アジアはでっかい子宮だと思う。

~牧野佳奈子の人生日記~

メコンデルタの朝

2010-03-14 | その他の国の旅

ベトナム南部に流れ出るメコン川は、河口に大量の土を堆積させデルタ地帯をつくり上げている。
大きな川から小さな水路まで、ボートに乗るのも日常茶飯事のこの地域では、人々は今も昔も川と共に生きている。





多くの人の起床時間は4時。
家事を済ませて、早朝5時には道ばたに農産物を並べ出す。
ボート漕ぎは川辺で客を待つ。
食堂では肉を切ったり焼いたりし始め、既に香ばしい匂いが立ち上る。

そして朝日が昇る頃には、川も大地も、街全体が活気づいている。











そして太陽が照りつける午後には、穏やかなメコンの水面に濃い緑が静かに影を落とす。



常夏のホーチミン

2010-03-10 | その他の国の旅

こちら、ベトナム・ホーチミン市です。

日本は雪らしいですが、たった数時間海を飛べばそこは既に常夏の国。
世間は狭いと云えど地球はやはり大きいですね。

・・・っていうか、なんて不公平なんでしょう。
同じアジアなのに、同じ顔した人ばっかりが溢れているのに、片や雪、片や蜃気楼だなんて。


この国に来る前、あまりにベトナムに関する知識がなかったので色々と勉強しました。

中国に支配されていた頃のこと、
フランス植民地時代の苦難、
日露戦争に打ち勝った日本への憧れ、
第二次世界大戦での日本軍侵略、
国家独立のためのベトナム戦争、
その後の社会主義体制と失策・・・などなど。

メコン川に支えられたこの国は、あまりに肥沃なために何百年も他国の尻に敷かれて独立できずにきたんですね。
その支配され続けた歴史=様々な人たちが支配に抵抗し続けた歴史は、年表を追って見るだけで目が回りそうになるほど複雑です。国内史でなく、他の国との関係性においてこれだけ複雑な歴史をもつ、というのは日本人にとってはちょっと想像し難いことなんじゃないかと思います。つまり自分の国土に対する想いについて、その独立という快挙について。

それで、ようやく勝ち取った独立の後、国はベトナム主義を掲げるわけですが、当初市民が思い描いていた社会主義の理念と実際に政権を握った人たちが取った政策とがあまりにかけ離れていたために、人々はその弾圧的な政府のやり方に不満を積もらせます。
不満どころか愕然とした、といってもいいかもしれない。それほど政府の汚職と一党独裁政治による支持者への裏切りが人々を苦しめたんだそうです。

それで途中からベトナムは資本主義を取り入れて、今の中国みたいに社会主義国家なのに自由経済、というやや矛盾するような方針に転換します。ドイモイ政策ってやつです。
おかげで北朝鮮みたいに孤立することなく、他国と協調しながら世界経済に参入するようになったわけですが、日本を含む多くの海外企業が首都ハノイやホーチミンなど大都市に進出してきた一方で、国内の貧富の差はますます広がった。
・・・やはり中国と同じ感じです。





ですが実際に来て驚くのは、街に溢れる人々の表情が、“そんな感じ”じゃ全然ないんです。

街の中心部には欧米風のカフェやレストランが建ち並び、フランス統治時代の古い建物が情緒を醸し、大通りの多くでは天高くそびえる巨木の並木が緑葉をなびかせ、それらの間に昔ながらの商店や物売り達がひしめき合う・・・そんな美しさは街並だけじゃなく、そこを行き交う人々も同じように美しい表情をしている。

皆が笑顔だ、という意味ではありません。
苦い顔をしたおじさんもいっぱいいるし、気のキツそうな近寄り難いおばさんもあちこちにいる。けれど一様に(私が直感したところでいえば)ほとんどの人が「不幸せそうなオーラ」を発していない、というか・・・。
不満のあるなしに関わらず、とにかく私はここで生活をしています、ここが生活の場です、ということが人々の姿から滲み出ている感じがするのです。

それはつまり生活感が溢れている、ということなのですが、それにしたって、このじとーっと滲み出る人間臭さは何なんだろう・・・、と思えて仕方ありません。

もしかしたら単に、軒先に吊り下げたハンモックで昼寝をしている人の姿や、歩道に並べられた小さな椅子に座ってコーヒーを啜る暢気なおじさん達や、観光客に声はかけるものの断られるとすぐに雑談に舞い戻るオートバイの運転手や、小さな屋台で軽食を売ってるおばさんが商売そっちのけで食事をしている姿なんかから、全体としてほのぼのした雰囲気を感じているに過ぎないのかもしれないですが。





それにしても、ベトナム料理は美味でヘルシーです。

そして、ハーブ使いがバツグンに上手い。

上の写真は米餅みたいな(名前は要確認・・)もので、ハーブは上に乗ってるちょっとだけの緑ですが、日本でもお馴染みのフォー(米粉のそうめん)には、別皿でてんこ盛りのハーブが付いてきて、それを自分でちぎって好みの分量だけ加えて頂きます。その鼻孔にスーッとくるハーブの香りが、たまらないの。。。。

ハーブにはいろんな種類があるようですけどね、私に分かるのはシソとドクダミの葉くらい。(ドクダミは日本の野生のものとは違って柔らかい)
一番多く入ってる小さい葉っぱは、名前が分からないのでまた誰かに聞いておきます。


そんなこんなでベトナム滞在はあと一週間。

明日から南部のデルタ地帯に行きます。

とりあえず、旅途中の報告まで。