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オータムリーフの部屋

残された人生で一番若い今日を生きる。

慈善団体?への寄付

2015-12-04 | 国際
フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)と妻のプリシラ・チャンは12月1日、「Facebook」への投稿で、自分たちが保有するフェイスブック株の99パーセント――現在の価値で450億ドル相当――を、夫妻の新しい慈善団体「チャン・ザッカーバーグ・イニシアチヴ」に寄付すると発表した。この寄付は夫妻が「生きている間」続けられるという。
チャン・ザッカーバーグ・イニシアチヴは、ビル&メリンダ・ゲイツ財団をモデルにしたもののようで、「世界の人々をひとつにつなげ、次の世代を担うすべての子どもたちのために、人間の可能性を拡大し平等を推進する」という目標を掲げている。この発表は、生まれたばかりの長女マックス(Max)ちゃんへの公開書簡というかたちで行われた。「人間の可能性を拡大し平等を推進する」というような、公的部門では滞りがちになることが多い、いくつかの重要な長期目標の達成を目指すのだという。ザッカーバーグとチャン夫妻は次のように書いている。
 
人間の可能性の拡大とは、人の生がどれほど素晴らしいものになるかという境界線を押し広げることです。いまの100倍、ものを学んだり、経験を積めるとしたらどうでしょう?
平等の推進とは、国や家族構成、生まれついた環境などにかかわらず、誰もが確実にチャンスに恵まれることを意味します。わたしたちの社会はこれを、正義や慈善のためだけでなく、人類の偉大なる進化のために、実現しなくてはなりません。現在のわたしたちは、それぞれが提供できるはずのたくさんの可能性を奪われています。わたしたちが、わたしたちのもつ可能性を完全に発揮する唯一の方法は、世界のあらゆる人々の才能、アイデア、貢献を自由に解き放つことです。
 
資産99%の寄付の話だけ聞くと、博愛の篤志家として賞賛したくなる。しかし、・・・・ビル&メリンダ・ゲイツ財団をモデルにしたチャン・ザッカーバーグ・イニシアチヴ?これを見て相続税対策かと、がっかりした。99%寄付とは相続税対策と考えれば、どけちもいいところだ。
 
そもそもビルゲイツのけちぶりは有名で、ワクチンについても黒いうわさが流れている。
 
ビル・ゲイツは「ワクチンは人口削減が目的」と語っている。 2010年3月4日
ビル・ゲイツは、自らの非課税財団(ビル&メリンダ・ゲイツ財団)を通じて巨額の寄付をすることで、病気と戦い、アフリカの食糧不足を解決し、貧困を軽減している慈悲深い博愛主義者のイメージを醸し出している。カリフォルニアでの会議で、ゲイツは彼の慈善事業の目的を明らかにした。その目的とは、一般には殆ど認識されていないが、「人口削減」だった。招待客限定のTED2010会議[Technology, Entertainment, Design conference]で、ゲイツは、「ゼロへの革新」と題した演説を行い、2050年までに世界全体の(人間由来の)CO2排出量をゼロに削減するという科学的にバカげた提案をしたが、話を始めて4分半ほどで、こう断言した。
「何よりも人口が先だ。現在、世界の人口は68億人である。これから90億まで増えようとしている。そんな今、我々が新しいワクチン、医療、生殖に関する衛生サービスに真剣に取り組めば、およそ10~15%は減らすことができるだろう。」
人口増加の抑制のためにワクチンを活用することを望んでいると明確に発言したのである。何ら力のない人間が話しているのではなく、実際にワクチン事業に大きな影響力を持つビル・ゲイツが言っているのだ。2010年1月のダボス世界経済フォーラムにおいて、ゲイツ財団は今後十年間に新型ワクチンを開発し、途上国の子供に送り届けるために、100億ドル(約75億ユーロ)を提供すると発表している。 
 
数十億規模のゲイツ財団の最重視課題は、ワクチンであり、特にアフリカなど未発展国での予防接種である。ゲイツ財団は、世界銀行、WHO、ワクチン業界と提携して、GAVIアライアンス(ワクチンと免疫付与のための世界連盟)を創立している。GAVIの目標は、途上国の全ての新生児にワクチンを打つことだ。 
 
何も知らないと、高尚な博愛活動に思えるだろう。だが問題なのは、ワクチン業界は、西側諸国でワクチンの処分に困ると、危険な(つまり、検証されていないが故に安全でない、あるいは有害であることが判明している)ワクチンを、無知な第三世界の人々に向けて投げ捨ててきたことが何度もあることだ。 ワクチンの本当の目的は、人々を病気にすること、病気に感染しやすくして、早く死なせることにあると言っている団体もある。
 
H1N1豚インフルエンザの地球規模の非常事態ということで不必要なパンデミック宣言がなされた後遺症により、先進工業国には、未検証のワクチンが何億本も余っている。各国は、処理に困っている余剰ワクチンをWHOに引き渡すことに決定し、WHOは、それを一部の貧しい国に無料で押し付ける計画である。 フランスは、巨大製薬会社からサルコジ政権が購入した9,400万回分のワクチンの内、9,100万回分を供与している。同様にイギリスは、6,000万回分の内、5,500万回分を供与した。ドイツとノルウェーも似たような状態だ。  
ローマのコクラン・リサーチセンターの伝染病学者トーマス・ジェファーソン博士は、「パンデミックは世界の大部分で終息しているというのに、なぜ途上国にワクチンを与える必要があるのか?貧困国で今一番問題なのは、心臓・循環器系の病気であり、ウィルスの病気は優先度が低い。1億8千万回分も寄付する医学的根拠は何だ?」と言っている。
 
ワクチン・メーカーは、多くのワクチンに含まれている有毒なアジュバント(増強剤)や保存料に起因する自閉症や数々の神経・筋肉の奇形など、乳幼児にワクチン接種をすることで大きな健康被害があることについては黙っている。 多くのワクチンには(特に第三世界向けに安く製造される複数回ワクチンには)、チメロサールと呼ばれるものを含んでいる。これは、約50%の水銀を含む合成物(エチル水銀チオサリチル酸ナトリウム)であり、保存料として使用されている。
 
1999年7月、米国の「全国ワクチン情報センター」は、「水銀の摂取が蓄積されると脳に損傷を与える可能性がある」と報道機関に発表した。その同じ月に、米国小児学会(AAP)と疾病管理予防センター(CDC)は、チメロサールの入ったワクチンと関連性のある健康問題について国民に警戒を呼びかけた。できるだけ早期に、ワクチンからチメロサールを除去するよう強く勧告したのだ。また、1997年・FDA近代化法の規定に基づき、FDA(食品医薬品局)も、チメロサール入りのワクチンを何度か接種した幼児は、連邦の推奨ガイドラインを超える水銀摂取の可能性があるとしている。
 
 
黒人や少数民族の人口削減を図るというゲイツの願望は、残念ながら新しいものではない。1920年代からロックフェラー財団は、ベルリンとミュンヘンのカイザー・ウィルヘルム研究所を通じてドイツの優生学に研究資金を提供している。これはヒットラーの第三帝国の時代も続いた。 ヒットラーのドイツによる強制不妊化手術を絶賛し、ナチスの人種的「純潔性」という考え方を称賛したのである。 
第三世界の出生数をひそかに減らすためにワクチンを使用するというアイデアも、新しいものではない。ゲイツの親友であるデービッド・ロックフェラーとそのロックフェラー財団は、すでに1972年の段階でWHOなどと協力し、「新たなワクチン」を完成させるプロジェクトを進めていた。
このWHOとロックフェラーのプロジェクトの成果は、1990年代前半、大量の人間モルモットに使用された。WHOは、ニカラグア、メキシコ、フィリピンで、破傷風に対抗するとして大規模な予防接種キャンペーンを総括した。メキシコのコミテプロビダ(ローマ・カトリック教会の在家団体)は、WHOのプログラムの背後にある動機に疑念を抱き、様々なワクチン瓶を検査することにした。その結果、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)を含んでいることを発見したのである。それは、錆びた釘でケガしたり、土壌のバクテリアに接触して感染する開口障害を予防するワクチンとしては不思議な成分だった。本来のhCGは、妊娠を維持するために必要な天然ホルモンであることも奇妙な話だった。このhCGは、破傷風の毒素キャリヤーと結合すると、hCGへの抗体の形成を促進する。そして、女性は妊娠状態が維持できなくなる。フィリピンとニカラグアからも、ワクチンにhCGホルモンが入っているという類似の報告がなされている。
 
評判の悪い男だから、何を言われるかわかったものではない。しかし、優生学の話は別にしても、ただ同然のワクチンを篤志家ぶって、アフリカに送付しているのは事実だ。
善良そうなザッカ-バ-グ氏の「人間の可能性を拡大し平等を推進する」と言う言葉を信じたい。子供を飢餓や病気から助けるだけではまったく意味をなさない。子供たちの可能性を教育の力で拡大しなければ、貧困の連鎖は断ち切れないのだ。

利権の争奪戦の舞台は相も変わらず中東

2015-11-27 | 国際
11月24日、シリア北部のトルコ国境沿いを飛行していたロシア軍の戦闘機が、トルコ軍の戦闘機から空対空ミサイルで攻撃され、墜落した。ロシア機は、その地域を占領する反政府組織(アルカイダ傘下のヌスラ戦線と、昔から地元に住んでいたトルクメン人の民兵の合同軍)を攻撃するために飛行していた。ロシア機のパイロット2人は、墜落直前にパラシュートで脱出して降下したが、下から反政府組織に銃撃され、少なくとも一人が死亡した。パラシュートで降下する戦闘機の乗務員を下から射撃するのはジュネーブ条約違反の戦争犯罪である。
 
トルコ政府は「ロシア機が自国の領空を侵犯したので撃墜した。何度も警告したが無視された。」と言っている。ロシア政府は「ロシア機はずっとシリア領内を飛んでおり、トルコの領空を侵犯していない」と言っている。
 
トルコ政府が国連に報告した情報をウィキリークスが暴露したところによると、ロシア機はトルコ領内に17秒間だけ侵入した。米国政府も、露軍機の領空侵犯は何秒間かの長さにすぎないと発表している。
 
領空侵犯は1秒でも違法行為だが、侵犯機を撃墜して良いのはそれが自国の直接の脅威になる場合だ。ロシア機の飛行は、テロ退治が目的であり、トルコを攻撃する意図がなかった。トルコ政府も熟知していたのに、わずか17秒の領空通過を理由に、トルコ軍はロシア機を撃墜した。
 
トルコが今回、ロシア機を撃墜した真の理由は、シリア領内でトルコ政府が支援してきたトルクメン人などの反アサド勢力(シリアの反政府勢力)が、ロシアの空爆で劣勢に立たされていたからだ。
 
