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こんなことに気をつけよう中高年の健康管理

2006年11月07日 | コラム
 日本人の三人に一人はがんで死亡する。そのがんの中でも増えているのが大腸がんで、女性はがん死の一位に、男性は四位にランクされている。大腸がん増加の背景には、生活習慣の変化、とくに食事の欧米化があるとされてきた。米食を中心とした低脂肪、高食物繊維食から、肉食を中心とした高脂肪、低食物繊維食が原因だというのだ。そして、食物繊維の摂取量を増やすことが大腸がんをはじめとする生活習慣病の予防には重要だとされてきた。
 しかし、これは本当なのだろうかという疑問が世界各国で起こり、さまざまな調査が行われた。その結果は後述するが、日本で行われた大規模な臨床試験結果をみてみよう。
これは健保連大阪中央病院消化器科の石川秀樹医師らが、厚生労働省の対がん10か年計画の一環として行われたものである。
 まず、石川医師は大腸の内視鏡検査でポリープが二個以上発見され、すべてとった患者さんを対象にした。ポリープが二個以上ある人というのは、ない人に比べ、約七倍も大腸がんになりやすいとされている。
 そこで、これらの患者さん約四百人を、食物繊維(小麦ふすま)を投与したグループと、乳酸菌(L・カゼイ・シロタ株)を投与したグループに分けて四年間追跡し、食物繊維が本当に大腸がん予防に効果あるかどうかを調べてみた。
 すると、食物繊維を投与したグループのポリープ発生率は、投与しなかったグループに比べて一・三倍に増えていた。それどころか、大きさが一センチを超える、危険なポリープが、投与グループだけから七人も出た。
 食物繊維は大腸がんを予防するどころか、かえって大腸がんの発生を促進していたのだ。
一方、乳酸菌を投与したグループのポリープ発生率は僅かに減った程度だったが、がんになりやすい悪性のポリープは三分の二に減ったという。
 前述の各国の結果はどうだったのだろうか。
大腸がん予防に関する大規模調査はオーストラリア、カナダ、アメリカ、ヨーロッパで行われた。まず、オーストラリアの結果は、食物繊維を食べるとポリープの発生は少し減るものの有意差なし。カナダとアメリカの結果はまったく効果なし。もう一つのアメリカの結果はポリープの発生が増えた。ヨーロッパの結果は食物繊維投与グループではポリープの発生が一・六七倍に増えた、というもの。
 いずれの結果も食物繊維が大腸がん予防に有効どころか、逆に大腸がんの発生を促進する恐れがあるというものだった。
 しかし、これは食物繊維の宝庫とされる野菜や海草類などを食べるなということではない。野菜や海草類には食物繊維だけでなく他の必要栄養素が含まれており、適量をとることは必要だが、大腸がん予防のためにサプリメントなどとして食物繊維をとることは効果がないどころか危険であるということだ。(ヘルシスト編集部)


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