アジアはでっかい子宮だと思う。

~牧野佳奈子の人生日記~

韓国の旧正月とワラとモチ

2013-02-27 | 韓国の旅

第一、わたちのブログは長過ぎる。

と、ふと思って、今回はほぼ写真だけにします。

脳みそに余裕がないとブログが書けないのはわたしの悪い癖。

 

2月9~11日だった今年の旧正月。韓国に行ってきました。その様子です。

着いた日の気温はマイナス14度。鼻毛も凍る寒さでした。

でも雪はあまり積もらないんだね。乾燥してるのと、寒すぎて凍ってしまうから。

主要道路には塩化カルシウムが撒かれてるので意外と平気。
しかしこれだけの道路を正常に保つには、どんだけの量を夜な夜な撒くんだろう…と不思議でたまらない

東京も塩化カルシウムの撒き方をソウルに習えばいいのに。
(東京で大雪になった日、区役所の職員は「手で」歩道に塩化カルシウムを撒いていました…あれは歩道だけだったのかな)

 

それで、都心に植えられている植物にはワラを被せてあげている。

(あぁ、寒そう)

(これは何だろう。蓋が開かなくて正体分からず。)

(小学校の花壇みたいだ)

ということで、なるほど韓国はワラの文化らしい。日本よりも、もっと。

 

(右の道具は卵を安全に運ぶためのもの)

(子供用のカラフルぞうり)

(「健康」と書いてあるらしい、ぞうりの輪?)

 

ところでこのワラ細工の展示もそうなのだけれど、旧正月の3日間はソウル市内のあちこちで伝統遊びを楽しめるイベントが開かれる。

たとえばここ。南山韓屋村(ナムサン コルハノク マウル)。

(矢を穴の中に入れる、輪投げの応用ゲームみたいな伝統遊び)

(なぜか大道芸が大好きな韓国の人達。エンターテイメント力は天性のものなのかしら…)

(太鼓も日本よりカラフルで激しい)

そして正月といえば、おもち。

しかし韓国の餅つきは、なんと臼を使わないのでした!…びっくり。

と面白がって帰国した後、ネットで「韓国 餅」と検索したら、出てくる出てくる。

韓国の餅文化は、日本よりずっと多彩でずっと奥深いんですね。種類も200近くある!
(詳しくは:http://www.visitseoul.net/jp/article/article.do?_method=view&art_id=3979&lang=jp&m=0004001001019&p=01) 

と思って「韓国 餅つき」と再検索したら、今度は「餅つきの発祥はどこか?」みたいな内容の書き込みがズラッ。私なりに要約すると、

「稲と同じルートで日本に入ってきた可能性はあるが、杵と臼を使って蒸した米をつくのは日本独特。少なくとも韓国経由ではないと思われる。なぜなら中国北部~朝鮮北部は稲作に適さないから」

ということらしい。
本当かどうかは知らないけれど、確かに韓国では米粉を蒸したり焼いたりして加工したもの全般を餅(トッ)と呼び、そのアレンジこそ素晴らしいけれど、日本のように餅自体の弾力や甘みや伸び具合にこだわっている感じではない。

(これはスープに入れる餅(トッ)。蒸したうるち米をペタペタついてつくる)

これがスープ餅(トック)。

お正月には必ず食べるらしく、子供には「何杯食べた?」と聞くというのから、まさに日本のお雑煮のような存在。
しかし餅もスープも雑煮に比べて随分あっさりしてるので、キムチを入れて食べます。

 

そして都心は市内に住む家族と観光客だけの、ややひっそりした3日間となります。

(屋台は通常通り)

(たいやき屋さんも通常通りやっていた。日本のたいやきより小振りでアンコが少ない(…昔はもっとたっぷり入っていたらしいけれど))

 

そんなこんなで、今回はサクッと投稿しようと思ったのに、またもや(時間的に)長くなってしまいました。

それにしても、餅文化がこれほど奥深く、日本と韓国でこれほど違うとは思わなかった。
知らないもんだなぁ~。 

そういえば今回、韓国の友達に「日本の餅はなんであんなに伸びるようにつくるの?」と聞かれ、「…なんでか知らないけど、だから日本では冬になると年寄りが餅で喉をつまらせて死ぬ事件が発生するのよ」と、答えのようで全く答えになっていない返事をしたことを思い出す。

そうか、それなんだ。

 

“なぜ日本人はそこまでして餅をつくのか?”

