オータムリーフの部屋

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キラーロボットが変える戦争の形

2017-08-27 | 戦争
人工知能(AI)を搭載することで、自ら攻撃目標を発見し、殺傷する「キラーロボット」が誕生する日が近づいている。AIは、ひとたび軍事面で利用されると、火薬、核兵器に次ぐ、戦争の「第3の革命」を巻き起こす、そんな危惧が専門家の間に広がっている。
 
AIで著名な116人の起業家・専門家が今月21日、国連宛ての公開書簡の中で、自ら判断して敵を攻撃する「自律的兵器」に警鐘を鳴らした。
書簡の中で彼らは、(AIを搭載した)自律的兵器が世界のテロ集団や独裁政権の手に渡ることの危険性を指摘したうえで、こうしたAI兵器の即時規制を国連に訴え、そのために「自分たちの専門知識や助言を是非とも提供したい」と述べている。これに先立つ7月には、(米国政府への人材供給源として知られる)ハーバード大学ケネディ・スクールも、AIと(軍事を中心とする)国家安全保障に関する長文レポートを発表するなど、この分野に対する米政府関係者の関心が急速に高まっていることが窺われる。同レポートによれば、最近5年間のAI技術の発達は従来の予想を遥かに上回る速度で進んだが、その大部分は(国防総省傘下のDARPAなど)政府機関ではなく、(グーグルやマイクロソフトなど)民間企業とアカデミア(学術界)による研究成果であるという。今後は、この民間で培われたAI技術が、軍事やサイバー防衛などに応用され、国家の安全保障に重大な影響を及ぼすようになると予想している。また、これからのAI技術が従来見られた「軍事技術の非対称性」、つまり(米国のように)豊かな大国と貧しい小国や(ISのような)テロ集団との間における兵器格差が縮小する可能性があると言う。
 
 
現時点で完全自律性を有するキラーロボットは存在しないとされている。しかし、国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW、本部=米ニューヨーク)は、「米国、英国、中国、イスラエル、ロシア、韓国などが自律稼働性のレベルが高い兵器システムを開発中だ」と指摘する。 既にAIを搭載したロボットは軍事利用されている。韓国は北朝鮮との軍事境界線にロボットを配備している。相手の熱や動きを感知し目標を捉え、人間の指示に基づき機関銃などで攻撃する能力があるとされる。
イスラエルでは、軍用機などを製造する航空機メーカーが、目標を捜索し、攻撃できる無人機を開発した。また、去年、無人の完全自動運転軍用車の実戦配備を開始したことを明らかにしている。人工知能(AI)による自動運転軍用車の本格配備は「世界初」(イスラエル軍)で、パレスチナ自治区ガザ地区との境界に導入した。今後、機関銃など兵器を搭載してレバノンやシリア、ヨルダン、エジプトなど周辺アラブ諸国との境界に順次、配備する。将来的には兵士とロボット車両の混成戦闘部隊の組織を目指すという。兵器は現状では遠隔操作だが、製造業者は「技術的に武器の自動化は既に可能な状態」としている。
英国はAIを搭載し、指定された領域で標的を自動で追尾する機能を有する高性能のミサイルを保有。イラク北部での過激派組織「イスラム国」(IS)に対する軍事攻撃で使用した。米国でも無人戦闘機や対潜無人哨戒艦などの開発に着手している。
 
「捕食者」の名を持つ「プレデター(RQ-1)」は、1980年代にペンタゴンの国防高等研究計画局(DARPA)で製造が開始された。各種センサーを搭載し、当初は監視目的の無人偵察機として開発されたものだが、2001年のアフガニスタン紛争において、CIAが対戦車ミサイル「ヘルファイア」で武装し、タリバンとアルカイダに対して史上初の無人機による攻撃・殺害が実施された。
CIAとアメリカ空軍は、プレデターを改良して操作性・検出能力・射撃能力が向上した殺人無人機「リーパー(MQ-9)」を開発した。リーパーもヘルファイアで武装しているほか、レーザー誘導爆弾やスティンガー空対空ミサイルを搭載することができる。プレデターおよびリーパーは、機体にパイロットが搭乗する必要はないが、自動操縦ではなく遠隔操作で動く。
現在も開発が続けられている次世代ドローンは、国家の警戒防空域をすり抜けることや、高高度からの原子力施設の発見や、テロリストリーダーの暗殺も可能になると考えられている。V2ロケットなどの弾道ミサイルが何千発も使われた第二次世界大戦時代に代わって、何千台もの無人航空機が兵器として使用される「ドローン戦争」が起こるのも遠い未来ではない。
 
また、アメリカ空軍の研究組織「空軍研究所」は、「M.A.V」と呼ばれるマイクロ技術を使った「鳥型」「昆虫型」の無人機に関するアニメーションムービーを2009年に発表している。
 
マイクロドローンは主に上空から目的地周辺に散布して配置する。頭部が可動式のカメラになっている。対象者を発見すると……本部へ遠隔で情報が送信され、カメラの映像から人物を特定。
車が移動を始めると、首回りのプロペラが回転して浮遊し、鳥と同じく羽を羽ばたかせて飛行追尾を開始。
虫型ドローンは鳥型よりもさらに小さく……2対のウィングによって無音のホバリングが可能。ドアが開くまで待機するなど、細かい操作で対象者を監視する。
監視以外にもこのようにスナイパーの背後に忍び寄り……爆発してスナイパーに気付かれることなく殺傷する自爆攻撃が可能というのだ。
 
