アトリエ 籠れ美

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平成27(2015)年5月4日より

映画「どですかでん」(黒澤明監督、昭和45(1970)年公開)

2019-09-26 05:06:28 | 昔のアニメ、ゲーム、実写、音楽、本、雑誌

 私は今回の「黒澤明DVDコレクション」で見るのが初めてですが、黒澤映画の転機となった作品であることは間違いない。

 昔から見たくてしょうがなかったので、期待して見始めたんですが、何がショックって、出演している俳優の顔ぶれが様変わりしている。前作の「赤ひげ」からの面々は一体どこへ行っちゃったの。

 たった5年でこうも変わるとは。というのもこれこそテレビの普及の影響以外の何物でもないんじゃなかろうか。

 今作以降、常連となる井川比佐志。そして今作で最も重要な役を任された松村達雄。両俳優の印象が強かったです。

 こうした映画が興行的に失敗するというのは、とても悲しい。この作品は、人間の悲喜劇を描いているわけで、作中の人物たちを見て、「ああ、あれは自分そっくりだ」とか、「自分も似たようなことをしているよなあ」とか、そういう風に思ったり、考え込んだりして、作品に深く感じ入るものなのですが、いかにそういう人が少ないことか。

 自己批判を、何というか、自分を責める形ではなく、明るく自嘲的な形で行える作品であり、人生というものを戯画化し、それを見て共感すると同時に、内省することを見る側に自然と促すわけで、とても優れた作品なのです。

 人間や人生についての単なる風刺映画に終わっていないところが素晴らしいのですが、なかなか気づいてもらえないんでしょうね。

 原作はまたしても山本周五郎だそうで、「季節のない街」とは何てぴったりな題名なんだろうと思いました。映画の題名も「どですかでん」じゃなくって、「季節のない街」じゃ駄目だったのかしらん。

 黒澤初のカラー作品ということしか知らない映画ファンも多いと思います。とても面白い作品なので、ぜひ。

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2 コメント

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こんばんわ.... (kitazume)
2019-09-28 17:45:27
「どですかでん」私も大好きです。
この作品は確か、木下恵介、市川崑、小林正樹
らに呼びかけ「四騎の会」という芸術家集団を
結成して世に問うた作品ですよね、、
この作品の助監督に、あの岡本喜八を起用し
ようとしたのだとか。

ただ岡本監督からは丁重に断られたそうですが、
作品を見ると岡本監督の喜劇性を上手く取り入れて居て、

黒澤監督は岡本喜八の作るような映画を目指
したのだな、と言う事が解りますよね。

そしてこの作品がヒットしなかったからか、
黒澤監督は自殺未遂を起こして居ますね。

理由は「テレビに取り込まれていく自分に
嫌気が指した」とか・・・・

私は1980年代にこの作品を含めた、、
黒澤明のビデオを、輸入版ビデオでアメリカから
購入しました。

1980年代当時は黒澤作品は日本では
ビデオ化されて居なかったもので、

「どですかでん」「蜘蛛巣城」「七人の侍」
「わが青春悔いなし」「生きものの記録」
「天国と地獄」「隠し砦の三悪人」など
クライテリオン版で集めました。

その後、東宝がレンタルビデオのみで黒澤作品
21作品をリリースして、その後、LDで発売しました。。。

懐かしい思い出です。黒澤作品はその後、
手放して仕舞いましたが、、

何年か前に、CS放送で放映されたものをすべて
ブルーレイに焼きました。
今はそれで全作品を持っています....

処でジャズCD、チャリーパーカーの「ダイヤル盤」
を購入したのですね、、名盤ですね、、

同じバッパーの、ソニークリス何かも、
いいですよ。収集、頑張って下さいね。

また、来ますね....
返信する
Unknown (ki)
2019-09-28 17:52:44
すみません

パソコンの自動入力が邪魔をして、
kitazumeになって居ます

kiyasumeです
すみませんでした....
返信する

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