2011年のシリア内戦開始以来、トルコは、シリア北部のトルコ国境沿いの地域に、反アサド勢力が安住できる地域を作っていた。アルカイダやISISなどのテロ組織は、この地域を経由して、トルコ国内からシリア各地に武器や志願兵を送り込むとともに、シリアやイラクで占領した油田からの石油をタンクローリー車でトルコに運び出していた。もともとこの地域には、トルコ系の民族であるトルクメン人や、クルド人が住んでいた。トルクメン人はトルコの代理勢力になったが、クルド人は歴史的にトルコから敵視されてきた。9月末のロシア軍のシリア進出後、ロシア機の支援を受け、シリア政府軍やシーア派民兵団(イラン人、イラク人、レバノン人)の地上軍がシリア北部に進軍してきた。シリア北部では、東の方でクルド軍が伸張してISISやヌスラをたたき、西の方でシリア政府軍などがヌスラやトルクメン人をたたく戦闘になり、いずれの戦線でも、トルコが支援するISISやヌスラ、トルクメン人が不利になっている。ISISやヌスラは純然たるテロ組織だが、トルクメン人はもともと住んでいた少数民族でもあるので、トルコはその点を利用して最近、国連安保理で「ロシア機が、罪もないトルクメンの村を空爆している」とする非難決議案を提出した。
 
実のところ、シリア北部のトルクメン人は、トルコから武器をもらい、テロ組織のアルカイダ(ヌスラ)に合流してシリア政府軍と戦っている。ロシアの認識では、彼らはテロ組織の一味だ。シリア内戦の終結をめざして11月に始まったウィーン会議でも、シリア北部のトルクメン人について、ロシアはテロ組織だと言い、トルコはそうでないと言って対立している。
 
シリアでは今回の撃墜が起きた北西部のほか、もう少し東のトルコ国境近くの大都市アレッポでも、シリア政府軍がISISやヌスラと戦っている。さらに東では、クルド軍がISISと対峙している。これらのすべてで、シリア軍が優勢だ。戦況がこのまま進むと、ISISやヌスラはトルコ国境沿いから排除され、トルコから支援を受けられなくなって弱体化し、全滅する。トルコは、何としても国境の向こう側の傀儡地域(テロリストの巣窟)を守りたい。だから17秒間の領空侵犯を口実にロシア機を撃墜し、ロシアに警告した。
 
先日、ISISの石油輸出を阻止するロシア提案の国連決議2199が発効し、露軍や仏軍が精油所やタンクローリー車を空爆し始め、ISISの資金源が急速に失われている。ISISがトルコに密輸出した石油を海外に転売して儲けている勢力の中にエルドアン大統領の息子もおり、これがエルドアンの政治資金源のひとつになっているとトルコの野党が言っている。9月末の露軍のシリア進出後、トルコは国境地帯をふさがれてISISを支援できなくなりそうなので、急いで世界からISISの戦士になりたい志願者を集めている。9月末以来、イスタンブールの空港や、地中海岸の港からトルコに入国したISIS志願兵の総数は2万人近くにのぼっていると、英国のガーディアン紙が報じている。
 
今回のロシア軍機撃墜に対し、米政府は「露トルコ間の問題であり、わが国には関係ない」と表明している。だが、実は米国も関係がある。撃墜されたロシア機のパイロットを捜索するため、ロシア軍はヘリコプターを現地に派遣したが、地上にはアルカイダ系のテロ組織(形式上、穏健派とされるFSAの傘下)がおり、やってきたヘリに向かって小型ミサイルを撃ち、ヘリは何とかシリア軍の管轄地まで飛んで不時着した。この時、テロ組織が撃ったミサイルは、米国のCIAが「穏健派」の反アサド勢力を支援する策の一環として贈与した米国製の対戦車砲(TOWミサイル)だった。テロ組織自身が、ロシア軍ヘリに向かってTOWを撃つ場面の動画を自慢げに発表している。
 
トルコはNATO加盟国だ。NATOは、加盟国の一つが敵と戦争になった場合、すべての同盟国がその敵と戦うことを規約の5条で義務づけている。そもそもNATOはロシア(ソ連)を敵として作られた組織だ。戦闘機を撃墜されたロシアがトルコに反撃して戦争が起きたら、米国を筆頭とするNATO諸国は、トルコに味方してロシアと戦わねばならない。これこそ第3次世界大戦であり、ロシア機の撃墜が大戦の開始を意味すると重大視する分析も出ている。
 
フランスなどEU諸国はすでに今秋、トルコが国内にいた大勢のシリア難民をEUに流入させ、難民危機を誘発した時点で、トルコへの不信感を強め、シリア内戦を終わらせようとアサドの依頼を受けて合法的にシリアに軍事進出したロシアへの好感を強めている。今後、トルコがNATO規約5条を振りかざして「ロシアと戦争するからEUもつきあえ」と迫ってくると、EUの方は「騒動を起こしているのはトルコの方だ」と、ロシアの肩を持つ姿勢を強めかねない。難民危機も、騒動を扇動しているのはトルコの方で、ロシアはテロ組織を一掃してシリアを安定化し、難民が祖国に戻れるようにしようとしているとも見える。
トルコは、国内で使用する天然ガスの6割近くをロシアから輸入している。エネルギー総需要の2割がロシアからの輸入だ。こんな状態で、トルコはロシアと戦争に踏み切れない。ロシアは、軍事でトルコを攻撃する前に、契約の不備などを持ち出してガスの供給を止めると脅すことをやるだろう。
それよりもっと簡単な報復策を、すでにロシアは採り始めている。それは、これまで控えていた、トルコの仇敵であるシリアのクルド人への接近だ。露政府は最近、シリアのクルド組織(PYD、クルド民主統一党。クルド自治政府)に対し、モスクワに大使館的な連絡事務所を開設することを許した。シリアのクルド組織に対しては最近、米国も接近している。米軍は50人の特殊部隊を、PYDの軍事部門であるYPDに顧問団として派遣し、ISISとの戦いに助言している。シリアのクルド人自治政府に発展していきそうなPYDに、すでに米国が接近しているのだから、ロシアが接近してもまったく問題ない。困るのはトルコだけだ。
 
プーチン大統領の思惑は短期的にはシリアのアサド政権を擁護し、長期的にはシリア内戦の行方とはかかわらずに、シリアの沿岸地域を支配することである。初めはアラブの春に触発された内戦だったかもしれない。内戦に乗じて大国が利権を狙って介入してくる。アメリカが中東に介入し続けるのも石油である。シェ-ルガス革命でアメリカが中東に介入する必要は減るだろうと思ったが、そうはならない。食料と同じで、石油の利権を掌握することは、世界の産業の生殺与奪を握ることである。石油がとまれば、どんな国でも長くは持たない。力をつけてきた中国の包囲網としても機能する。中国もそれがわかっているため、エネルギーの購入先の多角化や、アメリカの中東支配を阻止しようと動いている。被害をこうむるのは難民となって故郷を追われるシリア国民である。武力で問題が解決しないのは大国も即刻ご存じだろう。それを敢えて行うということは、利権が絡み、領土拡張の甘い汁があるからである。そんな大国にとって、人間の命など、一顧だに値しない。

空爆はテロではないのか?

2015-11-18 | 国際
【カイロ時事】13日に起きたパリ同時テロをめぐるニュースが連日、世界で大々的に報じられている。一方、アラブ世界では、今回のテロをはるかに上回る犠牲者がシリア内戦などで毎日出ているが、パリほど注目されない。人々の間では「なぜフランスの事件ばかり関心が集まるのか」と違和感が広がっているようだ。
 
アラブ世界のイスラム教徒の間でも、129人が犠牲になったパリ同時テロへの関心は高い。市民からは、犯行声明を出した過激派組織「イスラム国」を非難し、突然の凶行で命を落とした人々やその遺族らへの同情の声が聞かれる。 ただ、その1日前の12日にレバノンの首都ベイルートで起き、40人以上が死亡した連続自爆テロは、あまり各国メディアで報じられていない。クウェート紙アルライは「レバノンの人々は、世界にとってレバノンの犠牲者はパリと同等でなく、忘れ去られたと感じている」と伝えた。
 
エジプト紙アルワタンも「アラブ諸国では毎日人々が死傷しているのに、なぜフランスばかりなのか」といったフェイスブック投稿者の違和感を伝えるコメントを掲載。町の喫茶店では「世界は二重基準だ」と不満の声が聞かれたことにも触れ、「強い国は注目され、弱い国は(強い国より)悲惨な事件が起きても目を向けられないものだ」と語る大学教授の見解を紹介した。 フェイスブックでは、プロフィル写真上にフランス国旗を映し出す機能が搭載され、世界中で多くの人がこれを利用している。こうした中、エジプトの著名俳優アデル・イマム氏は「フランスよりレバノンの方が(エジプトに)近い。だから私は連帯を表明する」と述べ、自らの写真にレバノン旗を重ねた。
 
日刊ゲンダイ
  “もうひとりのマララ”と呼ばれるパキスタン人のナビラ・レフマンさん(13)が来日。都内で16日会見し、3年前にその身を襲った空爆の恐怖を語った。ナビラさんがノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさん(18)と比べられるのは、母国のパキスタンで同じようにテロの犠牲になったからだ。しかし、その後の境遇はまったく違う。
 
  女子教育を訴えてタリバンに襲撃されたマララさんは、英国の病院で先端治療を受けて回復。英国にとどまり、学生生活を送っている。一方、ナビラさんは農作業中に米軍の無人偵察機にミサイル攻撃を受けて負傷した。祖母も失ったナビラさん一家に対し、パキスタン政府は「米政府の責任」と突き放し、何の補償も受けられずに故郷を追われた。国内難民としての生活を余儀なくされている。
ナビラさんの招聘に動いた現代イスラム研究センターの宮田律理事長はこう言う。
 「加害者が〈誰なのか〉で欧米政府やメディアの対応はここまで違うのかと愕然とします。タリバンの被害者のマララさんは〈自由の象徴〉のごとく祭り上げられているのに、米国の被害に遭ったナビラさんは完全に無視されている。13年にナビラさん一家は渡米し、米議会の聴聞会でスピーチしたのですが、出席した議員はわずか5人。報道はほとんどされず、帯同する予定だったナビラさんの担当弁護士は入国を拒否された。今回の招聘にあたっても、在イスラマバードの日本大使館はビザ発給に非協力的でした」
  米国は過激派組織「イスラム国」に対する空爆を続け、その成果ばかりが伝えられるが、その裏で多数の民間人が犠牲になっている現実がある。
 
毎日新聞
ナビラさんの狙撃は「武装勢力とみられる3人を殺害」(地元紙ネーション)、「『標的は武装組織の拠点』と治安関係者」(AFP通信)と報道された。だが、実際に死亡したのは、モミナさんと4頭の牛だ。
 
