに参加していたのだが、同番組ではそのボランティア団体のスタッフが取材に応じ、前川氏が新幹線を使って地方に通ってきていたこと、勉強を教えるだけでなくお茶の時間も生徒たちとにこやかに話すなど溶けこんでいたこと、いつもはカジュアルな格好の前川氏が、今年2月天下り問題で国会に参考人招致された日はその足で背広姿のままやって来て生徒たちが感動したエピソードなどを紹介。さらに、生活保護を受けた経験があるという女性の話をきいた前川氏が、「僕も貧困に興味を持ってバーとかに行ったりしてるんだよ」と話していたことを明かしたのだ。
 
このスタッフは前川氏の会見で語った「貧困調査のため」という説明についても「前川さんを知っている者からすれば、前川さんの言う通りだと感じた」と感想を語っている。
 
しかも、前川氏の"無実"を主張しているのは、前川氏と親交のある人たちだけではない。実は、"出会い系バー通い"を使って人格攻撃を仕掛けている御用マスコミの報道からも、逆に前川氏に違法性がないことが浮かび上がっている。
たとえば30日放送の『直撃LIVEグッディ!』(フジテレビ)では、前川氏が通っていたとされる出会い系バーの店員に直撃。「あまり女性とお話を率先してされるというタイプではない。基本的にゆっくりしていた」「店内でお話しても2〜3時間1人の女性と話をされたりしている印象」「(女の子を店外に連れ出すとかは)記憶では1回あったかないかくらい。印象がない」「遊びではなく、見学に来ているように見えた」「前のめりになってるほかのお客さんとは、ちょっと違った」「領収書は渡したことがない」などと語った。
 
『グッディ』ではこれらの証言をもとに「女性と話さないと調査にならないのでは」とか「調査なら領収書をもらわないとおかしいのでは」などとツッコミをしていたが、むしろ領収書をもらっていたほうが問題だろう。
 
証言などしなければ、こんな人格攻撃や誹謗中傷にさらされることはなかったはずだ。それでも証言に踏み切ったのは、前川氏が、大きな権力に屈して黒を白と言ってはいけない、行政は権力者のお友だちだけのものでなく、国民に等しく公正でなければならない、そうした強い危機感があったからだろう。
本サイトは今後も前川氏の人格を不当におとしめる動きや、でっちあげ逮捕などがなされないよう、官邸、御用メディアの動きを注視していきたい。(リテラ編集部)
 
ネットには政権の応援団の「前川氏を貶める発言」ばかりが目立つ。前川氏の言葉を肉声で聞きながら、その所作を画面で見ながら、いまだ政権の肩を持つ方々がおられる現実は空恐ろしい。
戦争を知らない世代が80%を超えた現在、戦争の足音が聞こえてくる。
 
野坂参三共産党議員と吉田茂首相との「自衛権」論争がある。
野坂「古来独立国家として自衛権をもたない例はない。9条も自衛戦争は否定していないはず」
吉田「歴史上、侵略を標榜した戦争はない。すべての戦争が自衛の名のもとに行われた。憲法9条はけっして、自衛の戦争を認めるものではない」
 
しかし、戦後しばらくすると政府の解釈が変わる。自衛隊が創設された1954年、政府は「自衛隊は憲法にいう戦力に当たらないから違憲の問題は生じない」と説明した。
「憲法は国に固有の自衛権を否定していない。自衛隊は、敵国が日本の領土に進攻してきた際に自衛権を行使する実力組織に過ぎない。自衛隊は、自衛を超えて海外で武力を行使することはない。自衛の必要を超えた装備や編成をもつこともない。だから9条に違反しない」。いわゆる専守防衛だ。
明らかに憲法の条文に違反はしてはいるものの、自衛隊の装備や編成、あるいは行動を、専守防衛にとどめて、暴走することのないよう自衛隊への歯止めの役割を果たしてきた。
安倍政権は集団的自衛権の行使を容認することによって、敵が国土を蹂躙したときに自衛するはずの自衛隊が、同盟国とともに海外で闘う組織になった。
 
安倍政権のやりたい放題、政治の私物化も極まった。国会も議論どころか、大乱闘も起こらず、無能な国会議員達が国民を無視し、政権にすり寄る姿だけが目立つ。
元自民党総裁の河野洋平・元衆議院議長が安倍政権を猛批判した。
「理解しようがない。9条はさわるべきではない。(2020年の憲法改正で)突如としてああいうことをおっしゃる言い方に全く驚いている」。
「憲法は現実に合わせて変えていくのではなく、現実を憲法に合わせる努力をまずしてみることが先ではないか。憲法には国家の理想がこめられていなければならない」。
 
知性のかけらもない政権がいつまでも存続することができるのは、国民にも問題がありそうだ。
政権を支えているのは、けっして極右勢力や軍国主義者ばかりではない。多数の国民の声が反映されないのは小選挙区制のせいもあるが、政権が多数の国民に支えられていることは間違いない。自らものを考えようとしない統治しやすい国民をはぐくみ利用しようという政権の思惑は見事に成功している。ナチス政権も軍国主義政府も、「反知性の国民」からの熱狂的な支持によって存立しえた。国民は被害者であるとともに、加害者でもある。反知性主義に毒されてはならず、反知性に負けてはならない。今回の前川氏の勇気ある発言を真っ向から反論する知性を持てず、スキャンダルを流すことで無視、もみ消そうとする反知性政権の無能さを決して忘れてはならない。政権の不当を記憶に刻んで、安倍政権を支える愚行に加わらないことを誓いたい。反知性の政権を支持することは自らが悲惨な被害者に転落する道に通じているのだから。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