オータムリーフの部屋

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ギリシャの脅し戦略は功を奏するか?

2015-07-07 | 国際
オーストリア市民26万1159人がEUからの脱退の是非を問う国民投票の実施を政府に求める請願に署名した。10万人を超えるとオーストリア議会はその問題を討議しなければならないが、その二倍半が集まった。 仕掛け人は政治団体「祖国と周辺環境」のリーダー、インゲ・ラウシェル氏(66歳)。同氏は「今回の署名はオーストリアの市民運動の大いなる成果だ」と語っている。
 
「EUは民主主義でも何でもない。むしろ、民主主義の発展にとっては、暴力的な後退だ。そのことは多くの人が感じている。我が国では失業者も増え、国の債務も膨らんでいる。あらゆる方面で状況が悪化している。ブリュッセルからは、お金のかかる、しかし意味のない注文が押し寄せ、官僚主義的雑事が山のように要求される。EUに入っても、いいことは何もなかったのだ。大手多国籍企業の支配がとことんまで進んだ。EUはあの手この手でそれを進めた。中小企業にとっては、そうした路線は壊滅的に作用した。私が思うには、また多くの人の考えでは、EUという実験の根幹をなすユーロという通貨は、長くはもたないだろう。それを見越して動き、EUから脱退するのが早ければ早いだけ、経済状態は良くなるだろう。私はオーストリアを何も特別なケースだとは考えていない。EUの全加盟国が同じ運命にあるのだ」とラウシェル氏は言う。
 
ギリシャ国民投票で緊縮反対が確実になると、欧州各国の反緊縮・反欧州連合(EU)政党からは「チプラス政権の勝利」への称賛が相次いだ。スペインで「反緊縮」を掲げて5月の統一地方選で躍進した急進左派政党「ポデモス」のイグレシアス党首はツイッターで「きょう、ギリシャで民主主義が勝利した」と祝意を表明した。ポデモスはギリシャの与党・急進左派連合(SYRIZA)の友党で、イグレシアス党首はチプラス首相の盟友。フランスで勢力を伸ばす極右政党「国民戦線(FN)」のルペン党首も声明を出し「ギリシャ国民からの『ノー』は、健全で新しい道を開くものとならねばならない」と主張した。英国のEU離脱を目指す「英独立党(UKIP)」のファラージュ党首もツイッターで「ブリュッセルによる政治的・経済的脅しと対決したギリシャ人の勇気は素晴らしい」とたたえた。
 
ギリシャ紙の風刺画が笑える。バカと呆れられながら、反対方向に走るギリシャ。賢い群れは崖っぷちからまっさかさまだ。
 
ギリシャがユ-ロから離脱して立ち直ったら、それは素晴らしいけれど、チプラス政権は借金を踏み倒して、さらに金をよこせと言っているだけだ。低金利で調達した金を放漫財政でばらまき、消費しただけのギリシャが自立するのは、まず無理だろう。あとはドイツがどこまでギリシャを支援するか、その意思が問われる。
 
 しかし、債権団が妥協すれば今度はスペインやポルトガルなどの反財政緊縮派が勢いを増し、ギリシャだけの問題ではなくなる懸念がある。ドイツ議会ではギリシャへの支援条件緩和を認めることに断固反対している。早晩、ギリシャ政府や銀行の資金が底を突き、年金などの支払いができなくなる。新ドラクマの発行には時間がかかり、発行されたとしても、その通貨価値は急落する。ギリシャ国民にそこまでの覚悟があるとは思えない。
 ユーロを離脱することは債権団が求めている緊縮財政以上に国民の生活を圧迫する。お金を借りて現状が何とか維持されていることに感謝するどころか、お金を永遠に借り続けられるのが当然であり、正義であると国民は考えているようなのだ。被雇用者に占める公務員比率は30~40%、人口1100万人の10%が公務員であり、公務員給与は民間雇用者の3倍、公務員雇用における縁故主義、年金支給開始年齢の低さなど、モラルハザードが国民に蔓延している。

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