長い間、悪筆に悩まされてきた。他人のではない、自分の悪筆にだ。
職業柄、文字を書くことが多い。それも時間に追われるケースが多いから、速く書くことは出来る。筆順はでたらめだが、まあ正確に書けると思っている。
しかし、下手だ、われながら嫌になる。とくに嫌なのは冠婚葬祭などの受付で記帳する時だ。毛筆しかない時などには、そのまま帰りたくなる。
その悪筆が、さらに加速してきた。とくに細かい字が書けない . . . 本文を読む
去年の晩秋に妻が卵巣がんで死んだ。六十七歳であった。少しは早過きると思うが、これも運命と諦らめるしかない。
二年前にがんと判って抗がん剤の投与を十回やって摘出手術をした。私たちは近代医学に期待し、それに頼った。
妻は髪の毛が抜けたことを女として歎いた。そして抗がん剤の副作用に苦しんだ。治る望みを初めは抱いていたが、そうもいきそうにないと感じて、一年後に腐院との関係を断った。自宅での自然療法 . . . 本文を読む
以前も同様のテーマで書いたので、またかと思われるかもしれないが、新型インフルエンザウイルスの出現の危機が一段と高まった。
不思議なことに日本ではあまり危機感が感じられないが、今。全世界の人々がテロと新型インフルエンザの流行を最大の恐怖としているのだ。
二十世紀に入ってからでも、人類はスペインかぜ(一九一八年)、アジアかぜ(一九五七年)、香港かぜ(一九六八年)、ソ連かぜ(一九七七年)と数回の新 . . . 本文を読む
水墨画に魅せられ7年、今月9日に初めての個展を開く。気が乗ると一日に何枚も仕上げることもあり、年間では300枚を下らない作品を描く。しかし「趣味ですし、まさか個展を開くことになるなんて思いもしませんでした」と意外にも控えめなコメント。好きで描いている内にどんどん溜まっていったという作品の一部を広げながら、「元々は中国に興味がありました」と振り返る。背後の書棚には、なるほど中国系の書物が並んでいる . . . 本文を読む
「井口さんにとって陶芸とは」の質問に「衣食住と同じかな」。もの作りを生業とする人にとって「作ること」は生きる糧。芸術の道だけに専心できればそれに越したことはないが、多くは生活人としての側面も持つ。武蔵野美術大学で油絵を学び、ある人と出逢ったことにより陶芸の道に。現在、若葉区にある自身の工房「彩雅」で週に3回、その他の会場で2回と陶芸教室を開いている。昨年の作品発表は5回。1回の個展には100個以 . . . 本文を読む
「もともとはカラオケサークルの仲間だったんです。サークルの旅行に行ったとき、
杉浦さんがその様子をビデオに撮影してくれて、ナレーションやらBGMまで入ってす
ごくステキだったのね。それで、何人かで杉浦さんにいろいろ教えてもらおうと、始
めたわけ」と語る鶴岡てい子さん、73歳。コンピュータやビデオカメラを操る頭の
若々しさに脱帽する。
指導役と会の代表を兼ねる杉浦スイ子さんは、20年以上も前にビデ . . . 本文を読む
私は愛煙家というよりタバコ常習者であることを告白しておいてから話を進める。
与党間ですったもんだしていたタバコの増税が決まった。
1本当たり1円の増税で、マイルドセブンなら20本入り270円(税157円)が290円(同177円)となり、これで国・地方合計で約1700億円の税収増になるという。
しかし、これまでの自民党と公明党のかけ引きをみていて不満に思ったのは、国民の健康についての論議が聞こえ . . . 本文を読む
取材で京都に行ったので、久しぶりに一人で居酒屋に入り、のんびりと過ごした。
たいていは友人や仲間と飲むのだが、一人で飲むのもいいものである。
ぼんやりしながら客同士の話を聞いていたら、ここでも健康や病気の話が多かった。その中で、あるグループの一人が、「遺伝子診断の結果、糖尿病になりやすいといわれたのだが、どうしたものだろう」と仲間に話しかけていた。年の頃は四十歳前後か、やや小太りだが健康そ . . . 本文を読む
母は人形作家で有名な鈴木明美氏だ。鈴木さんは現在病床にある。これまでに数度の危篤状態にありながら献身的な娘海野さんの介護のお陰で自宅介護できるまでになり、今年で6年目になる。鈴木さんの形作家としての知名度は高く、特に千葉では根強い人気がある。その作品で表現される女人は実に艶っぽく、粋で、ある種の凄みさえ感じさせる。そんな師匠に就き心20数年、海野さんも創作活動を共にしてきた。ここ数年は鈴木さんの . . . 本文を読む
最近、めまいを感じるようになった。多分、これがめまいというのだろうと思うが、駅のホーム端を歩いていると線路に落ちそうになる(ような気がする)のだ。その端緒らしきものには心当たりがある。九月に海外旅行に行った際、高山病にかかってしまったのだ。
海岸そばの空港から一気に海抜二六六〇メートルの高地に上り、そこに二日滞在して、また飛行機で一気に降りてきたのだが、降りてから安心したのがまずかった。高山病 . . . 本文を読む