 

常識というのはこんなにも透明で、知らぬ間に体にまとわりついている。

お陰で見えてなかった、見えてなかったなぁ~。餅の正体が。

 


アジアのフロ文化

2013-02-04 | その他の国の旅

わたしがライフワークにしているアジアのこどもキャンプで、感想文を兼ねたアンケートをしたところ、モンゴルの男の子がこんなことを書いてきた。

“ロシア人は清潔だと思っていたのに、一度も風呂に入るところを見なかった”

面白いなぁと思って、ロシアに行った時、一般家庭の風呂を見せてもらった。
 


ロシアでは、都市部を除いてサウナ方式が主らしい。

水不足だからというわけではないだろうけれど、極寒の地では、水を温めるより空気を温める方が効率的なのかしら。熱と蒸気で汗をかいて、最後に少量の湯で洗い流すのだそうだ。
 

(サウナ風呂の外でお母さんが薪を燃やしてくれる)


一方のモンゴル。

首都ウランバートル市内の高級アパートでは、こんなお風呂が一般的。
 


手持ちのシャワーだけでなく、側面からもブファーッと温水が噴射する構造で、お尻から腹から首まで一気に泡を流してくれる。どこの国のメーカーかチェックし忘れたけれど、日本だったら…そうね、なんとなくラブホテルにありそうでドキドキしてしまいました。

ちなみにモンゴルの遊牧民が住んでいるゲルの中には、お風呂はない。

内陸ならではの乾燥気候なので、基本的に風呂に入る必要性が非常に薄いということもある。
草原では、羊たちと一緒に川や湖に行った時に水浴びする程度なんじゃないかな。もちろん昼間。

なので、「ロシア人は風呂に入らない!」と驚いたのは都会の子ならではの反応だったというわけです。

 

川風呂といえば、南の国では当たり前の光景。

これはスリランカ。

橋の上から川を覗き込んだら、女の人たちが楽しそうに水浴びしていた。
(この大きさでは見えないけれど、中央の女性はカメラに気づいてにこやかに微笑んでくれてるの)

インド圏を旅していると、こんな風に、あちこちで水浴びや洗濯の風景を垣間みることができる。
そしてみんな一様に、とっても気持ちよさそう。 

しかしですね、真似して同じようにやってみると意外と難しい。
女性は特に、首から足下まですっぽり隠れるくらいの布を巻いて入るんだけれど、その布越しに体を洗う方法や上がった後に服を着る方法が分からない。
そしてモタモタしているうちに手が滑って布がハラッと落ちちゃったりして、ギャーッと形相変えて再び川に飛び込んだりして…。しかも肌が生半可に白いもんだから目立つんだよねぇ…。

 

ということで、やっぱり日本人には日本人らしい風呂が一番だ。
 

ここは大阪、西成区にある銭湯。

もうずいぶん銭湯が減ってしまったけれど、風呂なしアパートがたくさんある地域には昔ながらの銭湯が生き残っている。
 

(鏡には日払いアパートの宣伝)

(マ○コ洗粉かと思ってギョッとしたら、マクコ洗粉でした)

こういうところもええですなぁ。

ここは宮城県石巻市の山中にある「追分温泉」。
全館木造の、まるで昭和の小学校みたいな建物です。ここは絶対に穴場。

(脱衣場も妙に味がある)


それで、こういう昔の面影を残す風呂に感動すると、今度はもっと昔の風呂が知りたくなる。
というか、図書館でこんな本を見つけたので思わず借りてしまった。

女体好きが高じて…というのもあるけれど、これは文化的にみてとても面白い文献だと思う。

たとえば、銭湯の先駆けになった「施浴(せよく)」というのは、共同生活者が多かった“寺院”にできた浴場を一般に開放する行事のことだったらしい。8世紀後半ごろから記録があるという。
その頃は蒸し風呂造りで、寺院の社会事業だったのが次第に庶民の間でも習慣になっていったようだ。 

家庭に風呂が付けられたのは豊臣秀吉の頃。1592~98年の朝鮮出兵から持ち帰った簡易入浴法によるらしい。「据え風呂」「居風呂」「水風呂」と呼ばれ、いわゆる五右衛門風呂の先駆けとなった。

(入浴中に亭主が浮気しているところを発見し、自分まで欲情しちゃってる図)

そして江戸時代の共同浴場は、基本的に混浴だったらしい。
湯は今みたいに自由に使えるのではなく、手桶を持っていくと1杯分の湯を注いでくれる「湯汲み男」というのがいた。入浴は、「柘榴(ざくろ)口」という洗い場との仕切りをくぐった先にあり、そこは湯気がもんもんと立ちこめいたのだとか。…そんな混浴湯だから中で何があってもおかしくないということで、女だけの特別営業日が設けられるようになったそうだ。

(左側の壁の奥にいるのが「湯汲み男」、その隣の赤い門が「柘榴口」)

(女風呂では喧嘩も勃発)

そんなこんなで、なまめかしくも賑やかな共同風呂は、日本と韓国と中国の一部にしかない“裸の付き合い”文化なのです。

ちなみに上の写真に近い光景は、今の日本よりむしろ韓国で見られる。
沐浴湯(モギョクタン)と呼ばれる共同浴場では、さすがに取っ組み合いの喧嘩はしないけれど、あちこちで女の人が大胆な格好でアカスリに励んでいるの。

これは実際に行って見てもらわなきゃわからない。(男性は見られないけど…)
今や大人しい日本の女風呂とは違って、なかなか面白いですよ。

 

女体(男体も)は同じでも、国が変われば風呂の景色が変わってくる。

乾燥していて風呂文化がほとんどない国の人でも、日本に住めば風呂が習慣化して帰国後ちょっぴり大変なんだとか。風呂が恋しくなっちゃって。

だから旅に出たら、その土地の風呂に入るのが一番いい。
国内でも国外でも、 裸体でこそ感じられる文化が、そこにはありますから。