「無人機攻撃はテロリズムを増幅させる。罪のない人が殺害され、憎悪をもたらすことになる」。マララさんはオバマ大統領に訴え、後に米メディアのインタビューにこう語った。「無人機はテロリストを殺害するが、民間人も標的になっている。もし父が殺されたら、子供はテロリストになってしまう」。当時16歳のマララさんが、米軍の最高司令官に無人機攻撃をいさめたことは、メディアで大きく取り上げられた。
 
 パキスタン軍は今年9月、国産無人機による攻撃を初めて実施したと発表したが、それまで同国で無人機による攻撃を行っていたのは米国だけだ。ロンドンの非営利団体「調査報道局(BIJ)」のまとめによると、パキスタンでは04年以降、421回の無人機攻撃があり、最大3989人が殺害された。965人は民間人で、うち207人が子供だったという。4人に1人は「テロリスト」と無関係の市民ということになる。米インターネットメディア「インターセプト」は10月、米軍の機密文書とされる資料を基に、アフガンでは一時期、無人機で殺害した9割が標的と異なっていたと報じた。
 
 米国から帰国したナビラさん一家に、つらい現実が待っていた。14年6月、北ワジリスタン管区でパキスタン軍によるTTPの掃討作戦が始まった。「3日以内に村を出て行くように」。突然、長老に告げられた。地上戦が始まる−−。ナビラさんら村民は衣類や現金などわずかな財産を抱え、約50キロ離れた隣接州の町を目指した。ひどい一日だった。ナビラさんは祖父と並んで山道をひたすら歩いた。「家も畑も捨ててきた。どこに行くかも分からなかった」。友人とはすぐに離ればなれになった。避難所があるバンヌーの町に着いたのは午後9時ごろ。難民キャンプはいっぱいで、行く当てもなく、路上で一夜を明かすしかなかった。郊外にある政府庁舎の敷地に空き地を見つけたのは、数日後のことだ。それから1年半がたった現在も、一家は空き地に建てた粗末な小屋で暮らしている。地元の学校教師だったレフマンさんは失業し、生活は政府や支援団体の配給が頼み。息子たちは2キロ離れた学校に通うが、付近に女子校はなく、ナビラさんら娘はずっと家にいる。
 ナビラさんには三つの夢がある。学校に行って勉強すること。いつか弁護士になること。そして、教育を受けられない故郷の子供たちのために、何かをすること−−。だが、避難生活の終わりは見えない。いつ学校に通えるのかも分からない。そして、残りの人生を「幕」の向こうで過ごすことになるかもしれない。
 
 無人機に限ったことではない。空爆は常に一般人の犠牲が伴う。それを承知で行う大国の攻撃。
16日放送の「報道ステーション」(テレビ朝日系)で、古舘伊知郎氏がフランスによる過激派組織ISIL(イスラム国)への空爆を「テロ」と表現した。
 
フランスは、自国へのテロ計画があるとして、9月27日からシリア領内のISILに空爆を踏み切っている。テロ発生後にも、フランス軍はラッカにあるISILの訓練施設や司令部などを攻撃した。同国のファビウス外相は「ひどい攻撃を受けた。このまま引き下がるわけにはいかない」との声明を出している。
 
中東の国際関係に精通した同志社大学大学院教授・内藤正典氏は「私たちは『テロ』とは、テロ組織を指して言っていますが、昨年のガザとイスラエルの紛争のとき、ガザの子どもが500人は亡くなった。ご遺族からすればこれがテロでなくて何でしょうか」と疑問を投げかけた。さらに内藤氏は、これまでには黙殺にあった死者が膨大にいるといい、「テロの肯定はできないが、そういう犠牲になる人たちの目線では、有志連合がやっていようが、フランスがやっていようが同じくテロじゃないか」と、誰の手であろうと無実の人が殺される攻撃はテロであるとしていた。
内藤教授はさらに、シリアから膨大な数の難民が出ているのは、イスラム国が怖いことも確かにあるものの、有志連合による空爆を恐れていることの方が大きいとした。その理由としては、「一瞬にして、住む家、家族を吹き飛ばされてしまうわけですから」と述べた。イスラム国から何かの刑罰を受けるまでには時間があるものの、空爆は時間がないともいう。
   また、内藤教授は、「軍事力の行使によってこのテロが根絶されるという可能性はまったくない」とも述べた。7000~9000回も行われているという空爆で難民が続々と出て、テロリストがその中に紛れ込んでしまうからだという。難民が虐げられて辛酸をなめれば、最後には敵意を向ける恐れがあるとも指摘した。
 
 テロとは、民族、宗教的グループあるいは秘密工作員によって行われるもので、非戦闘員を対象として、大衆に恐怖を与える意図のもとに行われる。テロリスト殺戮が目的だから、一般人が犠牲になってもテロとは言わないのだろうか?
  ネット上では、「そう、逆から見りゃテロなんだな」「有志連合がやってきた事にも目を向けてほしい」と同意する意見が出た一方で、「では、何もしないことが正解というのかね?」といった疑問も噴出している。

多発テロを防げるか

2015-11-14 | 国際

【ロンドン時事】パリで13日に発生した銃撃や爆弾による同時多発テロは、イスラム過激派による犯行の可能性が濃厚だ。1月に起きた風刺週刊紙シャルリエブド襲撃事件に続くイスラム過激派のテロだとすれば、フランスを含む欧州でテロの危険性が一段と高まっている現実が再び露呈したことになる。これまで犯行声明などは出ていないが、自爆テロが実行され、犯人が「アラー・アクバル(神は偉大だ)」と叫んだことを証言する声がある。フランスは、米国が主導する有志連合の一員としてイラクやシリアで過激派組織「イスラム国」への空爆に参加している。シャルリエブド事件の教訓もあり、欧州でもとりわけテロ対策を強化し、警戒を強めていた。それにもかかわらず、シャルリ事件を上回る大規模テロを許したことは、今後も同様のテロの発生を否定できなくなった。フランスはもちろん、欧州各国の治安当局も大きな衝撃を受けたことは間違いない。
今年に入って欧州にはシリアなど中東からの難民が殺到中だ。欧州の「イスラム世界との近さ」を浮き彫りにしている中での事件となった。(2015/11/14-10:05)

テロの警戒の中でなぜ簡単に乱入と襲撃を許してしまったのか。これはフランスだけの問題ではない。社会に不満を持つ若者たち、孤立感を抱いた人たちが、過激な思想に共鳴する傾向は世界各国で強まっている。
そうした若者たちの一部はイスラム国など過激派組織に加わり、その数は80か国1万5千人とも言われている。ヨーロッパからも3千人を超える若者がイスラム国に加わり、フランスだけでも千人近いと言われている。さらに今、問題となっているのは、シリアやイラクで戦闘行為を経験した後、祖国に戻ってきた若者たちや、国内で過激な思想に染まった若者たちの犯行、いわゆるホームグロウンテロの脅威だ。


欧州の多くの国では、「イスラム国」に参加するためシリアに向かう人の30%が(キリスト教などから)イスラム教に改宗している。数カ月前から、(世界中の)専門家たちは、パリでこのようなテロは起こると予想していた。テロリストたちのプロフィールを見ればよくわかることだが、彼らは驚くほど多様だ。社会の隅で生活するような人もいれば、社会に完全に溶け込んでいる人もいる。表面的に同化しているように見えても個人的、心理的に違和感をぬぐえない若者もいる。家庭が崩壊していたり、学校生活でうまくいかなかった人が、過激化しやすい傾向はある。ただ、一方で大学出の優秀な人、中流家庭出身者もいる。

40年前のドイツ赤軍を思い起こすと、その構成メンバーは中流ないしは上流の家庭の若者だった。家庭などの環境に絶望していたからではなく、20歳という理想を追う年頃で、正義感も強く、過激派グループに入り込んでしまった結果だった。日本の連合赤軍やオウム真理教の若者たちも恵まれた環境に育った者たちだった。
社会への同化の過程がうまくいっていれば、確かに過激に走るのを多少抑えられるが、万能薬ではない。国の外交政策もホームグロウンテロを生み出す原因だ。イラクやアフガニスタン、シリアに兵士を派遣している国は当然、狙われる。今回も口実として使われたようだが、実際は差別や偏見、社会に巣食う閉塞感、不公平感などが若者を突き動かすのではないだろうか。
人当たりがよく、正義感が強く、けんかはほとんどしないが、する時は他人のために戦う、年下の学生がいじめられていると、彼らのために立ち上がる好青年も多いと言う。昨年、フランス南西部トゥールーズのユダヤ人学校などで7人が死亡した銃撃事件の容疑者で、警察に射殺されたアルジェリア系フランス人のモハメド・メラ(当時23)もそうした1人だった。当初は組織に属さなない「一匹狼(ローンウルフ)」とされていたが、仏警察のその後の発表で、メラがアフガニスタンとパキスタンに旅行していたこと、2010年に少年に斬首場面のビデオを見せたとの疑いで情報機関に取り調べを受けていたことが分かった。

最後に、これが一番重要だが、伝染病のように過激思想を広め、聖戦を実行しようとする「ジハーディスト」のカリスマ的人物が存在する。インターネットで過激思想を伝搬しようと思ってもうまくいくものではない。
コンピューターの前に座っているからといって、過激化はしない。モスクで出会って友達になり、数人で一緒にサッカーをしたり、一緒に説教師の話を聞いたりして、次第に過激化していく。インターネット上では、過激な説教のリンクやビデオ、サイトなどを教え合う。つまり、インターネットによってジハーディズムの世界に入り込み、心酔してしまうことはあっても、たった1人で過激化することは少ない。

しかし、いずれにせよ、過激化はイデオロギーによっている。過激化した1人を捕まえても、その後にまた2人の過激な人物が現れる。問題は、決してなくならない。

欧米の安全保障当局が長年懸念しているのは、自国の移民コミュニティーに暮らす市民が海外に出掛け、祖国でイスラム系組織の最前線に接触する可能性だ。ボストン爆破事件のツァルナエフ兄弟は、1990年代に第一次・第二次チェチェン紛争を見て育ち、その後、ロシア南部にイスラム過激派が拡大するのを目の当たりにしたのだろう。カーネギー国際平和財団のスティーブン・タンケル客員研究員は、「これまでの情報では、祖国を離れた若者であるタメルラン・ツァルナエフ容疑者は不満を抱え、周囲に馴染めず、不幸な人生を送っていたとみられる。そして、過激かつ過度に単純化したイデオロギーの中に、自分の問題への慰めや説明を求めたようだ」と分析する。さらに、「そのイデオロギーは、米国での自分の不幸や失敗を誰かの責任にする形で説明するだけでなく、祖国で苦しむ人たちと彼を結び付けた。」と分析する。

新しい世代も育ちつつあると言うのは、米国留学やロンドンで生活した経験を持つパキスタン紙「ドーン」のコラムニスト、フマ・ユサフ氏。この世代は、母国の都市化や移住による一家離散で家族、民族、種族、言語に関するアイデンティティーと切り離された上、西洋化された無宗教層にも共感できないでいるという。ユサフ氏によると、彼らは保守的で、不平等を経験し、アイデンティティーが欠落し、過激派の論理以外には政治的な表現を見い出せないという。