 
兵士たちは、モニター画面越しに遠隔操作する。兵士の命が危険にさらされることはない。アメリカ軍の元高官は、無人機なしの作戦は今や考えられないという。
元アメリカ空軍 中将 デビッド・デブトゥラさん
「無人機ならば標的を何時間もかけて偵察でき、攻撃の直前まで監視できます。」
アメリカ空軍で無人機を操縦していた、ブランドン・ブライアントさん
ブライアントさんは2006年から5年間、アメリカ本土で生活しながら基地に出勤し、アフガニスタンなどでの攻撃に従事していた。
「奇妙な生活でした。12時間、いわば戦場にいて、そのあと街に出て、ハンバーガーを食べたり恋人に会ったり、パーティーに行ったりするんですから。」
 
無人機攻撃により、民間人が巻き添えになったこともあった。
国連の調査では、パキスタンだけで2004年以降、少なくとも400人以上の民間人が犠牲になった。
パキスタン北西部で小学校の教師を務めるラフィークウル・レヘマーンさん。
2012年10月、自宅近くの畑で母親が無人機の攻撃を受けた。
「母は、子どもたちと畑に出て野菜を収穫していました。その時突然アメリカの無人機が攻撃してきて、母の体は吹き飛びました。」
レヘマーンさんの息子や娘も近くにいて、大けがを負った。
レヘマーンさんは、母親がテロリストだと間違われるような理由は全く思い当たらないという。
 
無人機の操縦に携わっていたブライアントさん
ある日、3人の標的が建物に入ったのを確認してミサイルを発射したが、その直後建物に向かって走る小さな人影が見えた。
「男の子か女の子か、分かりませんでした。でも上官からは犬だと言われました。胸がむかむかして、気分が悪くなりました。犬だなんて、うそだったんです。」
その後、軍を除隊したブライアントさんだが、上官から5年間の任務で殺した人の数は1,600人を超えたと告げられた。
「無人機の操縦者はすべてを目撃しますが、爆発音を聞くこともなく、興奮することもありません。聞こえるのはコンピューターの音と、同僚の息遣いだけです。無人機での攻撃を繰り返すうち、私は無感覚になっていました。」
無人機の操縦は高度な訓練を受けた兵士である必要はない。ボタン操作に慣れたゲ-マ-であれば十分なのだ。
 
最初のターゲットはテロリストの幹部。そして、中間から末端のテロリスト。
テロリストが取るであろう行動・ふるまいをしていれば、テロリストだという推定する。道路に穴を掘っていたら、路肩爆弾を設置しているだろうと・・・・。
20代から40代の男性が跳躍運動をしてる。それを無人機から見れば、これはテロリストのキャンプ場ではないか、訓練キャンプではないか。
また普通の部族の集会であっても、2~3人、4~5人集まれば、それはテロリストが集会してるんではないか。
 
テロリストは住民の中に潜んでいると主張する先進国はISとの戦いで民間人を含む攻撃に躊躇しなかった。シリア政府軍、アメリカやロシアの空爆でモスルはがれきの山。その下に埋まっている死体で今なお異臭がすると言う。
アメリカの軍事企業が開発を進める、最新の自律型無人機「X-47B」は、コンピューターで自動制御されている。このX-47Bが、熟練したパイロットでさえも難しいといわれる、空母への着艦に成功したと言う。移動する空母の位置、風の抵抗、機体の揺れ具合など、さまざまなデータを正確に処理し、空母のセンターラインぴったりに車輪を載せる完璧な着艦は、軍関係者にすら衝撃を与えた。将来的には、複数の機体どうしがみずから情報を交換し、連携して偵察や攻撃の任務を行うことが想定されている。
 
もし、人工知能兵器である自律型兵器が実現した場合、どのような未来が待っているのか。
自律型兵器が登場すれば、軍隊の構成から人間自体が排除される。機械が判断し、戦闘する。すべての軍事行動が兵器だけで完結する。
人工知能兵器つまり自律型兵器の需要が高いということは、開発者の前には莫大な利益がぶら下がっている。軍事大国が人工知能兵器開発に突き進みはじめた場合、世界的な軍事競争は不可避である。
自律型兵器は、ブラックマーケットに並び、テロリストや独裁者、民族浄化を願う部族軍長などのもとへ流れる。
 
人工知能兵器を実現させるテクノロジーは否応なしに発展する。人工知能は汎用性の高いテクノロジーだからだ。 人工知能兵器で戦争の在り方は確実に変わる。しかし、その凄惨さが変わることはない。そのうち、人工知能兵器が勝手に戦争を始めて人類を滅亡させるという大団円が待っているとしたら・・・・・それもいいかもしれないと思うこの頃である。いつの日か、自律するAIが登場し、とんでもない速さで自己改造を始める。生物学的進化の遅さに制限される人間がこれに対抗できるはずもなく、いずれ追い越される。ごく短いスパンで見た場合も、今は人間にしかできない作業を人工知能が代行できるようになり、数多くの失業者がでる。長期的には、邪悪な人類がより邪悪に進化したAI兵器に絶滅させられる可能性は十分にある。

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