小池氏圧勝

小池百合子氏は、自民党内の調整がないまま立候補表明したために党幹部の逆鱗に触れ、与党を敵に回す形で選挙戦を闘った。そんな姿が無党派層の過半数、野党支持層の一部の票を呼び込んだだけでなく、多くの自民支持層にも支持を広げた。

 

朝日新聞によると、自民支持層のうち４９％が小池氏に投票し、自民が推薦した増田寛也氏の４０％を上回った。公明支持層は６９％が増田氏に投票したが、小池氏に２４％が流れた。

小池氏は共産支持層の１９％を取り込んだほか、社民支持層、生活支持層の２割弱の票を得た。４野党共闘の最大の援軍になるはずの無党派層も鳥越氏には１９％だけで５１％が小池氏に回った。おおさか維新支持層は６０％が小池氏に投票した。

鳥越俊太郎氏は、民進支持層で５６％にとどまり、２８％が小池氏に投票した。

 

投票者の年代別、性別にみると、小池氏は偏りなく票を集めた。増田氏は３０～４０代で振るわなかった。鳥越氏は高齢層に偏り、２０代では１０％に満たなかった。

 

投票の際、最も重視したことは①政策や公約（３２％）②クリーンさ（１８％）③経歴や実績（１５％）④実務能力（１４％）⑤リーダーシップ（１４％）⑥支援する政党や団体（５％）の順。

 

「実務能力」を選んだ人のうち最多の４４％が増田氏に、「支援する政党や団体」を選んだ人のうち最多の４６％が鳥越氏に投票した。他の選択肢を選んだ人はいずれも小池氏が最多で、特に「リーダーシップ」を選んだ人の７１％が小池氏に投票した。

 

国と都の関係について新しい知事に求める姿勢は、「都の独自性を優先する」が５９％、「国との連携を大切にする」が３８％。「都の独自性」を選んだ人の４９％が小池氏、「国との連携」を選んだ人の４０％が増田氏に投票した。（峰久和哲）

 

 

「たった一人で始める第１バイオリンから、皆さんがいろんな楽器を持ち寄って大きなオーケストラにしていきましょう」

「都民の都民による都民のための都政」

都知事選では自民党の都連や都議会のしがらみがうすい、何か新しい発想で都民の目線でやってくれそうな小池氏が圧勝した。

「既成の政治との対決」を強調する手法が都では威力を発揮する。自民党は、小池氏の引き立て役として、ドジばかりが目立った。大体、事なかれ主義の官僚出身者に期待することなど何もない。天下り官僚職と言ってもいい地方の政治がうまく機能したことがあっただろうか。　

 

都知事は好きか嫌いか？よりも潔白で「有能か・無能か？」が判断基準になる。

自民党の傀儡で実務能力ありと言われる増田氏。しかし、選挙の演説は新鮮味なく、退屈極まりない。自身の支持者が暴言を吐いたら、即たしなめるぐらいのパフォ－マンスすら示せない従順男。

こんな権威に弱い男に都政は任せられない。

大体、東京への一極集中は地方が疲弊すると言っている男を自民党が担ぎ出すと言うことはこの男をどうにでも操縦できると都連や自民党幹部が自信を持っているからだ。

 

官僚時代の増田氏の提言により、1兆円以上のお金が地方に流れたそうだ。そんな金を地方にバラまいたところで、ろくでもないハコを作って赤字になるのが関の山だ。

金は掛けるべきところに掛けないと、無駄になる。地方に金を配って公共事業をしたところで、地元の建設業者と族議員が潤うだけだ。

 

４年後に迫る東京五輪・パラリンピックに向け、新東京都知事が果たす役割は重要だ。大会開催費の膨張を抑制するための国際オリンピック委員会（ＩＯＣ）との交渉力、大会組織委員会や国と費用分担の見直しを進める調整力が問われる。招致段階で７３４０億円と見積もられた開催費は、建設資材や人件費の高騰で２兆円にも上ると試算される。

　開催費のうち会場整備費の分担は招致段階で、恒久施設が都、仮設施設は組織委とされた。ただ、仮設だけで当初計画の４倍に当たる約２８００億円に膨らむ見通し。資金難に陥る恐れがある組織委の申し出で、国が立ち会い、都と分担の再検討を始めている。小池百合子氏は選挙戦で「五輪関連予算・運営の適正化」を掲げた。当選を決めた後「予算の積算根拠を改めて示してもらい、もう一度都民の負担を明らかにしたい。一番のポイントは情報公開」と語った。

 

　大会組織委の森喜朗会長は、東京都に負担増を求めている。森氏は小池氏を嫌っている。少なくとも森氏の方が妥協せざるを得ない結果を期待したい。

 

　都知事は良い人だけでは勤まらない。　政治家として誇りをもち、都民目線の政策があり、ブレない人物が最適だ。

　女性のほうが弱者の目線に立った政策を実行できるかもしれない。

　自民党と対立しても、立ち向かっていく姿に好感が持てる。政党に応援されている候補者はもううんざりと感じた有権者が多かったのではなかろうか。

　とにかく、初の女性都知事、有能で発想力抜群、利権団体としがらみの薄い小池氏に期待したい。弱者の目線で都政を運営し、東京を住みやすい都市に変え、日本の政治の範になってほしいものだ。