美術コースブログ

八戸工業大学第二高等学校美術コースの公式ブログです

展覧会見学 岩手県立美術館「アントニオ・ロペス展」

2013-10-31 11:00:29 | お知らせ

 

 10月25日(金)、美術コース全学年で岩手県立美術館で開催している「現代スペイン・リアリズムの巨匠 アントニオ・ロペス展」を見学しました。
 アントニオ・ロペス(1936-)は現代スペイン・リアリズムを代表する作家であり、本展は、初期の美術学校時代の作品から近作まで、ロペスが手がける油彩・素描・彫刻の各ジャンルから代表作約65点を厳選して紹介する日本初の個展。現在美術コースでは、2年生と3年生の絵画専攻の生徒が油絵の課題に取り組んでおり、生徒達は授業で学んだ知識を展示作品と関連させて興味深げに作品を鑑賞していました。また、これから油絵の授業が始まる1年生にとっては良い事前学習になりました。


 

<展覧会の感想>

・鉛筆で描かれた少女の頃の娘を描いた「マリアの肖像」は鉛筆とは思えない、まるでモノクロの写真のような細かな表現でとても驚きました。「トイレと窓」という作品もまた印象深く残っています。変哲もない汚れたトイレが描かれてり、一見薄暗く感じるものの、そこにはしっかりとした光が存在し、画面を包みこんでいるのを感じます。窓の光を受けている便器を見ると時間の流れというものも何となく感じることができました。今回、様々な代表作を間近で鑑賞することができ勉強になりました。(1年・女子)

 

・特に感動したのは、ロペスが町並みを描いた作品群だった。まるで自分がその道路に立っているかのような錯覚に陥るほどだった。映像コーナーで見たのだが、ロペスがこれらの作品を描く時には、自分から街に足を運び、光の関係から夏場にしか作品づくりをしないことが分かった。本人によれば暑さではなく光を感じに来ているそうだ。そのためか、その作品群からは、光の美しさや奥行きは伝わってくるが、暑さ、いやむしろ冷たく静かな感じさえした。(1年・男子)

・一つの作品のために様々な研究をしていると知りました。下描きや素描も展示されていて、作品ができあがる工程も見ることができました。今は授業で油絵を描いているので、より作品のすごさや丁寧さが伝わってきました。(2年・女子)

・バラとスミレの油絵は近くで見てみると案外単純に描かれているようなのに、リアルで美しく見えました。とても大きな風景画も、遠くから見るとまるで写真かと見紛うほどの作品でした。建物の窓はどれも緻密な描写で圧巻でした。その割には木々の緑はざっくり塗られており、そのギャップも面白いなと感じました。(3年・女子)

・描写が細かい所と大ざっまな所で差が大きいのに、完成されていてすごいと思いました。形が定規によって細かく計られていて、気が遠くなる作業だなと思いました。だから現実により近く、本物のようになるのだと思い、卒業制作で、細かい描写をできるようにしたいと思いました。(3年・女子)

 


第34回青森県高総文入賞

2013-10-26 12:52:34 | お知らせ

第34回青森県高校総合文化祭美術部門において、
美術コース2年生の新山智子さんが最優秀賞、佐藤晴香さんが優秀賞を受賞しました。
さらに、来年度茨城県で開催される、全国高校総合文化祭出品作品に選ばれました。

今年の出品数は約180点でした。
入賞作品は17点で、その中から全国大会へ選出されるのは、平面作品では5点です。
本校の全国大会出場は8年連続となります。

二人はコンクールに向けて、8月から制作に打ち込んできました。
審査員の東北芸術工科大学の石井博康教授からは、
デッサン力の確かさと、粘り強い描写が評価されていました。

作品を紹介します。

最優秀賞2年8組 新山智子さん
「それぞれの年月」油彩117×91cm

 

優秀賞2年8組 佐藤晴香さん
「朝の光」油彩117×117cm

 

来年度も入賞目指してがんばってください。


東北芸術大学連携授業

2013-10-10 21:36:24 | お知らせ

10月8日(火)9日(水)、美術大学から講師を招いて特別授業を行いました。講師は東北芸術工科大学の柳田哲雄先生です。身近な材料による染料制作と、すり込み(ステンシル)による染め体験授業を行いました。1日目は1年生、2日目は2年生が受講しました。

 

染色に使用するのはエンジュやスオウなどの植物から抽出された染料です。ユニークなものでは、紅茶のでがらし。こんなに身近なものから色が取り出せるとは驚きです。出がらしを使うので、まずは紅茶をみんなで飲む所から授業がスタート。どんな色が出るのでしょうか。

 

午前中は染料の制作を行いました。

沸騰したお湯にスオウやエンジュ、紅茶等を入れて箸でかき混ぜながら15分煮詰めます。

その後、布で濾して絞った液体を今度はコーヒーフィルターに入れて濾します。 

午前の部はここで終了。午後は、型紙の制作を行いました。

専用の紙を思い思いの形に切り抜いていきます。
「○、△、□の単純な形でいいですよ」と指導されても、そこは美術コース生。
こだわりのある形になっていきます。個性豊かな型紙ができました。

いよいよ抽出した染料で染色開始です。木綿のハンカチに専用の筆で色をつけていきます。

 

 

出来上がり

 制作終了後、東北芸術工科大学の説明会が行われました。美術の大学をスライドで詳しく知ることができ、進路選択の幅を広げるきっかけとなったようです。

 

<生徒感想より>

・最初から色があるのではなく、葉っぱなどから搾り取って色を作るのがすごく楽しかったし、自分なりにもすごく勉強になりました。やっぱり美術は自分が思っていた以上に範囲が広くて、やっぱり美術は楽しいなと改めて思いました。

・初めはただエンジュやスオウなどのものを煮て染めるものかと思っていたけれど、それだけではなくミョウバン液や消石灰水など、色々なものを混ぜてそれを濾して色をつけるというのを学んで、大変だったけど、とても楽しかったです。

・顔料のインド茜を作りましたが、作る途中がまるでトマトケチャップのようで、それでいてラー油のようできれいでした。実際に顔料ですり込みをしてみましたが、お手本のようにはいかず最初がすごくにじみました。でも、段々慣れるとにじまなくなって楽しかったです。ぜひまたやりたいです。

・どれも自然の素材なのにこんなにもきれいな発色をしてすごいという感動がありました。実際に染め物をしたら普通の色塗りみたいだけれど、やり方はペンペンと叩く感じで、更ににじませないようにしなければいけなくて少し大変でした。楽しかったです。とても良い経験になりました。