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人&ライフ  井口雅代さん(陶芸家)

2006年01月06日 | コラム
 「井口さんにとって陶芸とは」の質問に「衣食住と同じかな」。もの作りを生業とする人にとって「作ること」は生きる糧。芸術の道だけに専心できればそれに越したことはないが、多くは生活人としての側面も持つ。武蔵野美術大学で油絵を学び、ある人と出逢ったことにより陶芸の道に。現在、若葉区にある自身の工房「彩雅」で週に3回、その他の会場で2回と陶芸教室を開いている。昨年の作品発表は5回。1回の個展には100個以上の作品が創られる。また、その作品が好評で注文があれば更同じ作品を創り続ける。「もう、嫌になります、何やってんだろうって」。矛盾を無理やり身の内に押し込め、得たお金は日々の生活と次の作品への資金となる。
 「感性だけで生きてる人間です」自身をそう表現する。右脳人間。芸術家であればそれも当たり前だが、得意科目は昔から数学と化学。左脳の分野だ。昨年秋、千葉の陶芸家グループ「陶葉会」が立ち上げられた。井上さんはその事務局を務めた。同会創立の記念に出版された「TAIKI」の編集その他の事務処理も引き受け「少し疲れました」と無事成し遂げてほっとしたように笑う。
 「釉彩」というのが井口さんの得意とする技法。ひとつの作品に数種類の釉薬を塗って焼く。釉薬の取り合わせ方と焼く温度がキーポイントになる。ここでまた左脳の登場だ。工房の傍らに釉薬のバケツがずらりと並び、その数は100を超える。この数になると感覚だけでは正確な色の把握は無理。きちんとした統計、理論的な化学変化の世界になる。左右の脳をバランスよく使うことが、神秘的で不思議な「井口色」誕生の秘訣か。
    文 やまもとみどり

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