9.11以降の戦争によって、欧米がイスラム教徒を殺害しようと積極的に世界に出向いているという論理が本当らしく聞こえるのだろう。2011年にウサマ・ビンラディン容疑者が米部隊に殺害された後、アルカイダが勢力を持たないと考え、自分たちが退廃的で堕落した欧米に対して立ち上がる必要があると考えるのかもしれない。

多様性を重視してきたヨーロッパは、格差の拡大とともに、移民排斥の動きが活発化している。テロを封じ込める特効薬はない。結局、過激化とは、今の社会の一部なのだ。若者が過激な思想に染まらないように、差別や偏見のない社会を築き、いかに若者たちを社会に取り込んでいくか、世界全体が問われている。ある若者は、「アルカイダは滅んだ」と語り、「これはイスラム教の闘争ではなく、腐敗や帝国主義、シオニズムに対する世界の闘争だ」と訴えた。


グーグルに見るイノベ-ションの土壌

2015-11-11 | 国際
世界中で社員を増やすグーグル。
「グーグルでは、同じ業務を担当する2人の社員が会社にもたらす影響に100倍の差があれば、報酬も100倍になる場合が実際にある。たとえば、ある社員が1万ドル、同じ部門の別の社員が100万ドルのストックオプションを、それぞれ支給されたこともある。これは極端な例だが、ほぼすべての職位で、報酬の差が3~5倍になることは珍しくない」
 
日本企業に比べれば、欧米企業は皆その傾向が強いが、グーグルの報酬についての第1原則が、「報酬は不公平に」というものだ。最も優秀な人材は会社が思っている以上に優秀で、会社が支払う報酬以上の価値がある、という信念がその根底にある。過去には、実績を上げたチームへの報奨を決めるプロセスが不透明だと批判されたこともある。そのたびに選考プロセスの透明化が進んでいく。金銭的な報酬への満足度がつねに高いとは限らないため、報奨を旅行やパーティ、グーグルTVの進呈などの「経験」に変えたら、金銭より満足度が上がったこともあった。ネット上で社員が互いに褒め合う「gサンクス」の導入、1人1回175ドルまで管理職の承認や書類手続きなしで社員が社員にボーナスを支給できる制度など、社内に驚きと喜びを与える報酬での数々の仕組み作りに試行錯誤している。
 
極め付きは、リスクに萎縮する愚を避けるため、「思慮深い失敗に報いる」方針だ。撤退した事業の開発チームにも、成功報酬には遠く及ばないながら対価を与えている。リスクを選ぶことによって不利益を被るわけではないという姿勢を、会社として明確にしたかったのだ」
 
カフェテリアは基本的に1日2食(朝食と昼食か、昼食と夕食)。セルフサービスのマイクロキッチンにはつねに飲み物(炭酸飲料、ジュース、お茶、コーヒーなど)と軽食(生の果物、ドライフルーツ、クラッカー、チップス、ダークチョコレート、キャンディなど)がある。もちろん無料。オフィスの規模によって異なるが、社内にジムや診療所があり、カイロプラクティクスや理学療法、パーソナルトレーニング、エクササイズとヨガとダンスの教室を利用できるほか、ボーリング場もある。医療サービスとパーソナルトレーニングの料金は社外と同じレベルだが、施設や教室は誰でも無料で利用できる」
 
グーグルで働くことについて、周囲が最もうらやましがることのひとつが、この至れり尽くせりの福利厚生だろう。食事については、健康と寿命にかかわる要因の中ではコントロールしやすいものとの位置づけで、社員の体調管理に一役買っている。
 
会社の規模が大きくなるにつれ、創業時のようなコミュニティ意識をどう維持するかがグーグルにとっても大きな課題になってきている。
日本企業でも夏休みにあるような「子どもの職場参観」をグーグルでも以前から実施しているが、2012年からはついに「親の職場参観」を開始した。子どもの職場を見に来た親たちは皆、目に涙をためて感動しており、子どもとの距離が縮まったと喜び、感謝していたという。(「週刊東洋経済」2015年6月13日号)
 
ネットや米メディアで話題になっている、グーグルの社員がいる。高給取りのはずのグーグルの社員なのに、今年5月から社内の駐車場に止めた全長約5メートルのトラックで暮らしている。
東海岸の大学を出てグーグルに就職したものの、シリコンバレーの家賃の高さに驚き、「寝るだけの場所にこんな金を払うのなら車の中で生活してみよう」と思い立った。
 
ブログには「僕はピクセルと電子をいじっているソフトウェアエンジニアであって、木や金属をいじる人間ではない」と書いているとおり、アウトドアや日曜大工などとはまったく縁のない23歳。購入した古いトラックの落書きを必死で消し、試行錯誤で車を修理しながら会社の駐車場で暮らす日々をユーモアまじりに描いている。600万回以上閲覧され、テレビを含めて25以上のメディアが取り上げ、定期的に読者から受ける「車上生活Q&A」を掲載する人気ブログだ。
 
初めてグーグルに来たのは昨夏、その時に会社を通して借りた部屋は、1日100ドル(約1万2千円)。ルームメートと4人で暮らしてやり過ごしたが「ほとんど家に居ないのに、これだけの金を払う意味があるのか」と考えさせられたという。大学を卒業した今春、正社員として再びシリコンバレーにやってきた。この地域では一人暮らし用のスタジオ(日本で言う「ワンルームマンション」のやや大きなもの)でさえ、家賃平均は月2180ドル(約26万円)。そこで、全長約5メートルの中古のトラックを8800ドル(約105万円)で購入。外の落書きを消し、簡単なマットレスを購入し、棚を作り、運転しても家具が動いて「部屋」がぐちゃぐちゃにならないように固定した。車の中には、独立したわずかな明かりはあるが、電源はない。もちろん水道もトイレもない。それでもとりあえず問題なく暮らせるのは、彼がグーグルの社内にいるからだ。
 
無料で日替わりの食事が食べ放題の社員食堂がいくつもある。朝食から夕食まで、毎食温かい料理が振る舞われ、カフェやスナックだけを食べられるような場所もたくさんある。さらに、自転車で通勤する社員が到着して一汗流せるよう、シャワールームも完備している。ジム、ビーチバレーのコート、ジャクージ、コインランドリー、クリーニングのサービスまである。建物は24時間開いているため、生活に必要なものには社内の駐車場から問題なくアクセスできる。ブログによると、ブランドンは毎朝午前5時半ごろ起床。車から自転車を出して、まずはジムへ直行し、運動して一汗流してから、シャワーを浴びる。会社の食堂で朝食を食べ、午前8時ごろから仕事を始めて、再び社員食堂で昼食をとり、午後4時ごろまで働く。その後は同僚とおしゃべりしたりして、夕食も社内食堂で食べ、再びシャワーを浴び、午後9時ごろまでに車へ。
トイレがないため、午後7時半以降は飲み食いしないようにしているというが、特段困ったことも起きないらしい。
 
グーグルには過去にも、社内駐車場に大型のバンなどをとめて1年以上生活していた人たちがいるのだという。こんな生活すら可能にしてしまうぜいたくな会社の福利厚生。これはグーグルに限ったものではない。シリコンバレーのIT企業は無料の社員食堂やジム、シャワールームなどを備えている会社が多くある。シリコンバレーは一歩会社を出ると周囲には店も何もない場所が多い。社員は朝から晩まで広大な敷地の社内から一歩も出ず、プログラミングに没頭することになる。会社としては、食事のたびに車で社外に出てうろうろされるより、働きやすい環境を整えたほうが仕事の効率が上がるという面もあるらしい。
 
トヨタは6日、自動運転などに使う人工知能技術の開発拠点として、来年1月、米シリコンバレーに新会社を設けると発表した。2020年までに約10億ドル(約1200億円)を投じる。
最高経営責任者(CEO)に米国防総省の国防高等研究計画局でロボットコンテストなどに携わったギル・プラット氏を迎える。社員は200人程度を予定する。
 
今春に安倍晋三首相がシリコンバレーを訪れた。主な目的はイノベーション振興の視察。 優秀な人材を育成、集めようとしていたとは信じられない。お友達や取り巻きはイエスマンのバカばかり。
彼らを優遇しても、問題山積みでパンク寸前の日本に解決策が見つかるはずがない。
1年前に比べて安倍内閣支持率および自民党支持率が下がっているとはいえ、内閣支持率は47%の高水準を維持しているし、自民党支持率も37%の「ダントツ1位」だ。
自民党支持率が低下してもその分「支持政党なし」が増えるだけ。金融緩和とばらまきが頼りの日本経済。日本のグロ-バル企業はもはや日本など見限ったように見える。
日本にシリコンバレ-ができる可能性はないから、シリコンバレ-に進出するしかない。ソフトバンクの孫さん、楽天の三木谷さん、LIXIL(リクシル)の藤森さん、ソニーの平井さんもシリコンバレーの住民に近いということだ。
安倍政権がばらまき外交で支援している企業は、商社や原子力を含むエネルギ-関連企業、インフラ整備企業、そして武器製造企業・・・・政府のばらまきがなければ、存続できない日本のゾンビ企業だ。国民の税金を無制限に使い、海外の新興国を豊かにし、日本の産業を空洞化する。
 カネで何でも解決できると思っている首相が国内では増税し、新興国にひも付き援助を与えて持て囃され、有頂天になる。そんな外交が自信たっぷりに行われているのである。
 

中国の一人っ子政策

2015-11-08 | 国際
中国が30年以上にわたって続けてきた一人っ子政策をついに廃止する。専門家が人口動態に関する危機を予測していたにもかかわらず、中国政府は一人っ子政策の廃止に乗り気でなかった。この政策が罰金利権と言うカネのなる木だったからだ。政府は関連手数料という名の違反者からの罰金を年間で30億ドル以上徴収してきた。大勢の人たちが一人っ子政策を無視していたわけだ。実際のところ、一人っ子政策は今や例外と抜け穴だらけ。既に多くの夫婦には2人目の子供を持つことが認められている。例えば、少数民族や農村在住者、どちらかの親が一人っ子である場合などだ。長子が障害児だったり、一部の省では長子が女児だった場合も2人目を持つことができる。要するに、中国で2人目の子供を希望した家庭には、既に2人目がいる可能性が高いということだ。
 
