試合後、両校ナインが健闘をたたえあった。中央では中京大中京・堂林（左）と、日本文理・伊藤（右）の両エースが抱き合いながら笑顔をみせた
第９１回全国高校野球選手権大会最終日（日本文理９－１０中京大中京、２４日、甲子園）やっぱり、高校野球って面白い！！ 決勝は中京大中京（愛知）が１０－９で日本文理（新潟）を下し、参加４０４１校の頂点に立った。中京大中京の優勝は中京商時代に春夏連覇した１９６６年以来、４３年ぶり７度目。優勝回数は広島商（広島）を上回って単独最多となった。夏は決勝で負けなしの７連勝。新潟県勢として史上初の決勝に臨んだ日本文理は、６点差の九回二死から１点差に迫る猛攻を見せたが、あと１本に泣いた。
痛烈な打球が三塁手のグラブに収まり、球史に残る死闘に終止符が打たれた。６点リードの二死走者なしから１点差に迫られた九回二死一、三塁。抜ければ同点というピンチで河合がライナーをつかみ捕った。
優勝が決まっても、現実とは思えない。間をおいてからナインがマウンドに駆け寄る異例のＶシーンに産みの苦しみが凝縮されていた。エース兼４番の堂林翔太投手（３年）はお立ち台で涙を流した。
「最後まで投げたかったけど、情けなくてすいませんでした」
先発したが六回途中６安打２失点で降板。１０－４とリードを広げた九回に再登板したが、二死から四球でリズムを崩すと、連続長打を浴び２点を失った。代わった森本も３点を失ったが、日本文理・若林の痛烈な打球が三塁手のグラブに収まった。堂林は「祈るしかなかった」と天を仰いだ。
ＭＡＸは１３９キロ。１年の時に記録した１３７キロから伸びなかった。１年秋に肩を故障し、小さなテークバックから制球重視のスタイルに切り替えた。「丁寧に低めをつけば打たれない」。３月のＷＢＣで岩隅（楽天）の投球を見て、間違いないと確信した。
打撃では一回の先制２ランを含む３安打４打点。大会６試合で２３打数１２安打１２打点１本塁打、打率．５２２と大暴れして、夏の決勝は７戦全勝で最多となる７度目の優勝に導いた。「歴史を塗りかえることができてよかった。最高です」。堂林は涙をぬぐい、最後は笑顔で最高の夏を終えた。（サンスポ)
