オータムリーフの部屋

残された人生で一番若い今日を生きる。

泥舟から脱出するのは早い方が良い

2014-05-07 | 社会

多くの企業で入社式が行われ、期待と不安を抱いた新入社員がそれぞれの職場に配置される季節。だが、中には早くも会社を辞めてしまう新人もいる。そうした早期離職者に対して、大手企業の採用担当者が仕事についての心構えを諭した内容が、ネットで大きな反響を呼んでいる。話題になったのは、家電量販店のヨドバシカメラの採用担当者が4月中旬、就職情報サイト「リクナビ」の人事ブログに投稿した「新入社員が退職した。」と題する記事だ。それによると、入社10日にして「販売はアルバイトの延長のような仕事。ずっと続けていく気にならないし、自分に向かない」と退職を決め、公務員を目指すという新入社員に対し、採用担当者はこの若者が大好きだというゲームを引き合いに、働くことの意義を説いた。 「(ゲームでも)楽しさを理解するには練習と経験が必要だよな。ちょっとやってみただけで『つまらない』とか『自分には向いていない』っていうのは、早すぎるよな」 その上で、「社会人の時間は長い。22歳で入社して、定年は60歳。約40年もの年月だ。つまり社会人にとって入社後の10年は、大学で言えば1年生に相当する」と、大学野球部の下積み期間にたとえ、「楽しさにたどり着く前に職を変えてしまうから、幸せになれない」として短期間での離職を繰り返さないよう戒めた。面談を終え、新入社員の退職意思こそ変わらなかったものの、その表情は「それまでと違って後ろ向きな逃避ではない、前を向いて一歩踏み出そうとする者の顔をしていた」と、この採用担当者は結ぶ。
 「『昔の昭和の人』には相当好感を持って受け入れられる文章だろうが、今の若者にはどうかな?」(はてなブックマーク)と世代差を指摘する声もあった。たしかに、「最初の10年は大学でいえば1年生」という議論の有効性は、同じ会社に定年まで勤め続けられることを当然の前提としている。10日で退職は早すぎにしても、10年下積みを続けたとしてどれだけのキャリアパスが得られるのか。一昔前ならおそらく、圧倒的多数が「いい話」と受け止めて終わっていただろうエピソードについて、意外にも賛否が分かれたのは、終身雇用と年功序列という「日本型雇用」がなくなり、就職への認識が世代間で変わりつつある現状を映し出しているのかもしれない。(産経新聞)


 「同じ会社に定年まで勤め続けられる」ことを前提として10年間の下積みは意味を持ちうる。10年後にはリストラ候補にされているかも知れない会社においては、採用担当者の言葉は詐欺としか言いようがない。ヨドバシカメラに限らず、10年間、我慢して働き続けた先にどのような対価が用意されているのだろうか。若い時の10年間の時間と労力を無駄にしてはいけない。転職のとき、役に立つキャリアを積むことができるならまだしも、アルバイトに置き換え可能な仕事なら一刻も早く泥舟からは脱出するのがよい。アルバイトに置き換えられるリスクの高い職業を避ける若者の転職は当然だ。 一方、時間給で働くアルバイトよりも「定額で使い放題」の正社員の方が安上がりと消耗品感覚で雇用しているブラック企業がある。
小売りや飲食業界では、時間当たりの給与が一番低いのは超長時間労働を強いられる「店長」であることも多い。年功序列や終身雇用の制度が崩れて久しい。企業も利潤追求しなければ生き残れないご時世、社員を大事にする企業は希少価値でなかなか採用されないだろうが、真面目にキャリアを考えるなら、早期に転職を検討すべきだろう。
 
年功序列(終身雇用)のメリット
・チームワークが保たれやすい。
・組織への忠誠を高めやすい。
・現場でこき使われようが、今我慢して勤めていれば、きっと将来は自分にも出世して部下ができるからという思いが、仕事を投げ出したり、転職を思いとどませる。
・仕事は年長者(先輩)から学び、年下(後輩)に教えるのは当然であるという社風を維持しやすい。年長者は下剋上のリスクを考えずに、安心して仕事を教えることができる。
・生活が安定して、将来の生活設計も立てやすく、少子化に歯止めがかかる。
デメリット
・余剰人員が出たとき無駄な労働力を抱える。
・労働力の高齢化にともない賃金コストの上昇が負担となる。
・能力に関わらず若年層に安く高年層に高い賃金のため、若年層や有能力者の労働意欲を低下させる。
・雇用調整で本人の適正や希望を無視した異動が行われる場合がある。
 
年功序列制度は高度経済成長時代、会社への忠誠心や日本経済の発展に貢献した。低経済成長期を迎えて、大企業は労働者への利益の分配をミニマムにし、内部留保を増やしてきた。「資本金10億円以上の大企業が保有する内部留保が、前年度比で5兆円増の272兆円(2012年度)に達した。大企業が内部留保を着実に積み増す一方で、民間企業労働者の年間平均賃金は、賃金のピーク時に比べ約60万円も減っている。

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