一人っ子政策は、中国社会に禍根を残した。出生前の性別検査で男児を選んで出産する人が多く、中国の性別人口比は女性1人につき男性1.18人という深刻なアンバランスに陥っている。2020年には結婚適齢期の男性人口が女性を3000万人以上上回ると推定されている。たんに2人目の子どもを産んだら罰金というだけではない。出産許可書を取得しないままでの出産を罰したり、あるいは地方自治体が定めた避妊手術目標数を達成するために、村々に対象人数を割り振って強制的に手術するといった蛮行もしばしば行われた。目標達成のために未婚の女性に不妊手術を行ったとの事例まで報告されている。また罰金を払わなかったため戸籍がもらえず、多くの「黒孩子」(無戸籍者)が生まれた。黒孩子たちは、公立学校など公共サービスが受けられないまま成長することを余儀なくされた。
 
 
罰金は現在、社会扶養費と呼ばれている。罰金の基準は地域によって異なるが、平均年収の数倍という高額になる。また富裕層に対してはさらに巨額の罰金が科される。2013年には中国を代表する映画監督チャン・イーモウ氏の一人っ子政策違反が明らかとなり、748万元(約1億5000万円)の罰金が科された。
一人っ子政策違反では、罰金だけでなく、公務員や国有企業従業員ならば解雇、共産党員なら党籍剥奪の処分が科されることもある。
1980年代には、単位の規定出産数が一杯になったので、堕胎されるということもあった。単位とは「所属先」を指す言葉。政府機関、国有企業、学校などはいずれも単位である。かつては単位ごとに出産できる上限が定められたため、1人目の出産でも許可されないケースもあった。
2013年、陝西省で医師による新生児の人身売買事件が発覚した。問題の医師は、出産直前に赤ちゃんに障害があることが分かったと両親に告げ、死産として処理するようすすめていたが、実際には人身売買組織を通じて、子どもを欲しがる人に販売していたという。
 
一人っ子政策が「二人っ子政策」にスライドしても、政府は相変わらず、国民の家族計画に介入し続ける。出産に関する個人の決定を厳しく締め付ける姿勢は、今後も変わらないだろう。
 
こんな野蛮人と戦って、日本人の血を流すことだけは避けたいものだ。

国連海洋法条約に加盟していないアメリカ

2015-11-07 | 国際
4日、「ASEAN10カ国+域外8カ国」の国防拡大会議があったが、合意に至らず共同声明は出されなかった。その背景には米中パワーの代理紛争を嫌うASEAN諸国と、米中の思惑がある。
 
3日からマレーシアの首都クアラルンプールで、ASEAN(10か国)4日からはASEAN域外8か国(日本、アメリカ、中国、ロシア、オーストラリア、インド、韓国、ニュージーランド)が加わったASEAN国防拡大会議が開催された。関心は、中国の覇権と、アメリカが南沙諸島で中国が造成する人工島の周辺12海里以内の海域に駆逐艦を派遣し航行の自由を主張したことに対して中国が反発するという対立に集まっている。
 
しかしASEAN諸国にとっては、実は非常に迷惑なことなのだ。議長国のマレーシアのヒシャムディン国防相は、「南シナ海における意図しない衝突を避けるための法的拘束力を持った連絡メカニズムの策定を急ぐことは重要であっても、あくまでも問題の平和的解決を求める声」が相次いだと述べている。また「ASEAN以外の国が、これ以上加わって、緊張を高めないでほしい」という苦渋もにじませている。
 
フィリピンはたしかにアメリカ軍の駐在を一定条件で認める方向で動いてはいるが、他のASEAN諸国は中国との利害関係が深い。「利害」というより、中国との友好的な経済関係なしに今後発展していくことには困難があることを知っている。その結果、アメリカが望むような「中国を制裁する」形での共同声明を出すことはできなかった。
 
アメリカ、日本、フィリピン以外は、中国を制裁するような「南シナ海」とか「航行の自由」といった文言を盛り込んだ共同声明を出すことをいやがった。共同声明案は、3日のASEAN国防相会議ですでにその方向で出来上がっていたのだ。フィリピンを除くASEAN諸国は、この根本姿勢を崩そうとはしなかった。結果、アメリカ、日本、フィリピンの反対により、「中国に有利で、アメリカに不利な」共同声明発布は見送られたということだ。
 
アメリカは、大統領選で民主党が不利になりそうなのを防ぐために動いている。自らのプレゼンスを主張するため、という「お国の事情」がある。もし本気で中国を制裁したいのなら、国連の場で戦えばいい。
国連には「国連海洋法会議」があり、また準拠する法律として、「国連海洋法条約」がある。そこには「人工島」に関しても明記してある。中国もこの条約に加盟しているので、平和裏にというか、「武力による威嚇」ではなく、「論理武装による討議」で多数決議決をして中国を屈服させればいいのである。特にオバマ大統領はノーベル平和賞を受賞しているのだから、「中国が国連海洋法に違反している」というのなら、なおさらのこと、そうすればいいのではないかと、誰しも思うだろう。ではなぜ、アメリカは、そういう手段に出ないのか?それは、何を隠そう、アメリカこそが、この国連海洋法条約に加盟していないからである!
 
なぜ加盟していないかというと(というよりも、なぜ最初は主導的立場にありながら脱退したかというと)、アメリカ企業にとって不利だからだ。海洋法を守ると、アメリカ企業による深海開発に不利だということから脱退し、今日に至っている。そのアメリカが「国際法」をかざして武力的な威嚇をすること自体、本末転倒ではないだろうか?
日本政府は、「法の順守」と言いながら、法から逸脱して動いているアメリカに全面的に賛同している。
 
それに対して、中国は1996年に加盟している。日本も同年、批准した(加盟した)。
 
中国が、南シナ海における行動を合法的とする法的基盤となっているのは、中国の領海法だ。この領海法は、日本が1895年に閣議決定して日本の領土であることが明確になっている尖閣諸島を中国名「釣魚島」として、中国の領土としてしまった。明らかなルール違反である。日本は瞬時に国際司法裁判所に提訴しなければならなかったが、何もしなかった。しかし、いま現在、手がないわけではない。日本も中国も国連海洋法条約を批准しているので(加盟しているので)、国連海洋法会議で、違法性や不適切性などに関して指摘し、是正を求めるという方法が、まだ残っている。
しかし、アメリカは海洋法に関しては、自らが加盟していていないために、国連で討議しようとはしない。こういった全体的な状況をASEAN諸国が理解しているのかどうかは定かでないが、中国は心得ている。
そしてこの中国もまた、自国の領海法に違法性があるのを知っているので、ひたすらASEAN諸国を懐柔する手法に出ている。
とてもとても、ASEAN国防相会議で、中国を制裁しようなどというムードではないのである。
 
中国のしたたかな外交の真相を深く知らないと、ミスリーディングをしてしまう危険性を孕んでいる。アメリカが、大統領選のために仕掛けた「威嚇」は、ASEANでは、否定された格好だ。
アメリカともあろう大国が、習近平国家主席が翌日にベトナムを国事訪問するという「ビッグ・イベント」を控えている11月4日に、ASEAN国防拡大会議などを開いて、中国制裁の共同声明を出すことができると読んだのだろうか?中国のしたたかさは、そのようなものではない。今回は、アメリカの誤算としか言いようがない。(ニュ-ズウィ-ク 遠藤 誉)
 
 
日本の無知な政治家は、ASEAN諸国の事情など何も知るまい。金をばらまけば言うとおりになると考えている。しかし、金のばらまきも今では中国にかなわない。
そして、アメリカ自体が国連海洋法条約に加盟していないとは驚きである。中国は加盟しているのに・・・・
 
現在160カ国以上が海洋法に加盟している。このところ、オバマ政権の高官による同条約の批准を求める発言が相次いでいる。国連海洋法条約が発効した94年以降、歴代すべてのアメリカ大統領が批准を支持してきた。しかし、一部の共和党保守派の反対により、批准は否決されてきた。しかし、中国がしかけている法律論戦に対処するためには、当のアメリカが批准しないことには海洋法を根拠に批判もできない。
中国は国際法の解釈を恣意的に変更することによって、中国近海におけるアメリカ軍の活動を制限しようとしてきた。たとえば、一般的な海洋法の解釈とは異なり、中国は自らのEEZ及びその上空において外国の軍事活動を認めていない。このため、中国はアメリカの艦船や偵察機が黄海や南シナ海で行っている軍事情報の収集活動を妨害してきた。01年3月には、海南島近くの南シナ海上空で中国の戦闘機がアメリカの偵察機に衝突する事案があった。この衝突で中国側のパイロットは行方不明となり、アメリカの偵察機は海南島への不時着を余儀なくされた。不時着した兵士の返還をアメリカ政府が要求すると、中国政府はEEZの上空でアメリカが情報収集活動を行ったことを非難し、謝罪を求めた。アメリカは他国のEEZ及びその上空であっても、外国軍が情報収集をすることは自由であるというのが一般的な国連海洋法条約の解釈であると反論したが、中国はアメリカが批准もしていない条約に基づいて自らの立場を正当化していると批判した。
 
中国は、自らのEEZ(排他的経済水域)を広げる一方で他国のEEZを否定し、EEZにおける外国軍の活動を禁止してきた。このため、中国はEEZの基点となる尖閣諸島や西沙・南沙諸島の領有権を主張し、EEZの拡大を目指している。一方、中国が日本最南端の沖ノ鳥島を島ではなく岩だと主張しているのは、島であればそれを基点にEEZを宣言できるが、岩であればEEZが認められないからである。アメリカでは中国が法律による戦争を仕掛けてきているという認識が広がり、オバマ政権がアジア重視姿勢を貫くためには、この法律戦に対抗しなければならないと考えられるようになった。そのためには、アメリカが国連海洋法条約に加盟し、その本来の解釈を守らなければならないのである。
 
しかし、沿岸国に有利な海洋法の解釈、とりわけEEZにおける外国軍の活動が規制されるべきだという立場は中国だけのものではなく、インド、マレーシア、ミャンマーなどアジアの多くの国によって共有されている。
 
そもそも、国連海洋法条約の制定を主導したのはアメリカとソ連だった。米ソ冷戦の最中であったにもかかわらず、両国は統一した海のルールを確立して航行の自由を守るために国連海洋法条約の制定に向けて共同歩調を取った。米ソが重視したのは、3~200海里までばらばらだった領海幅の統一と国際海峡の自由通航、そして沿岸国の漁業権であった。米ソは沿岸国が12海里(約22キロ)までの領海と、200海里(約370キロ)までのEEZを宣言できることを認める一方で、EEZや国際海峡の自由通航権を確保した。米ソは、沿岸国の経済的な管轄権に配慮しつつも、狭い領海と広い公海という海洋の自由の構図を維持し、新海洋秩序を成立させたのである。アメリカは国連海洋法条約に加盟はしていないが、実際には、それを慣習国際法として受け入れ、これに基づく国内法を整えている。アメリカが問題としたのは、条約の深海底の開発に関する規定が自由競争を阻害し、途上国に有利過ぎる点である。批准に反対する上院議員も、主にこの深海底に関する規定を反対の論拠としてきた。しかし、94年にこの深海底に関する規定は先進国、とりわけアメリカにとって有利なものに事実上改正されている。日本やその他の先進国が国連海洋法条約を批准したのも、この改正がなされたからである。
 
