アプリコット プリンセス

チューリップ城には
とてもチャーミングなアプリコット姫がおりました

赤穂事件 大石信興と伯父

2023-04-04 10:33:26 | 漫画


大石 信興 (旧赤穂藩浅野氏の家臣)
「伯父様」
「御無沙汰しておりました」

大石無人 (陸奥国弘前藩津軽家に仕える)
「儂は、赤穂を離れ
津軽様の客人に招かれた」
「其方も、津軽様に仕えては如何か?」

大石 信興
「某、浅野内匠頭様の恩義が御座る故
同志と血判状を交わし
主の無念を晴らしたいとの思いに御座る」

大石無人
「津軽藩は分断の尺図」
「長きに渡る反目から
一気に対立が表面化したのじゃ」
「この対立は、凄惨な殺し合いに発展している」
「憎しみ合いが、津軽藩で内部抗争に発展しておるのじゃぞ」
「これは、吉良家と浅野家の対立の写し鏡なのじゃ」
「其方は、その当事者になりたいのか?」

大石 信興
「津軽藩と、赤穂藩では事情が違いまする」
「赤穂に分断はなく
吉良を討つ事が我らの願」
「主の無念を晴らす事が
忠義の証で御座る」

大石無人
「赤穂に分断はなくとも
吉良と対立すれば、同じ事」
「互いに憎しみ合い
殺し合う事を
故浅野内匠頭様は望んではおりませんぞ」

大石 信興
「・・・・・」
「しかし、今更、脱盟は出来ませぬ」
「卑怯者、臆病者と呼ばれ
汚名を残してしまう事」
「これは、大石家の恥で御座る」
「吉良家との遺恨を断ち切らねば為りませぬ」

大石無人
「それは、断ち切るのではない」
「全て刈り取られ
討ち滅ぶ運命じゃぞ」
「綱吉様の恩情に期待しては為らぬ」
「これから、時代が変わるぞ
これからは、公卿の世になる」
「もう、武家社会は廃れるだけじゃ」
「これからは、上方が発展して」
幕府は、廃れる」

大石 信興
「伯父上、左様な迂闊な事を申されるな」
「幕府に聞かれれば
命はありません」

大石無人
「あっはは」
「もうよい」
「儂は十分に生きた」
「後は、其方達に託す」
「託す故、
無謀な仇討ちなどに与するなと
申しておるのじゃ」

大石 信興
「しかし、我ら大石一族は浅野家筆頭を任された御家」
「ここで逃げれば武士の名折れ」
「恥ずかしくて生きてはおれぬ」

大石無人
「其方、公爵家に仕えれば良い」
「近衛様はこれからの日の本の礎となるお方じゃぞ」
「よいか、其方は大石家を守る為にも
近衛様を慕い、仕えることじゃ」
「儂は、津軽様の客人として
お公家様との交流ができておる」
「儂の力で、其方を救ってやりたい」

大石 信興
「いやいや」
「儂が逃げる訳には参らぬ」
「弟に笑われる」

大石無人
「んんゥ」
「弟殿は其方よりも頑固なのか?」

大石 信興
「あれは、
内蔵助太傅の戒めがなければ
高田郡兵衛 を従わせ
直ぐにでも勇んで乗り込む事でしょう」

大石無人
「兄弟で死地に向かう事もあるまい」
「其方は、生き残れ」
「儂が其方を近衛家に推薦してやる」
「弟殿が忠義を果たせば
其方は、その忠義を旗印にして
近衛家に仕えれば良い」

大石 信興
「いやいや」
「そうはいかぬ」
「儂は、同士を裏切る事は出来ぬ」

大石無人
「よくよく考える事じゃ」

大石 信興
「・・・・・・」
「内蔵助太傅は、討ち入りを戒めておりますから
きっと、浅野家の再興が叶い
我らも仕官できる事と期待しております」

大石無人
「将軍綱吉様は、浅野赤穂の資産を刈り取る必要があった」
「今更、浅野赤穂の再興は望むな」
「再興はないぞ」

大石 信興
「内蔵助太傅が、西本願寺に働き掛けております故
きっと、神仏の加護が御座る」

大石無人
「金だけ貰って、なにもしない」
「あの者達は、神仏に拝むだけじゃ」
「僧に拝ませる為に大金を使うのであれば
お前の屋敷の神棚で、お主が祈れば良い」

大石 信興
「儂が、念仏を唱えるのか?」
「御利益などあるかなァ?」

大石無人
「坊主が祈っても
其方が祈っても
儂が祈っても同じ事」
「神仏にすがっても
神仏は何もせんぞ」
「念仏を唱える意味は
己の憐憫を仏に捧げる為じゃ」
「己の弱さを仏に捧げるためじゃぞ」

大石 信興
「何を申す」
「逃げる事こそ、弱き事」
「主の無念を晴らす為
忠義を果たすので御座る」
「如何じゃ」
「伯父上も同盟に加わらんか?」

大石無人
「頭を冷やせ」

大石 信興
「内蔵助太傅の働き掛けを見てからでも遅くはない」

大石無人
「んんゥ」
「決して、無謀な事はするなよ」

大石 信興
「成り行き次第で御座る」