なら日和

奈良で学ぶ楽しみを見つけた風香のスタディ奮闘日記です。

文化財修復学スクーリング終了

2010-09-06 15:51:24 | スクーリング
9月3日から5日の文化財修復学。
山崎先生は愛知県芸大の名誉教授でもあることを知った私は勝手に親近感を寄せ、修復学なる実技を交えた講義に引き込まれた3日間であった。
1日目の午前中は仏像の基礎知識。
修復学を学ぶものは、仏像の一を知るといったところだろう。
午後から東大寺螺髪原型の1/2サイズの制作にとりかかる。
工法は略式ながらも乾漆工法。
新聞紙で軸を作り、粘土で螺旋状に塑型。上から麻布は張り、接着剤で固定(小麦粉とボンドをまぜたもの)する。更にその上から木屎を塗っていく。ここまでの工程までが今日の課題。
あっという間に16時20分。結局片付けを済ませ、既に予約していた特急電車の変更をあわてふためいて済ませたら教室を出たのは最後の一人だった。
構内出発のバスは最終も当然ながら既に出たあと。
結局駅まで一人徒歩で移動。
でも、風が気持ちいい。
ほんの10分足らずの散歩となった。
駅近辺でこの日分科グループのお一人だった男性とばったり出会う。
何でも駅近くの図書館で今からお勉強とか。
みなさんのその情熱にはいつもながら教えられる。
さてこの日家に着いたのは21時過ぎ。
さすがに遅くなってしまった。洗濯や片付けを済ませて就寝できたのは1時すぎ。
翌日は4時起床。
眠い。
当然、移動中の電車は爆睡。名張をすぎた辺りで、無条件反射で目が覚める。
いつも眺めたい景色が目の前に広がる。
大和八木までのほんのわずかな時間だが、右に左に忙しい。
宇陀~吉隠~忍阪山~大和三山~一瞬だが甘樫丘~三輪山麓と。
さて、2日目。この日は午前中は昨日の螺髪の手直し。
木屎で麻の編み目を更に丁寧に消していく。
あとは乾燥するのを待つだけ。
そして講義。午後からは寄木造りの仏像の修復中のものを観察。
何でも先生が全国のお寺から依頼されている仏像の一部との事。
それにしても仏像の修復とはこんなに悲惨な現場が待ち受けているとは。
木造であるゆえに虫食いの問題は中でも今後も含めた大きな問題であろう。
あたり前にみていた木造仏への見方が私の中で大きく変わっている。
その後図書館で阿吽象の見学。
どういった場所におかれていたのかは不明という阿吽像であるが、その迫力はやはり本物である。
現状維持と再生。文化財修復学はその判断を謝ると過去においても、そしてこの先の未来においても、形をかえて保存してしまう危険をはらんでいることが理解できた。
この日も心地良い疲れを終えて無事終了。
そして3日目。
午前中いよいよ螺髪の仕上げ。
中の心材をとりだし、粘土を書き出せば完成なのだが思いの他重労働だ。
でも粘土を書き出し、はがしていくコツみたいなものがつかめてからは、多少手がよく動き、無事破損することなく完成したのである。
そして更に講義。最終感想文を書いている途中に外から雷の音。
最近夕立が多いと奈良在住の知人に聞いていたもののこのタイミングでとは。
結局20分早く終わったもののバスを待つしかすべがなかったのである。

山崎先生の講義は、今迄受講した講義の中では一番レジメ通りに進行した解りやすい中身の濃~い講義であった。