では、なぜ一部のアメリカの保守派は海洋法条約を敗北と呼び、依然として加盟に反対するのだろうか。アメリカには、アメリカの思い通りにならないような枠組みには入る必要がないと考える人たちがいるということである。しかし、中国の法律戦はアメリカが主導して作り上げた海洋自由の原則を脅かしている。アメリカが海洋法条約の外側にいる間に、中国にとって有利な新しい海洋秩序を作り上げようとしているのである。
 
日本のある研究機関は、05年に各国の専門家を招いて他国のEEZにおける軍事活動を大きく制限するガイドラインを作成した。その柱は、軍事活動を「平和目的」に限定するということである。沿岸国の安全を脅かし得る情報収集も認めていない。しかし、アメリカが平時から中国のEEZで軍事情報を収集しておかなければ、有事に日米同盟は機能しない。日本の国益を考えれば、EEZにおける外国軍の活動は規制すべきではない。もちろん、日本のEEZで中国軍が自由に活動することは気持ちのいいものではない。しかし、規制を認めてしまうとアメリカも日本も中国のEEZで軍事活動ができなくなってしまう。日本政府は早急にその立場を明確にする必要がある。そして、東南アジア諸国の人々はフィリピンを除いて、中国のやりたい放題を黙認するしかないのである。日本がしゃしゃり出ていって、いたずらに緊張関係を作るべきではない。中国もアメリカの艦船には手が出せなくても日本ならどんな対応をしてくるか予測できない。

トニー・ブレア元英首相は戦争犯罪人

2015-10-29 | 国際
トニー・ブレア元英首相を戦争犯罪人として裁くべきだとする人が増えている。そうした中、10月25日にブレアはCNNの番組で「自分たちが知らされた情報が間違っていた事実」を謝罪した。
 
CNN: サダムは大量破壊兵器を持っていなかったのだから、戦争は誤りだったといえるか。
ブレア: インテリジェンスに誤りがあったという事実について謝罪する。また計画の一部にも誤りがあり、サダム政権を倒した後に何が起こり得るかを我々が十分理解できていなかったことについても謝罪する。
CNN: ISの台頭については、多くの人がその第一要因はイラク侵攻だと思っている。このことについてはどう思われるか。
ブレア: 幾分か事実であると思っている。2003年にサダムを失脚させた我々に、2015年の現状について全く責任がないとは言えないだろう。
CNN: あなたは同世代で最も成功した政治家だと評される一方で、戦争犯罪人とも呼ばれるようになった。どう感じられたのか?
ブレア: あなた方のいう私の「犯罪」について考えるとき、それはサダムを倒したことを意味するが、シリアで何万人もの人びとが死に行く様を見ていて……我々西側諸国は、これを傍観した。このことについては西側諸国に責任があり、責任の大部分は欧州にある。我々は何もしなかった。歴史の審判を受ける覚悟はある。いつも言っていることなのだが、イラク戦争の後も選挙には勝ったが、(私にとっては)常に大きな政治的な問題であったことは認めざるを得ない。諜報データが不正確だったことをお詫びしたい。また、作戦立案におけるいくつかの過ちについてもお詫びしたい。政権転覆後、何が起こるかについて、理解を誤った。ただし、サダムを追い落としたことそのものについては、お詫びするのは難しい。2015年の現代から見ても、彼がいるよりはいない方がいい。
 
ジョージ・W・ブッシュ政権の国務大臣だったパウエルは2002年3月28日、ブレア首相はアメリカの軍事行動に加わるとメモに書いている。この頃、アメリカではネオコン/シオニストなど好戦派はイラクを先制攻撃、サダム・フセイン体制を破壊しようと目論んでいたが、統合参謀本部では大義がないうえ、無謀だとして反対意見が多かった。イギリスでも開戦が認められるような雰囲気ではなかった。そこで、アメリカやイギリスの政府はイラク攻撃を正当化するために「大量破壊兵器」を宣伝する。ブレア政権が「イラク大量破壊兵器、イギリス政府の評価」というタイトルの報告書を作成したのはパウエルのメモが書かれた半年後、2002年9月だった。その報告書、いわゆる「9月文書」はイラクが45分で大量破壊兵器を使用できると主張している。しかも文書の内容がリークされ、サン紙は「破滅から45分のイギリス人」というセンセーショナルなタイトルの記事を掲載した。この報告書をパウエル国務長官は絶賛したが、大学院生の論文を無断引用した代物で、内容もイラクの脅威を正当化するために改竄されていたことが後にわかる。
 
つまり、ブレアは2002年3月以前にイラクを先制攻撃することを決断、それを実現するため、9月には嘘を承知で大量破壊兵器の話を広めて開戦へ結びつけたのであり、情報機関から「正しい情報」を知らされたにもかかわらず、「間違った情報」を発信したのだ。その結果、2003年3月20日にアメリカ軍はイギリス軍などを引き連れてイラクを先制攻撃、フセイン体制を倒し、12年以上を経た今でも戦闘は続いている。その間、フセインは処刑された。
 
一連の極秘事項は、ヒラリ-のメ-ル問題で明らかになった。約3万件の公務メールを公開するよう求められたからだ。
問題のパウエル氏がブッシュ氏に送ったメモは、2022年4月1日まで極秘扱いにされるはずだった。
 
(ブッシュ)大統領へのメモ:差出人:コリン・L・パウエル
トニー・ブレア氏はクロフォードでの会談を心待ちにしています。ブレア氏は会談で、次のテーマを話し合いたいと言ってきています。アフガニスタン、イラク、中東全般、ロシアとNATO(北大西洋条約機構)、貿易と開発。イラク問題では、米国がイラクへの軍事介入を必要と判断した時にはブレア氏はついていくとの意志です。米国の先導に従います。(中略)ただ現段階で、英労働党と世論はイラク軍事介入には納得していません。ですからイラクが国際的平和にとって脅威であることを広く信用させる必要があります。
 英国は重要な国際問題では米国の決断に従います。ただ英国民は米英両国が特別な関係を築いており、同等なパートナーでいる姿を見たいのです。
 
この会談で米英両国のイラク侵攻の必要性が話し合われ、ブレア氏が英語で言う「スピン・ドクター(広報担当アドバイザー)」としてイラクの脅威を国内外で説いていくことになった。
そこでブレア氏が求めたのが、「ブレアはブッシュのポチではない」ということだった。実際は米国がリードして英国が追随していくことを認めておきながら、対外的には対等を求めている。
 
 ブレア氏にしてみると、13年前にブッシュ前大統領と交わした秘密の約束が今になって公開されるとは思ってもいなかっただろう。
 対等であるとみなされていた国家の関係は非常に従属的なものであった。なぜ、こんな卑屈な役割をブレアが進んで引き受けたのか、真意はわからない。
 
 2006年10月に出されたイギリスの医学雑誌「ランセット」によると、2003年3月から06年7月までの間に65万4965名以上のイラク人が死亡、そのうち60万1027名は戦闘が原因だとしている。またイギリスのORB(オピニオン・リサーチ・ビジネス)は2007年夏までに約100万人が殺されたという調査結果を公表した。
 
 
少しでも思考力があれば、大量破壊兵器の話に疑問を感じただろうが、日本の政治家やマスコミは戦争熱を煽るだけだった。そして、日本もイラクに自衛隊を派遣した。
これに対して、名古屋高裁は「多国籍軍の武装兵員を戦闘地域であるバグダッドに空輸する活動は、他国による武力行使と一体化した行動で、武力行使を行ったとの評価を受けざるを得ない」とし、その実態は平和復興支援とは名ばかりの軍事活動だったとして違憲判決を出し、確定している。しかし、小泉元首相は派兵の誤りを認めないし、謝罪もしない。
それどころか、安倍首相は先の国会の安保法案審議の中で「まず、そもそもなぜ米国、多国籍軍がイラクを攻撃したかといえば、大量破壊兵器、当時のサダム・フセイン、独裁政権が、かつては間違いなく化学兵器を持ち、そしてそれをイラン・イラク戦争で使用し、多くの人々を殺し、自国民であるクルド族に対してもこれを使用したという実績があったわけでありまして、そして、それを既に、大量破壊兵器はないということを証明する機会を与えたにもかかわらず、それを実施しなかったというわけであります。」と、フセインが悪いとばかりに、イラク派兵を正当化している。
 
大量破壊兵器がないことをどうやって証明できるだろう。そして今では、戦争を起こした当のイギリスの首相でもイラク戦争の誤りを認めているのに、日本の総理大臣たちは頑として過ちを認めない。こんな連中に「間違った戦争」の責任など取れるわけもない。
 
イラクの「独裁者」を排除したら、さらに残虐な「イスラム国」が台頭して、周辺諸国が戦争状態になり、シリアなどから何百万人もの難民が出る。戦争は、何も解決せず、混乱と苦しみを生むだけなのに、武器を消費させて武器輸出で儲ける大国は戦争がしたくてたまらないようだ。中東で起こっていることは、大国同士の泥沼の利権争いだ。ロシアが参入して勢力図は大きく変わるだろう。
 
「そうは見えないかもしれないが、ロシアのシリア介入は米国にとって僥倖だ」という説がある。1979年のアフガニスタン介入が1989年にソ連邦崩壊の原因になった先例を想起し、ロシア失墜の始まりだと見る。
オバマが「アサド政権とは戦わない、イスラム国とだけ戦う反体制派を養成する」などと言う非現実的な政策が効果なく終わったのに対して、プーチンはアサド政権を明確に支持して空爆を行い、世界のスンニ派に敵視される役割を買って出た。アメリカ人にとっては、肩の荷を降ろしたような気分なのかもしれない。
 
米国にとっては、ロシアのシリア介入のデメリットは、「米国が弱くなったように見える」ことだけであって、実際にはロシアが米国以上にシリア情勢に変化を及ぼせるわけではないという。シリア介入でロシアが多少とも「イスラム国」に対峙するならそれでいい、それでロシアが自滅すればそれはその時だ、という黙認による消極的な協力が基調となりそうだ。
 
 
ロシアはシリア軍に兵器を供給し、教育訓練を施してきた。最近の未確認情報ではロシア軍人が戦闘に参加しているとも言われてきた。それが急激な軍事支援増強に続いて、初めて公然と直接軍事介入に踏み切った。実際の目標は「イスラム国」に限定されることなく、アサド政権の掌握地域のうち、脆弱な部分を支える幅広いものとなる。「イスラム国」ではなく、「イスラム国」と競合・対立している反政府勢力も空爆の対象としているので、「イスラム国」にとってむしろ好都合となり、反体制勢力も「イスラム国」に結集しかねない。いっそう紛争を長引かせ、ロシアが巻き込まれていく可能性がある。ロシアが失敗するのは間違いないだろうし、アメリカも打つ手がない。イスラエル建国以来、中東は燃えさかる火薬庫であり、国民がいない国土で殺戮は続く・・・・

南京虐殺

2015-10-26 | 国際
菅官房長官が国連教育科学文化機関(ユネスコ)に拠出する分担金や任意の拠出金について、停止もしくは削減を検討すると表明したことが波紋を呼んでいる。
 
南京大虐殺に関する資料が記憶遺産に登録されたことへの対抗措置として当然という声が聞かれるが、拠出をやめるということは、金の力で歴史を捻じ曲げようとしているとも受け取られるし、何よりも43億円の少額では中国が肩代わりするだろう。
 
日本政府は、国際機関に5000億円以上の金額を投じている。国際機関への拠出は大きく分けて「分担金」と「拠出金」の2種類がある。分担金は、国際機関の設立憲章や総会決議などにより加盟国に義務的に割り当てられたものであり、拠出金は、加盟国等が国際機関と協議し、自発的に提供する資金のことを指している。2013年度の分担金は約1400億円、拠出金は約3800億円であった。
これらの中で金額が多いのは、世界銀行やIMF(国際通貨基金)といった国際金融機関で、拠出金のうち約6割が金融機関向けで占められている。同様に金額が大きいのがユネスコを含む国連の各機関で、分担金のうち約25%、拠出金のうち約70%が国連および関連機関向けである。ユネスコは職員数が約2000名とそれほど大きな組織ではない。ユネスコの主要国における分担比率(分担金のみ)は、米国が22%、日本が11%、ドイツ7%、フランス6%、英国5%となっており、日本は米国に次いで2番目に多くの資金を拠出している。しかも米国は、パレスチナがユネスコに加盟したことをきっかけに分担金支払を停止している(米国の法律では、国際的に独立が承認されていない団体が正式加盟する国連機関への分担金拠出は禁止されている)。よって、ユネスコの活動資金のほとんどは実質的に日本が担っていることになる。
 
国連のような官僚組織にとって重要なことは予算と権限の拡大であり、そこで働く公務員にとってはポスト(立身出世)がすべてである。2007年、消えた年金が大きな社会問題となり、当時、年金を管理していた社会保険庁は世間から激しい批判を受けたが、膨大な予算獲得の材料になった。国民に頭を下げながら、消えた年金への対応策を講じるという名目で、大型予算を獲得していった。
今回、問題となった記憶遺産とは、危機に瀕した文書や書物といった歴史的記録物を保全し、広く公開することを目的としたユネスコの事業である。南京大虐殺の記憶遺産登録に際して大きな役割を果たしたのは、ユネスコのボコバ事務局長だと言われている。ボコバ氏は、ブルガリア出身でモスクワ国際関係大学を卒業し、ブルガリア外務省を経てフランス大使となった典型的な官僚である。報道では、次期、国連事務総長のポストの有力候補の1人であり、本人もその野心を持っていると言われる。南京虐殺を記録遺産に指定したい中国の意向を汲み取り、今後のポスト獲得に向けて戦略的に動いている可能性は高い。こうした人物に対して、理念や正義などを説いてもあまり意味はない。ボコダ氏にそれほど影響力はないという話もある。いずれにしても、国連が公平で正義を行使する機関だという思い込みが日本人にはある。自分たちの利権を守る官僚集団と思えば、今回のことは特に目くじらを立てて抗議することでもあるまい。南京虐殺は歴史的史実であり、争点は虐殺された数である。
 
日本軍が南京市に迫った当時、南京には国際的に住人を戦闘行為から保護する目的の安全区が設置されていた。安全区委員会委員長ジョン・ラーベは、南京戦が始まった12月10日付日記に南京市の人口を「20万」と記している。また「大虐殺」後の2月上旬に安全区が解散された後、多数の中国人を動員して人口調査を行い、3月下旬の南京の人口を「25万ないし27万」と推定している。同じく3月28日に発足した南京維新政府南京市政公署が登録した住民の数は「27万7千人」であった。これらの人口推移を「真実」の数値とするためには、虐殺後に、極めて短期間に30~40万人規模の日本軍占領下の南京市への緊急移住が成されなければ数字が合わない。
 
大量殺害の主要な根拠は、南京裁判、東京裁判の判決であり、中国の主張する「30万人大虐殺」である。
 裁判にかかわり、「30万人大虐殺」を主張したのは中華民国 ( 蒋介石の率いる国民党政府)だった。南京攻略戦は日本軍と蒋介石軍との戦いであり、終戦当時、中国を支配していたのは中華民国であった。「30万人大虐殺」は、中華民国の主張を共産中国が引き継ぎ、さらに一層誇張した形で日本非難となって今日に至っている。
 
 南京法廷では、“南京虐殺の実行者 ”に対する審判が主要な柱とされ、「百人斬り競争」の向井、野田両少尉が裁かれたのもこの法廷だった。大虐殺の実行者とされた谷 寿夫中将 (第6師団師団長 )に対する判決文のなかに、虐殺数の内訳が出てくる。谷中将率いる第6師団は、第16師団(師団長・中島 今朝吾中将)、第18師団(同・牛島 貞雄中将)、第114師団(同・末松 茂治中将)などの部隊とともに、大規模な虐殺、放火、強姦、掠奪を行ったとされる。殺害数については、以下のとおり「集 団 屠 殺」 および「個別分散」 の2つに大別し、前者の19万人、後者の15万余人と合わせ、「30万人以上 」 にのぼったとされた。
 
   
 東京裁判では1937年12月初め、日本軍が南京に近づくと100万市民の半数以上が市から避難、中国軍は市防衛のために5万人を残して撤退 した。そして、残った兵もその後、撤退するか、「武器と軍服を棄てて国際安全地帯に避難したので」、12月13日の朝、日本軍が入城したときには「抵抗は一切なくなっていた。日本兵はさまざまな残虐行為を犯した」 として起訴している。
判決では、
(1) 虐殺数
 ①  非戦闘員1万2千人殺害
 兵隊は個々にまたは2、3人の小さい集団で、全市内を歩きまわり、殺人・強姦・掠奪・放火をおこなった。そこには何の規律もなかった。多くの兵は酔っていた。それらしい挑発も口実もないのに、中国人の男女子供を無差別に殺しながら、兵は街を歩きまわり、ついには所によって大通りに被害者の死体が散乱したほどであった。中国人は兎のように狩りたてられ、動くところを見られたものはだれでも射撃された。これらの無差別の殺人によって日本側が市を占領した最初の2、3日の間に、少なくとも1万2千人の非戦闘員 である中国人男女子供が死亡した。
 ②  民間男子2万人殺害
 「中国兵が軍服を脱ぎ捨てて住民の中に混じり込んでいる」ことを口実に、兵役年齢にあった中国人男子2万人を殺害した。
 ③  捕虜殺害3万人以上
 〈 中国兵の大きな幾団かが城外で武器を捨てて降伏した。72時間のうちに揚子江の沿岸で機関銃掃射によって、集団的に殺害された。 〉
 ④  避難中の一般人 約5万7千人殺害
 南京の住民は日本兵から逃れるために田舎に避難した。〈 南京から避難していた一般人のうちで、5万7千人以上 が追いつかれて収容された。収容中に彼らは飢餓と拷問にあって多数の者が死亡した。生き残った者のうちの多くは機関銃と銃剣で殺された。 〉
 
 以上、①から④を足し合わせると、11万9千人以上、つまり約12万人を殺害したことになる。
 
 ⑤  判決の総括 ・・・ 20万人以上殺害
 〈 後日の見積りによれば、日本軍が占領してから最初の6週間に南京とその周辺で殺害された一般人と捕虜の総数は、20万以上であったことが示されている。これらの見積りが誇張でないことは、埋葬隊とその他の団体が埋葬した死骸が15万5千に及んだ事実によって証明されている。 ・・・これらの数字は日本軍によって死体を焼き棄てられたり、揚子江に投げこまれたり、またはその他の方法で処分されたりした人々を計算に入れていないのである。 〉
 
(2)  強 姦 2 万 件
 〈 幼い少女と老女さえも、全市で多数に強姦された。そしてこれらの強姦に関連して、変態的と嗜虐的な行為の事例が多数あった。多数の婦女は、強姦されたのちに殺され、その死体は切断された。占領後の1ヵ月の間に、約2万の強姦事件 が市内に発生した。 〉
 
 
 判決の結論「20万人以上」に書かれているように、数の明示がない「死体を焼き棄てられたり、揚子江に投げこまれたり、またはその他の方法で処分されたりした人々」を加えれば、「30万人大虐殺」は決して大げさなものでもなく、30万人にかなり接近した大虐殺が実際に起こったと読みとれる判決になっている。東京裁判の検察側最終論告には、「6週間に南京市内とその周りで殺害された概数は26万ないし30万で、全部が裁判なしで残虐に殺害された」 とあり、一方、松井 石根大将に対する判決は、「この6、7週間の期間において、・・・10万以上 」 が殺害されたとある。南京攻略戦で旧日本軍を率いた元司令官の大将、松井石根(いわね)にとって「南京大虐殺」は寝耳に水だった。戦後、東京裁判で松井はこう証言している。 「(大虐殺は)公的な報告を受けたことがなく、終戦後米軍の放送で初めて知った」 戦勝国による追及が始まる中で現れた「南京大虐殺説」。その責任者として松井は昭和23年11月12日、戦犯として死刑判決を受け、12月23日に絞首刑に処せられた。70歳だった。「南京で2万の強姦(ごうかん)、20万人以上の殺害があった」と断定した東京裁判だが、松井に対する判決では「南京陥落から6、7週間に何千という婦人が強姦され、10万人以上が殺害」とそれぞれ数を引き下げた。
 
両裁判の判決にあたっては、当然ながら根拠が示された。ベイツ・金陵大学教授 (宣教師、アメリカ人)、スマイス・金陵大学教授 (アメリカ人)らが証言するなど、証人や多くの証拠が両裁判で共通だった。とくに東京裁判の判決に欧米人の果たした役割は大きい。自ら出廷し証言したのは、上のベイツ、スマイスに加えて、マギー牧師 (アメリカ人)、ウイルソン( 金陵大学付属鼓楼医院勤務、アメリカ人)ら、「安全区国際委員会」「国際赤十字委員会」の委員たちだった。また、口述書を提出したフィッチ (南京YMCA副委員長)、ダーディン (NYタイムズ記者)らがいる。
 
数の根拠はあやふやで推測でしかなく、到底真実とは思えないが、30万が1万になったとしても、虐殺があった事実は消えない。人の命は地球よりも重い。非常に主観的な言葉だが、殺される本人、家族にとっては真実の言葉である。膨大な違いではあるが、数で争うのは、人間の尊厳を踏みにじるような思いであり、潔しとしない。
 
「原爆死没者名簿」の掲載数は広島は242437人、長崎は137339人。原爆は虐殺とはされず、誰も裁かれてはいない。

南沙諸島で一触即発の危機

2015-10-26 | 国際
米国家安全保障会議(NSC)のクリテンブリンク・アジア上級部長は20日、中国が南シナ海で造成した人工島周辺に米艦艇を派遣する方針について日本側に説明した。河井克行首相補佐官がワシントンで会談後、記者団に明らかにした。
河井氏によると、会談で米艦派遣について「率直に意見交換した」という。米側から日本の協力に期待が示されたかについては、「先方との関係があるため、答えは控えたい」と述べ、具体的な言及を避けた。会談では、南シナ海における中国の一方的な現状変更の試みに懸念を共有し、領有権問題を平和的に解決する重要性で一致した。(共同)
 
 
アジア太平洋地域の中国の強大な軍事力に対して、安保法制によって自衛隊の担う役割が増え、後方支援は元より、中国側からの軍事衝突が起きれば、日本のイージス艦の出動が焦点になる。自国が攻撃を受けているわけではないが、尖閣をめぐる領海侵犯は毎度のように起きている。「積極的平和主義」を掲げる安倍政権が何もしないわけにはいかない。
 
中国は現在、南シナ海のほぼ全域を囲む9つの線からなる「九段線」(赤い舌)を引き、国際法を無視して南シナ海の大部分を「自国の領海だ」と主張。周辺国を力で恫喝し、複数の岩礁を埋め立てて軍事基地化を進めている。米国や周辺国の抗議に対し、習氏は「中国が行っている活動は、領土主権を守るための正当なものだ」と強弁した(ロイター通信のインタビュー)。
 
軍事ジャーナリストの井上和彦氏は「オバマ氏はようやく“中国の本質”に気づいた。今回こそは艦艇派遣に踏み切るだろう。早ければ今週末かもしれない」とし、「空母機動部隊の派遣もあり得る」と分析した。空母派遣となれば、米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)に配備されている、艦載機90機、兵員3200人、航空要員2480人という、世界最大級の原子力空母「ロナルド・レーガン」が、現地に向かうこともありそうだ。
 
一方、イギリスで大歓待を受けているはずの習氏の評判は最悪だ。20日の議会演説については、英紙フィナンシャル・タイムズが「議会制が誕生した揺りかごでみせた習氏のぶざまな瞬間」と紹介した。習氏は演説で「英国は最も古い議会制国家だが、中国は2000年も前から法治の重要性を語ってきた」と述べ、民主主義に関係した中国批判は受け付けないとの姿勢を暗に示した。
第二次大戦ではともに「日本の侵略」に抗して戦ったと指摘し、次いで開かれた公式晩餐(ばんさん)会のあいさつでも、大戦中の「日本の残虐性」を改めて強調し、中国の抗日史観を繰り返し披露した。
同紙はこれに対し、「法の支配」の理念を生み、近代民主憲法の礎石となったマグナカルタ(大憲章)制定800年を迎え、中国で巡回展示を行う予定が急きょ、当局に中止させられたことを紹介。「中国に法治と民主主義を強調する資格があるのか」「自分たちに有利な歴史だけ言及した」などと批判する議員たちの声を報じた。中国の人権問題に批判的とされるチャールズ皇太子は、公式晩餐会を欠席した。
 
バーコウ下院議長も習氏の演説前に、ミャンマーの民主活動家、アウン・サン・スー・チー氏を「人権のチャンピオン」と呼び、インドを世界最大の民主国家と称賛。中国に「強国としてだけでなく、道徳的霊感を与える国になることを願う」と述べ、「強さをひけらかす中国」(英紙ガーディアン)をけん制した。
 
 
英国のメディアはやはり健全だった。国賓扱いの習氏やキャメロン首相への質問が辛辣だったことに正直驚いた。
 
「首相、もし貴方が昨日失業した鉄鋼メーカーの労働者だったとして、そしてまた、習近平主席が金の馬車に乗ってホワイトホールを通る様子を見たとしたら、どんな気持ちになるだろうか。中国とのビジネス関係を深めるためなら犠牲にしていいものがあるのか?」
 
「習近平主席、何故英国の人々は民主的でなく、透明でもなく、人権に対し問題のある国とのビジネス関係を深めることを喜ばないといけないと思うか?」
 
<キャメロン首相>
「鉄鋼の問題について答えさせて欲しい。というのも、我々は本日、鉄鋼産業の重要性について議論したからであり、また、私は英国の鉄鋼業が強くなければいけないと思うからであり、さらに、世界的な鉄鋼の供給過剰について議論したからである。中国は供給を削減する計画を有している。しかし、私は、鉄鋼の問題、或いは人権問題に関して中国と話し合いをするのであれば、英国の投資や経済成長にとって好ましい中国との関係強化を放棄するしかない、或いはその逆、つまり、二つの要求の一つしか満たされないという貴方の考えは全く受け入れることができない」
「この立場に就いて5年経過した私の主張は、どちらの要望も満たすことができるというものだ。事実、そうでなければいけない。我々の経済的取引が盛んになればなるほど両者の関係は強化され、他の問題に対しても率直な議論ができ易くなる。生産的な結果を生み出す相互理解を深めるのはそうした率直な議論であり両国の関係である」
「英国の鉄鋼産業の労働者に対して言おうとすることは、我々は英国内で措置を講ずるということである。エネルギーコストに関して措置を講ずる。英国のプロジェクトに対しては英国産の鉄鋼を使用させるようにする。税制面での措置も講じる。EUでもできることはする」
「しかし、我々が本日話をした投資とは、英国内に原子力発電所を建設することに関するものであり、そのプロジェクトで英国産の鉄鋼を使うことになる。我々は、今まさにロンドンの通りの下にクロスレールを建設している。ヨーロッパで最大のプロジェクトであり、殆ど英国製の鉄鋼を使用している」
 
<習近平国家主席>
「この記者は私には質問しなかったが、キャメロン首相に質問した鉄鋼の問題に関して少し話をしたい。世界は鉄鋼の供給過剰に直面している。何も英国だけではない。これは、国際金融危機の影響でもあり、需要が減少したためでもある。そして中国の鉄鋼産業も供給過剰に直面しており、なんとかしてその過剰能力を吸収する必要がある」
「中国は、過剰設備の処理のために様々な措置を講じている。7億トン以上も生産設備を減らしてきた。そうした労働者が職探しをしていることが容易に想像できるであろう。そして、英国は重要なパートナーであるのだ。この分野における競争にばかり焦点を当てるべきではない」
「2014年末までに、中国の英国における投資は128億ドルとなった。英国内で6000件の職を創造している。そして、今回の訪問期間中も多くの協定書に調印し、それによってさらに多くの職が創造されるであろう。我々は自由貿易に対する英国のコミットメントに感謝する。それがさらなる経済対話を進化させることを望んでいる。こうした協力のお蔭で貿易摩擦の問題を解決することができるようになるし、保護主義の台頭を回避することもでき、そうなればさらに我々の貿易関係は前進する」
「質問のあった人権問題については、中国は人権の擁護を重視している。我々は人権の普遍的な価値と中国の現実を同時に扱っている。中国の現状に適した人権保護の道を我々は見つけ出したのだ。世界を見回すと、人権の擁護に関して改善の余地が常にあることを承知している。全ての国が耐えず時代のニーズに合うように人権の改善、強化に努めなければならない。私は、それぞれの国の国民が人権について一番ものが言える立場にいると思う。そして、中国は、平等と相互尊重を基にして、英国やそれ以外の国々と意見交換の機会を増やす用意がある。ありがとう」
 
 
キャメロン首相の考えは、中国との関係を深めてこそ、中国に対しても建設的なことが言えるようになる。ということは、ロシアとの関係においても、ロシアに経済制裁をするのではなく、ロシアとの取引を益々盛んにする必要があるということなのだが・・・・・・
政治家の二枚舌はどこの国でも共通だが、真正面から記者の質問に答えているのは好感が持てる。もちろん、BBCの記者にあらかじめ質問リストなど提出させていないだろう。
 
2014年7月30日、ロシア科学院極東研究所日本研究センターの専門家は、ロシアに対する経済制裁について「日本が米国に迎合しており、政治的に軟弱であることを露呈している」と指摘した。「日本は『制裁が日露関係そのものを傷つけるものではない』と再三強調しているが、ロシアからみれば、日本が重要と認識しているのは、複雑化する国際情勢で強国の立場を保持することだ。安倍晋三首相の政治家としての軟弱ぶりを露呈した」と語った。
 
南沙諸島での7つの人工島建設、そしてそれら人工島への軍事施設の設置によって、中国政府による「海洋国土」の主張が具体的施策として表れてきた。海洋国土という主張を具体的に示しているのが南シナ海の「九段線」である。中国の主張からは海洋国土と、国際海洋法で言う領海、接続水域、排他的経済水域がどのような関係になるのかは明確ではない。しかし、海洋国土の概念の出発点である九段線」の概念はすでに1930年代(共産党はまだ国家を樹立しておらず中国国民党政府であったが)に誕生しており、「国連海洋法条約などよりはるか以前から存在していたもので、中国の既得権である」ということになる。そもそも、アメリカが振りかざしている国際海洋法秩序に対しても、中国共産党政府によれば「暴力によって世界を支配した欧米の都合によってつくり出されたものであり、そのような欧米の横暴にいつまでも付き従わねばならなう道理はない」ということになる。したがって、中国政府は「中国に歴史的に存在する中国固有の権利である海洋国土と抵触しない範囲で、国連海洋法条約は有効となる」と解釈する。現在は南シナ海で「九段線」という海洋国土を主張して周辺諸国と紛争中の中国は、やがて東シナ海でも海洋国土の概念を持ち出して日本に対して攻勢をかけてくることは間違いない。
中国との東シナ海での領域確定問題は外交的な手段だけによって解決することは不可能だろう。したがって、外交の延長である軍事的手段も用いて、尖閣諸島を含めて東シナ海での日中境界線確定を決着させるという覚悟が必要である。このような状況であるにもかかわらず、積極的平和主義を国際社会に向かって喧伝しまくっている安倍政権が、海洋国土を振りかざす中国政府に対して何ら積極的な対抗措置を打ち出さないとなると、アメリカをはじめ国際社会から「日本政府は腰抜けだ。アメリカのひもでしかない」と評価されるのは必至である。
 
これから先はリップサ-ビスだけでは、どうにもならない。安倍首相は本当に中國と戦う気があるのか?もちろん、アメリカの陰に隠れる後方支援だけでは済まない。言っていることは過激だが、実際、危機が訪れ、全権委任されたとき、首相は中國と戦えるのか? 日本の未来を考えると、政治家として軽率な態度はとれないはずなのだが・・・・・すべて姑息な手段でごまかして来たやり方を見ていると、日本の政治家は米国の腰巾着にしかなれない。